12月28日に開幕を迎える第101回全国高校サッカー選手権大会。奈良代表・奈良育英の初戦は31日、佐野日大(栃木)との2回戦です。15回目の選手権に臨む伝統ある奈良育英の注目選手やチームの特長を紹介します。
■伝統の「全員攻撃・全員守備」
常にチームが掲げてきたのが「全員攻撃・全員守備」。これは奈良育英伝統のスタイル。地区大会を通して得点者は9人。今年は個々の力はそれほど高くないと言いますが「今年はチーム力がある」と選手たちは話します。
奈良育英は部員が108人と県内最多を誇るチーム。その中でも多くの選手が複数のポジションをこなすことができるのも奈良育英の魅力の1つです。そんなチームの団結力が地区大会のプレーからも見えました。準決勝では1点ビハインドの展開で試合終了間際の後半39分に執念の同点ゴール。決勝でも相手のアグレッシブな攻撃に対応しながら一瞬の隙を見逃さず延長に3得点。奈良育英らしい攻守ともに連係したプレーを魅せ、今年も地区大会を制しました。
■攻撃の中心 奈良大会最優秀 濱上大輝選手(3年)
前回の全国大会では試合に出場できなかった濱上大輝選手。今年はエースとして全国の舞台に立ちます。地区大会ではチーム最多の4得点をあげ、最優秀選手にも選ばれました。
そんな濱上選手の強みは圧倒的なパスセンス。ボールを受けた時の一瞬の判断力とスルーパスを活かしたパサーでゴール前の決定機を作り出します。決勝ではその持ち前の技術を活かして2得点に関わる2アシスト。シュートだけでなく、アシストも完璧にこなすのが濱上選手の魅力です。「去年、全国のレベルを肌で感じて練習に励んできたので自分が得点してチームを勝たせたい」と抱負を語りました。
■チームの精神的支柱 キャプテン 大西陽太選手(3年)
今年は後輩たちの活躍も大きいチーム。そんなチームを率いるのが大西陽太選手。怪我の影響で準決勝まで出場できず、主将として90分間声を掛け続けました。復帰した決勝では延長後半6分にピッチへ。短い出場時間ながらも懸命にボールを追い、最後までチームを鼓舞し続けました。また奈良育英サッカー部出身の父・兄からは「ここで終わりじゃないぞ」と声を掛けられたと言います。双子の兄と挑む舞台で家族の想いを背に戦います。
■かつての奈良育英を取り戻す…OBとしての想い
自身も奈良育英高校サッカー部出身で、在学中の3年間全国大会に出場した梶村卓監督。県内の高校でコーチや監督を務めた後、母校である奈良育英にコーチとして戻り、去年は監督就任1年目でチームを10年ぶりに全国大会へと導きました。
そして就任2年目となった今年。「去年のように突出した選手はいないが、全員で力を合わせて頑張れるチーム」と更なる高みを目指し指導してきました。「選手たちも少しずつたくましくなってきたので、それをさらに高めて全国でも全員が戦い抜く姿を見せてほしい」と話しました。
過去の最高成績は第73回大会のベスト4。当時の主将は後に日本代表として活躍するGK楢崎正剛選手。15回目の全国への挑戦。偉大な先輩がつくった歴史を塗り替えるべく「全員攻撃・全員守備」で挑みます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/奈良テレビ放送)
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