12月28日に東京・国立競技場で開幕する『第101回全国高校サッカー選手権』。愛知県代表の東邦は、29日に大阪府代表・履正社との初戦を迎えます。まずはPK戦までもつれた愛知県大会決勝を振り返ります。
愛知県大会決勝は、昨年創部初の県2部降格という苦い経験をした東海学園と、2年前に全国区の名将を迎えた東邦の対戦。過去10年で東海学園が2回、東邦が3回、愛知県の頂点に立っており、まさに愛知県の高校サッカーを牽引する2校の顔合わせとなりました。
東海学園は持ち前のポゼッションサッカーを立ち上がりから披露。フレキシブルなポジショニングでボールを動かしながらチャンスをうかがっていきます。対する東邦はコンパクトさを保ちながらカウンターを発動し、シュートに繋げます。しかし、両校決定機を作ることができず0-0で前半を終えました。
後半に入ると東海学園が縦に横にロングボールを供給し始め、ゴール前まで攻め込みます。東邦はそれを跳ね返しながらカウンターでゴールへ迫りますが、両校得点を奪えないまま80分が終了し、延長戦へ。
そして延長前半5分、東海学園のエース・久保周太郎選手(3年)がクロスをダイレクトボレーでゴールに突き刺し、遂に均衡を破ります。しかし、諦めない東邦は延長後半2分、スルーパスに反応した原汰暢選手(3年)が左足を振り抜き、値千金の同点ゴール。その直後、東邦はPK要員としてGK藤川知大選手(3年)をピッチへ送り込み、そのまま決着はPK戦へ。
すると、東海学園2人目のPKを藤川選手が見事にセーブします。その後、4-4で迎えた東海学園6人目のキックは大きく枠の上へ。最後は東邦・清水悠希選手(1年)が冷静に流し込み、試合終了。午後1時キックオフの試合は気づけば影が長く伸びる時間に。愛知179校の頂上決戦にふさわしい激闘は東邦が制しました。
かつて千葉・市立船橋高校を率い、夏のインターハイで3度の頂点や選手権の準優勝へ導いた東邦・石渡靖之監督は「コロナ禍という厳しい環境の中で大きく成長できた。東海学園や敗れたチームの思いも背負って戦いたい」と話しました。PK戦で活躍を見せたGK藤川選手は「僕がヒーローになるんだという思いで入った。全国でもしっかり準備をして待ちたい」と次なる戦いを見据えていました。今大会6試合を15得点3失点という安定感で勝ち上がってきた東邦。“市船イズム”で全国に乗り込みます。
1回戦は12月29日(木)、浦和駒場スタジアムで大阪府代表・履正社と対戦します。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/中京テレビ放送)
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