12月28日に開幕する第101回全国高校サッカー選手権。青森代表・青森山田は26年連続28回目の出場。前回大会は3大会ぶり3度目の優勝に輝きました。第1シードとして臨む今大会の初戦は31日(土)の2回戦、三ツ沢球技場で広島皆実と対戦。97回大会から4年連続で決勝進出している青森山田にとって初めての連覇を目指す大会です。青森山田のチームの特長、そして注目選手を紹介します。
■黒田剛監督は総監督として最後の選手権へ
青森県大会を激戦の末制した瞬間、黒田剛監督は正木昌宣ヘッドコーチとがっちりと握手、最後に選手達からの胴上げが待っていました。1995年の監督就任から28年間、チームを率い、全国の強豪へと育て上げてきた黒田監督は全国高校サッカー選手権大会後にJ2・FC町田ゼルビアの監督就任が決まっており、この選手権が最後の大会。教え子で19年間ともにチーム作りをしてきた正木昌宣ヘッドコーチにバトンを託し、全国大会は総監督として臨みます。
「一つずつ勝利を積み重ねていく生徒たちはすごい。今後私がいなくなっても正木新監督を中心に連覇を続けていってほしいと思うし、必ずや達成してくれると信じています。全国からは正木監督で勝負にいきますので私の監督としての役割はこれで終わりです」と締めくくりました。
後を託された正木新監督は「黒田監督と19年間一緒にやってきて、いなくなるのは寂しいですし、最後にもう一度、国立で胴上げできるように頑張っていきたいです」と黒田総監督とともにベンチに座る最後の大会へ向けて気持ちを引き締めていました。高校サッカーの一時代を築いた黒田監督から正木監督体制への引き渡しともなる全国大会を有終の美で飾るためにもチームは団結しています。
■連覇を誓う多久島良紀主将と小湊絆のエースの自覚と責任
前回大会決勝で優勝に輝いたチームをピッチの外で見つめていたのは5番・多久島良紀キャプテンです。当時2年生の多久島選手はサポートメンバーとしてチームに帯同していました。前回大会は県大会までレギュラーでしたが、県大会後に前十字靭帯断裂の大けがをし、全国大会は出られず、マネジャーとしてチームのサポートに徹しました。
喜びとともに悔しさを味わった多久島選手は新チームのキャプテンとなりますが、チーム発足時からリハビリとの戦い、夏に復帰するも今度は違う箇所をけが、試合どころか練習にも参加できない日々、1年ぶりの実践復帰が今回の県大会決勝でした。キャプテンマークを巻いてピッチに立つ姿は圧倒的な存在感でチームをセンターバックとして統率しました。
県大会決勝、延長戦後半に選手権行きの決勝ゴールを決めたエースが10番・小湊絆選手です。県大会優勝後にはエースとしての思いがあふれ涙を流す姿がありました。それだけエースとして自分が決めなくてはならないというプレッシャーと戦っていました。今大会の抱負を聞くと「何点取られても自分が点を取れば良いだけ、エースとしての自覚と責任を持ってチームを勝たせます」と力強く話していました。唯一、連覇の権利があるのが青森山田。多久島キャプテンとエース小湊選手は覚悟を持って大会に臨みます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/青森放送)
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