101回目となる全国高校サッカー選手権。その歴史の中で静岡県勢は、優勝11回、準優勝10回の成績を残してきました。藤枝東や清水東を始め、優勝5校は全て静岡県中部の高校。そんな中、県西部・浜松から初の全国選手権優勝を成し遂げようと野心を燃やしてきたのが創部18年目の浜松開誠館です。静岡では新興勢力といえる浜松開誠館が伝統校・藤枝東に挑んだ決勝戦を振り返り、全国の戦いを展望します。
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試合開始から圧力をかけたのが、2度目の優勝を目指した浜松開誠館でした。立て続けの多彩なセットプレーで、相手を揺さぶります。そして前半7分。エースナンバー14を背負う松本大樹選手(3年)が、美しい放物線をスタジアムに描きます。左斜め45度から右足で放ったフリーキックは180cm台後半の高い壁を越え、ゴールに吸い込まれました。
「決める自信しかなかった」
春先から練習してきたという軌道は曲がって落ち、見事先制します。
一方、選手権で県内最多=25回、静岡の頂点に立ってきた藤枝東。188cmのFW植野悠斗選手(2年)を起点に攻め込みます。昨年度県準優勝だった悔しさを持つチームは、フィジカルの強い植野選手にボールを集め、ゴールに迫ります。
しかし、「植野選手への対策はできていた」と話すのは浜松開誠館の青嶋文明監督。元清水エスパルスのFWで、相手の分析力にも秀でる指揮官です。藤枝東に得点機を作らせず、1-0で試合は後半へ。
浜松開誠館は、夏以降変更した3バックが後半も機能します。中盤の人数が厚く、エンジのシャツの選手が湧き出るように相手ボールを絡めとります。その姿は、まさにエンジの荒波。藤枝東の攻撃陣に最後まで決定機を作らせません。
後半29分には、5番のMF岡田海人選手(3年)のビューティフルゴールも決まり、浜松開誠館が2-0で伝統校・藤枝東に完勝。「目標は全国制覇なので。通過点です」と選手たちは口をそろえます。
遠州・浜松から王国の新たな旗手となるべく臨む全国選手権。エンジの戦士達は、大会で荒波を起こす力を十分に秘めています。
浜松開誠館高校は、12月31日の2回戦で熊本代表・大津高校と対戦します。
※写真は先制ゴールを決めた松本大樹選手
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/静岡第一テレビ)
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