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2022

12/30

【高校サッカー注目・静岡】破天荒 遠州の風雲児・浜松開誠館

第101回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。静岡代表・浜松開誠館は31日の2回戦で熊本代表・大津高校と対戦。チームの特長と注目選手を紹介します。

◇ ◇ ◇

天下人・徳川家康が築城した浜松城を臨む、浜松開誠館高校。静岡において新勢力といえるこのチームには、大きな野望があります。浜松出身で、清水商業時代に全国制覇をした青嶋文明監督が掲げてきたスローガン「破天荒」。

静岡県は藤枝東、清水東、東海大一、清水商業、静岡学園と、全国選手権優勝を成し遂げた高校は、全て県中部。県西部から初の全国選手権優勝を成し遂げようと広げた旗が、前人未到を意味する「破天荒」です。

浜松開誠館の生命線はW杯で日本代表も用いた戦術「ハイプレス」です。前線の選手が連動して相手にプレッシャーをかけ、自由を奪います。県大会ではボールの奪い所を明確化した上で、選手間が近い距離を保って寄せる「圧縮型ハイプレス」が機能。3大会前の全国王者=静岡学園を準決勝で、決勝では名門=藤枝東を下しました。全国でも、エンジのシャツが荒波のごとく押し寄せていくはずです。

そのプレスの中心が、背番号9番のFW坂上輝選手。チームの守備は彼から始まります。日本代表で言うと前田大然選手のような存在。坂上選手が守備のスイッチを押し、相手のパスコースを限定し始めます。去年の5月まではDFだったためボール奪取能力が高く、「相手が嫌がることは自分が一番わかっています」と自信をのぞかせます。

そんな坂上選手はこの夏、右足のじん帯断裂という大けがをします。包帯でぐるぐる巻きの右足を見てチームのためになれないもどかしさを抱えました。しかしそこで「とにかくたくさん動画を見ました」とFWの動き出しを研究。さらには、上半身の筋力を鍛え、ベンチプレスは95キロに。10月の公式戦で復帰すると前田康尋主将が「別格になって帰って来た」と語るほど、屈強な選手に生まれ変わっていました。「誰にも負けない」と自信を持つフィジカル能力を活かし、静岡学園戦ではGKも届かない打点の高いヘディングでゴール。エースの力を証明し、いよいよ立つのは全国の舞台です。

新たな歴史が動き出す101回大会。浜松開誠館が目指すのは、破天荒。全国の頂点です。県西部から初の全国選手権優勝へ。遠州の風雲児の瞳は、野望に満ちています。
※写真は背番号9番・FW坂上輝選手

(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/静岡第一テレビ)

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