第101回全国高校サッカー選手権。昨年100回という記念大会を迎え新たな時代へと歩き出した高校サッカー。新たな歴史が生まれる第101回大会。力が拮抗した奈良大会で代表の座をつかみ取った奈良育英は2回戦、12月31日に栃木代表・佐野日大高校と対戦します。11月13日に行われた地区大会決勝を振り返り全国の戦いを展望します。
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激戦となった今年の奈良大会。決勝戦は昨年の準決勝と同じカードとなりました。2年ぶりの選手権出場を目指す山辺高校と2年連続の選手権出場を目指す奈良育英高校の一戦。PK戦で準決勝を勝ち上がってきた両校は奈良大会決勝でも共に力を発揮し、激しい攻防が繰り広げられました。
■山辺「2年前の景色をもう一度」
就任5年目、興津大三監督が率いる山辺高校は2年前に初めて選手権全国大会に出場しています。しかし、去年は地区大会準決勝で奈良育英に敗退。今年の3年生は「自分たちが1年生の時に見たあの全国の舞台へもう一度行きたい。後輩たちに全国の景色を見せたい」そんな思いを持って挑む決勝となりました。
■奈良育英「先輩が作ってくれた伝統をつなぐ」
一方、奈良育英高校、率いるのは就任2年目、奈良育英高校サッカー部OBでもある梶村卓監督です。奈良育英は全国大会に14回出場、第73回大会ではベスト4の記録を残し、サッカー元日本代表の楢崎正剛氏らを輩出したサッカーの名門。昨年は10年ぶりの選手権出場を果たし、新たな奈良育英の時代を歩み出しました。
雨が降りしきる中行われた決勝。試合序盤、山辺はグリーン・ケイディン選手(2年生)、対する奈良育英は佐藤聡祐選手(1年生)を起点とし、前線にボールを蹴りこみます。互いに相手ゴールに迫るも決定機を作り出すことができず無得点で前半を終えます。
続く後半、山辺はフォーメーションを変え、キャプテンの太田凱翔選手(3年生)をワントップにサイドからの攻撃を組み立てます。対する奈良育英は前線からのプレスを継続し、攻撃に転じようとします。しかし、互いに堅い守りを見せ後半も0-0。延長戦にもつれ込みます。
試合が動いたのは延長前半キックオフ直後でした。山辺のディフェンスラインの背後に飛び出した奈良育英の木村航大選手(3年生)が今大会初ゴールを決め、ついに奈良育英が先制点を奪います。
勢いにのった奈良育英は山本浬選手(2年生)のシュートが決まり貴重な追加点を挙げ、さらに延長後半にも磯貝新之助選手(2年生)が試合を決定づける3点目を決め試合終了。
100分に及んだ激戦を制した奈良育英が2年連続15回目の全国への切符を手にしました。試合後、奈良育英・梶村卓監督は「激しい戦いになることは予想していました。予選中は厳しい試合が続きましたが選手たちがタフに戦ってくれた。一戦一戦たくましくなっていく姿を見せてくれて嬉しく思います」と試合を振り返りました。
大西陽太主将(3年生)は「去年、先輩たちが10年ぶりに全国の舞台に連れて行ってくれて、今年も勝たなければというプレッシャーもありましたが、自分たちのプレーができたら勝てると思っていたので、勝てて嬉しかった。去年の悔しさが残る全国で全員プレーで勝ちにいきたいと思います」と喜びと抱負を語りました。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/奈良テレビ)
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