第101回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。神奈川県大会の決勝は42年ぶり7回目の選手権出場をめざす湘南工科大附属と3年ぶり6回目の選手権出場をめざす日大藤沢が聖地・三ッ沢で激突。決勝戦を振り返り、全国の戦いを展望します。
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ともに藤沢市に学校を置く両チーム。38年ぶりの「藤沢市対決」としても注目が集まりました。試合は立ち上がりから自らボールを動かす両チームのスタイルがぶつかり合う激しい攻防になります。
鍛え上げられたパスサッカーとスペースを突く動きで相手を翻弄する湘南工大附属。J清水に内定している198cmの長身FW森重陽介選手を起点にボールを運んでいく日大藤沢。主導権が目まぐるしく入れ替わるゲーム展開のなか、均衡を破ったのは日大藤沢でした。前半37分、コーナーキックのチャンスにU-17日本代表候補DFアッパ勇輝選手が頭で合わせ先制します。
後半、お互いチャンスを作るも得点には至らず。日大藤沢にとって頂点が見え始めた後半アディショナルタイム。湘南工大附属のスーパーサブ・橋山翔太選手の起死回生同点弾が決まり試合は振り出しへ。解説者も思わず「ずっと見ていたい好ゲーム」と評した試合は延長戦へ突入しました。
延長でも両者決め手を欠く中、延長前半アディショナルタイム、日大藤沢のコーナーキック。キッカー2年生・宮崎達也選手のボールはそのままゴールへ吸い込まれ、ついに勝ち越しに成功。さらに延長後半、途中出場の吉田亘之介が角度のない位置からの技ありシュートでダメ押しします。
森重選手、アッパ選手など注目の主力選手に加え、サブの選手も躍動し選手層の厚さを見せつけた日大藤沢が3-1で勝利、激戦区神奈川の頂点に立ちました。
試合後、喜びや悔しさなど感情があふれるピッチの横で熱い抱擁を交わしたのは日大藤沢・佐藤輝勝監督と湘南工大附属・室井雅志監督。実は両指揮官とも同じ日体大サッカー部の先輩後輩の間柄。いつか大舞台で戦おうと語り合った仲でした。
その“いつか”が激戦区神奈川最後の戦いで実現しました。この熱い抱擁がこの試合のハイライトと言えるかもしれません。両チームが貫いた「自分たちのサッカー」と相手チームへの「リスペクト」が創り上げた決勝戦にふさわしい好ゲームとなりました。
選手権の神奈川県勢最高成績は今年応援リーダーを務める中村俊輔さんを擁した桐光学園の準優勝。日大藤沢には選手ひとりひとりの個性と、スローガンでもある「一体感」を武器に神奈川県勢初の選手権優勝を期待したいです。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/テレビ神奈川
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