第101回全国高校サッカー選手権大会は12月28日に開幕。愛媛県大会は、新型コロナウイルスの感染対策の一環として、県下47チーム一斉トーナメント方式で行われ、9月24日に開幕。11月13日に決勝が行われました。
決勝は2年連続の同カード。チーム史上初の連覇を狙う・今治東-選手権初制覇に挑む帝京第五。昨年と同日・同時刻・同会場・同カードで繰り広げられた決勝戦は、帝京第五が勝利し、全国大会への出場を決めました。
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全国大会進出をかけた両校の決勝は、昨年の選手権・今年の県総体と対戦し、両ゲームとも今治東が勝利。帝京第五はあと一歩のところで全国出場を阻まれ続けてきました。闘志をむき出しに打倒・今治東を掲げ、攻撃力に磨きをかけてきた帝京第五は5試合30得点という超攻撃サッカー。対する今治東は、無失点で決勝まで勝ち進む堅い守備が持ち味。攻撃の帝京第五、守りの今治東という構図になった地区大会決勝を振り返ります。
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ゲーム開始直後のプレーで今治東MF8番佐伯柊二(さえきしゅうじ)選手が負傷退場。堅い守りの一角を失った今治東は、帝京第五に攻め込まれる苦しい時間が続きますが、今治東GK12番井門泰誠(いもんたいせい)選手が好セーブを連発。一方、帝京第五はコーナーキックのチャンス。ゴール前で手を繋ぎグルグルと回転。100回大会で世界中から注目を浴びた、高川学園の「トルメンタ」を真似たプレーで会場を沸かせます。前半は全校応援でエールを送る帝京第五がゲームを優位に進めますが、得点ならず。0-0で前半を終えました。
試合が動いたのは、後半26分の帝京第五のコーナーキック。ゴール前で3人ずつ手を繋ぎ、2つの輪を作った帝京第五。MF15番樋口志(ひぐちのぞみ)選手が放ったボールは今治東のDFがクリア。しかし、そのこぼれ球をFW11番丹羽一心(にわいっしん)選手が頭で押し込み、ついに均衡を破ります。決勝も含めた5試合全てでゴールを奪い、11得点で今大会得点王となった丹羽選手。
「自分が点を決めて全国に連れていく」という宣言通りの活躍で帝京第五が先制。この一点を守り切り、帝京第五が初優勝。全国大会進出を決めました。
登録メンバー全員が神奈川県出身の帝京第五。MF10番武田健汰(たけだけんた)選手は「選手権は一番大切なモノ。選手権の全国に出るために来た。」と語ります。99回大会頃から首都圏の選手を中心にメンバーを集めてきた帝京第五。無名の高校を、「自分たちの力で全国に導く」という夢を追い、多くの選手が親元を離れ、愛媛にやって来ました。生まれは違えど、愛媛の地でトレーニングを積み、大きな目標を達成した選手たち。
次なる目標は、全国大会での勝利。長崎県、国見高校で3年間エースとして、高校サッカーを経験した帝京第五・植田洋平(うえた・ようへい)監督は「初出場だが経験するだけでなく、愛媛代表として爪痕を残す。プライドを持って戦う」と抱負を語りました。
ようやく掴んだ全国への挑戦状。帝京第五は攻撃的なサッカーを武器に12月29日(木)岩手県代表・盛岡商業との初戦に挑みます。
※写真は決勝点を決めた丹羽一心選手
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/南海放送)
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