第101回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。香川県代表の四国学院大学香川西(以下:四学香川西)は29日の1回戦で山形県代表の羽黒と対戦。4年ぶり12回目の全国への切符をつかんだ四学香川西、11月12日に行われた香川県大会決勝を振り返り全国の戦いを展望します。
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香川県大会決勝は、4年ぶり12回目の全国を目指す四国学院大学香川西(準決勝まで2試合4得点1失点)と初の全国を目指す高松東(準決勝まで4試合10得点3失点)の一戦になりました。
四学香川西は創部以来40年間チームを率いる大浦恭敬監督と、今大会はテクニカルエリアの最前線で選手に指示を送る息子の翔コーチのもと、サイド攻撃と多彩なセットプレーを武器に戦うチームです。
高松東は創部48年で初の決勝進出。就任7年目の佐々木浩児監督のもと、前回大会ではベスト8、今年1月の新人戦では準優勝と着実に力をつけていました。前線からのハイプレスとショートカウンターを武器に勝ち上がってきました。
試合は前半1分、高松東の FW 中平路斗選手(3年)が左サイドからクロスを上げます。一方の四学香川西は4分、MF山田晃市選手(3年)が右サイドでボールを持つと鋭いドリブルでエリア内に侵入しクロスを上げます。お互いに最初のチャンスは相手の守備に対応されますが、積極的な攻撃を見せます。
そんな中で先に試合を動かしたのは四学香川西。9分、セカンドボールを中盤で回収をしたMF塩川直幸選手(3年)が右サイドにいた山田選手にパス。山田選手はハーフウェイライン付近からペナルティエリアの手前までドリブル。高松東のディフェンスが引き付けられて出来たスペースにいた FW 橋田璃大選手(3年)にパスを出すと橋田選手が相手をドリブルでかわしてシュート。これがゴール左隅に決まり先制します。
その後も四学香川西が橋田選手や山田選手のシュートで決定機を作りますが、高松東の GK藤井星衣選手(3年生)の好セーブもあり追加点を奪えません。
しかし前半のアディショナルタイム、塩川選手が左サイドのMF菊池亜門選手(3年)にパスを出すと先制ゴールの橋田選手にスルーパス。上手く抜け出した橋田選手が放ったシュートがゴール左隅に。1点目と同じようなシュートでこの日2ゴール目。大きな追加点を奪います。
後半、後がない高松東は攻撃的なサッカーで徐々に流れをつかみます。12分にはキャプテンのDF嶋村悠選手(3年)がミドルシュート。このシュートは味方に当たった後クロスバー直撃の惜しいシュートになります。
そして迎えた14分、右サイドからMF山下翔永選手(3年)がクロスを上げるとニアサイドに走りこんできたFW松田凌空選手(3年)がヘディングでゴールを決めます。
四学香川西は失点直後の15分に再三決定機を演出していた山田選手が負傷しFW玉田滉喜選手(1年)と交代します。その玉田選手は、24分に橋田選手のロングボールをダイレクトシュート。しかしオフサイドの判定でノーゴールになります。
同点に追いつくために高松東は準決勝までに2ゴールを挙げていた小野祐之将選手(2年)や身長179センチの八島一弘選手(2年)などを投入します。しかし得点は奪えないまま、迎えたアディショナルタイムに勝負を決める1点が生まれます。四学香川西の GK 三谷虎大朗選手(3年)が自陣から蹴ったフリーキックを途中出場の鹿島優希選手(3年)がコントロールして右足を振りぬきゴール。
その後も最後まで敵陣に迫った高松東の攻撃を振り切った四学香川西が3-1で勝利。4年ぶり12回目の全国大会出場を決めました。
大浦恭敬監督は「前半は良かったが後半は守りに入ってしまった。今の選手たちにとっては初めての選手権の全国大会。一から準備をして臨みたい」と話しました。
県内では9連覇も成し遂げたことのある四学香川西としては久しぶりの全国大会。翔コーチは「ここ数年あと少しのところで勝てなかった。やっと勝てた」と思いを語りました。秋も深まる11月、ピッチを歓喜に染めた赤のユニフォーム四国学院大学香川西。伝統校が全国に帰ってきます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/西日本放送)
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