第101回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。
高校サッカー界の名将・小嶺忠敏監督が亡くなって初めて迎えた長崎県大会の決勝戦。小嶺監督がかつて率いて、選手権全国大会で戦後最多タイ6回の優勝を果たした国見と、3大会連続の決勝進出となった創成館の一戦は、両者前半に1点ずつを取り合い、試合は後半アディショナルタイムへ。延長かと思われた試合終了間際に国見が劇的な決勝点を挙げ、12大会ぶり23回目の県大会優勝を果たしました。(全国選手権出場は24回)
激闘の決勝戦を振り返り、全国の戦いを展望します。
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両校が選手権県大会の決勝戦で相まみえるのは今回が初めて。国見は決勝まで無失点。全7得点のうち半数以上の4点を得意のセットプレーで奪い勝ち上がってきました。対する創成館は、エース・波多野選手が全試合で得点を記録。こちらも同じく無失点で勝ち上がり、11月13日に行われた決勝戦は1点を争う好ゲームとなりました。
試合は序盤から動きます。前半4分、国見がコーナーキックのチャンスを得ると、U-17日本代表候補・北村一真選手(3年)のボールに平田大耀選手(2年)が合わせ、得意とするセットプレーで先制します。
追いつきたい創成館は前半26分、エース・波多野太一選手(3年)が、センターサークル付近で、ルーズボールを拾うと、自ら運んで遠目からシュート。このボールが相手に当たりゴールネットを揺らします。今大会全試合得点のエースのゴールで試合は振り出しに。
後半も互いに譲らないまま迎えたアディショナルタイム。国見は、キャプテン・村田一翔選手(3年)のクロスを途中出場の利根悠理選手(3年)が頭で押し込み勝ち越しに成功。試合終了間際の劇的なゴールで勝負を決めた国見が12大会ぶり24回目の優勝を果たしました。
小嶺監督の教え子で自らも76回大会から3大会連続で出場した経験を持つ国見・木藤健太監督は、「先生がほめてくれるかどうかわからないけれど、ありがとうございますと言いたい」と声を詰まらせながら語りました。監督として初めてとなる全国については「まずは1つでも多く勝つこと、自分も初めて見る景色なのでその景色の中で学ぶものをたくさん吸収したい」と話していました。
決勝点をアシストしたキャプテンの村田一翔選手は「クロスは2年生の最初からずっと練習していて大一番でアシストできたことはうれしい、全国でも国見ファンが多いと思うのでその人たちのためにも上へ行って全国優勝を目指したい」とすでに全国を見据えていました。
1回戦は12月29日(木)北海道代表の北海と対戦。かつての名門が新生・国見として19大会ぶりの冬の選手権の頂点を目指し、強豪ひしめく全国の舞台へ足を踏み入れます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/長崎国際テレビ)
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