第101回全国高校サッカー選手権は12月28日に開幕します。1回戦で、岡山代表の岡山学芸館は29日に岐阜代表の帝京大可児と対戦。夏のインターハイで2年連続全国ベスト8に輝いた岡山学芸館イレブンが、インターハイの結果を上回る、ベスト4=“国立”を目指します。
101回目の選手権を前に、岡山学芸館の特徴と監督・注目選手の意気込みをご紹介します。
■ターニングポイントとなった前回大会の敗戦
「縦に速いポゼッションサッカー」というチームスタイルで、昨年の選手権経験者が豊富な岡山学芸館。前回大会は2回戦で高川学園(山口)相手に1-2で逆転負けを喫し、監督・選手ともに「フィジカルの強度の差」を痛感しました。
そこで、新チームはフィジカル強化に乗り出しました。今年から新たにチームに招いたのが、長瀬亮昌トレーナー。週に最低2日、全身のトレーニングの日を設けたほか、補食を駆使して1日5食をノルマとする事で、チームの平均体重増加に成功しました。その結果、選手たちは「去年よりもフィジカル面で当たり負けをしないチームになってきた」と手応えを口にしています。
中でもその効果を実感しているのが山田蒼選手(3年)です。8月~10月の2か月で体重が4キロ増加し、元々の武器であったドリブル技術に磨きがかかりました。山田選手は「フィジカルが強くなったことで自信が生まれ、県予選決勝戦(玉野光南戦)の先制点につながった」と話しています。
■中学時代の絆で結ばれる3人
キャプテン井上斗嵩選手(3年)とエースストライカー今井拓人選手(3年)、精度の高いクロスが持ち味の岡本温叶選手(3年)は中学時代、岡山県のクラブチーム「ハジャスFC」のチームメイトです。今井選手が中学校卒業前に「斗嵩(井上選手)と温叶(岡本選手)とがいれば全国に行ける」と声をかけて、3人で岡山学芸館の門を叩いたといいます。
特に今井選手と岡本選手のホットラインは強力で、県予選準決勝(創志学園戦)でも岡本選手のクロスに今井選手が反応し、得点が生まれました。
岡本選手は「拓人(今井選手)と話さなくても、目を見ればどこにボールが欲しいのかわかる」と自信を見せ、今井選手は「いつも欲しいところにボールを蹴ってくれる」とその信頼感を口にしています。
■初の全国ベスト4=国立へ!
チームを率いる高原良明監督は「前回大会はチームの力の60%~70%くらいしか出せなかった。今年は去年の全国を経験した選手が多く、今年からゼネラルアドバイザーに就任した平清孝さんのメンタル面での指導も功を奏し、本来の力を出し切れるサッカーができてきている」とチームの成長を話します。また全国の舞台では、「ベスト4を見据えながらも、目の前の一戦に全力を注ぎ、試合を重ねていくうちに選手たちが精神的にも技術的にも大きく成長してほしい」と期待を込めています。
キャプテンの井上選手は、初戦の帝京大可児について、「今年夏に一度対戦した相手で、しっかりパスをつないでくる印象」とした上で、「守備を軸にしながらも、自分たちの武器である『縦への推進力』を前面に出していきたい」と意気込みを語りました。
得点に期待がかかる今井選手は「今年のチームは全国大会の経験は多いが、ベスト4の壁を越えられない悔しさを感じている」と話します。それを越えるために必要なのは、ワールドカップカタール大会で躍進した日本代表が魅せた「ボールを受けたらどこからでもシュートを打っていく『貪欲さ』」だと話しています。
心身ともに大きく成長した岡山学芸館の選手たち。「歓喜の瞬間」はもう目の前です。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/西日本放送)
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