102回目の全国高校サッカー選手権大会。45チームが参加した滋賀県大会は、近江高校が2年連続3回目の全国出場を決めました。今回は滋賀代表・近江の滋賀県大会決勝を振り返ります。
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滋賀の連覇を狙う近江。決勝の相手は草津東です。去年の決勝でも対戦した両チームは今年の新人戦、インターハイ予選でも決勝で対戦しました。ともに近江が勝利したものの、新人戦はPK戦、インターハイ予選は延長戦までもつれています。
滋賀の「2強」とも言える両チームによる今年3度目の決勝戦。滋賀県の高校サッカー史に残る一戦となりました。
選手全員がハードワークし、ドリブルやパスなど個々の高い技術を組み合わせ、多彩な攻撃を仕掛ける近江。3バックの一角ながら、背番号10を付け、後方から果敢なドリブルで攻撃参加する、キャプテンの3年生・金山耀太選手を中心に、全国ベスト4の目標を掲げます。
一方、草津東は、伝統の堅守速攻に状況に応じてボールをつなぐポゼッション・サッカーを展開。全国大会出場12回、第79回大会では全国準優勝も成し遂げた名門が新たなスタイルで覇権奪還を狙います。
試合は前半19分。相手陣内で近江の金山耀太選手が針の穴を通す絶妙なパスを出し、抜け出した3年生FWの小山真尋選手がゴールに流し込みます。
しかし、草津東も後半23分。途中出場の2年生・力石龍之介選手からパスを受けた今大会初スタメンの3年生・仙波珀都選手が強烈なミドルシュートを突き刺し、同点に追いつきました。
前後半の80分でも決着がつかず、またも延長に入った決勝。両チームとも体を張ったディフェンスを見せて、一歩も譲りません。
決着がついたのはPK戦が見えてきた延長後半アディショナルタイムでした。近江の2年生・山本諒選手が相手2人を引きつけ、姿勢を崩しながらもパス。これを3年生の大谷結衣斗選手がゴール右隅に決めて劇的な決勝ゴール。どちらも途中出場の選手たちで近江の層の厚さが勝利を引き寄せました。
意地と意地がぶつかり合った滋賀の頂上決戦。わずかに上回った近江が2大会連続3回目の全国大会出場です。
キャプテンの金山耀太選手は「苦しい時間帯もあったが、今年1年間チーム力にこだわってやってきたので、最後決勝の舞台でチーム力が出せてよかった」と、全員でつかんだ勝利をかみしめました。
チームを率いる前田高孝監督は「ここからが勝負だと思っているので、全国で躍動できるようにがんばっていきたい」と意気込みます。
ライバルの存在が高めてくれたチーム力。どこよりも大きな勢いを手に入れ、近江は12月31日の初戦でインターハイ3位の日大藤沢と対戦します。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/びわ湖放送)
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