102回目の開催となる全国高校サッカー選手権大会。堀越と早稲田実の2校が全国大会へ進出しました。今回は東京A代表の堀越高校の東京都大会決勝を振り返ります。
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99回・100回大会と全国選手権出場。99回大会ではベスト8まで進出した堀越。対するは10大会ぶり10回目の全国出場を目指す修徳との一戦となりました。
「選手主体」を掲げ「ボトムアップ理論」を採用している堀越。日々の練習から戦術・試合中の交代まで主将の中村健太選手を中心に決めています。堀越は攻撃の時は4-3-3でボールを保持しながら前進し、守備の時は4-4-2で前線から圧力をかけるハードなプレースタイルが特徴です。
一方の修徳もスタートのポジションは4-3-3。「スタイルがないのが今年のスタイル」と吉田拓也総監督が掲揚するように189cmの規格外フォワード ンワディケ ウチェ ブライアン 世雄選手を中心に相手や状況に合わせて、長短織り交ぜたパスで多彩な攻撃を見せます。
互いにボールを保持したいチーム。一発勝負のトーナメントらしからぬ落ち着いた前半を見せます。堀越は2年生で構成された4バックとワンボランチの位置に入る渡辺隼大選手でリズムを作り、センターフォワードの髙谷遼太選手のポストプレーなどを中心に組み立てていきます。修徳は堀越のハイプレッシャーを落ち着いてかわしながら左サイドバックの主将・島田侑歩選手、左のウイング田島慎之佑選手を中心に堀越ゴールに迫ります。
試合が動いたのは後半5分。左サイド奥深くで10番・田島慎之佑選手がキープし、フォローにきた島田侑歩選手にパス。島田選手がダイレクトで柔らかいクロスを中央にあげると、待っていたンワディケ ウチェ ブライアン 世雄選手がヘディングでゴールに流し込み先制。修徳が均衡を破ります。
その後一進一退の攻防が続きますが、試合の時計が進むにつれて主導権を握るのは堀越。そして試合終了間際。右サイドからあがったクロスに反応した髙谷遼太選手がヘディングするとボールはゆるやかな弧を描きゴールに。エースの一発で試合を振りだしに戻します。
延長戦も両者譲らない攻防を見せPK戦に。先攻を選んだ堀越の一人目は主将・中村健太選手。ゴール左隅を狙いましたが修徳のGK小森獅音選手がコースを読み切りセーブ。修徳が勢いに乗ります。その後両チームとも2人ずつ決め、後攻の修徳3人目は主将・島田侑歩選手。勢いよく蹴り込んだボールは無情にもバーに弾かれPK戦も振りだしに戻ります。
大勢の観客に見つめられる中、試合を決めたのは堀越のGK吉富柊人選手でした。修徳の4人目のキックをセーブすると、5人目のキッカーにもプレッシャーをかけボールはバーへ。吉富柊人選手の活躍でキッカーのミスを3連続で誘発。堀越が勝利しました。
両者が死力を尽くした決勝戦。敗者となってしまった修徳も最後まで諦めないプレーで見ている者の心を打ちました。勝利した堀越は99回のベスト8超えに向けて12月29日の愛媛代表・今治東との初戦に向かいます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/日本テレビ)
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