2023年度、道内加盟175校の頂点を決める舞台は史上初、北海道コンサドーレ札幌の本拠地・札幌ドームでした。今回は、北海道代表・北海高校の北海道大会決勝を振り返ります。
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決勝の舞台に進んだ2校は、ことし創部100周年で初の北海道大会3連覇がかかる北海と、夏の高校総体北海道大会で3連覇を成し遂げ、今季プレミアリーグにも参入している旭川実業。選手権北海道大会では、ここまで2年連続で直接対決し、いずれもPK戦の末に北海高校が勝利してきました。まさに因縁の対決です。
“黄色のイナズマ”として「堅守・速攻」という伝統を脈々と受け継ぐ北海は、いずれも3年生FW田中準人選手と野村光希選手の2トップが攻撃のキーマン。一方の旭川実業は、主将のDF庄子羽琉選手を中心とする統率のとれた堅守が特徴で、エースFW和嶋陽佳選手が攻撃の起点です。
似たスタイルの両校、試合は早々に動きます。前半6分、北海ダブルエースの1人、野村光希選手の左サイドからの折り返しを、同じくエース田中準人選手が利き足と逆の左で振り抜きます。ボールは右ポストに当たりながらもゴールの中へと転がり、北海が先制。
しかし前半32分、旭川実業も反撃。エース和嶋陽佳選手がパスを受けると、2タッチで放ったシュートが決まり同点に。それでも後半21分、MF中村心のゴールで北海が勝ち越し。このまま勝負が決するかと思いきや、後半残り3分を切ったところで旭川実業DF鈴木奏翔選手が同点ゴール。両校にとって、3年連続となる延長戦へともつれ込みます。
迎えた延長後半2分、北海DF武笠健次郎選手からのゴール前へのパスに合わせたのは、スタメン唯一の2年生DF渡部雄大選手。劇的な勝ち越しゴールで、北海が3年連続13回目の全国出場を決めました。
試合終了の笛が鳴ると、旭川実業だけでなく北海の選手も涙を流しました。それだけ自分たちの全てを出し切った1戦だったのです。
北海主将の川合航世選手は「対人・球際・空中戦で負けないということを意識してやってきた。磨いてきた"堅守・速攻"を全国でも見せたい」と意気込みます。
また、30年以上チームの指揮を執る島谷制勝監督は「積み重ねてきた先輩たちの力があっての北海道大会3連覇。まずは全国初戦を勝ち抜きたい」と、前を見据えました。
創部100周年のメモリアルイヤー。伝統を守り、新たな歴史を紡ぐ“黄色のイナズマ”は、12月29日に香川県代表・大手前高松との初戦を迎えます。
※写真は北海の2トップ 田中準人選手(左)と野村光希選手(右)
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/札幌テレビ)
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