102回目の開催となる全国高校サッカー選手権大会。三重県大会は4大会ぶりに優勝を果たした伝統校、県立四日市中央工業高校が県内最多35回目の全国選手権出場を決めました。今回は三重県代表・四日市中央工業高校の三重県大会決勝戦を振り返ります。
【画像】102回大会も国立競技場での開会式・開幕戦で幕を開ける全国高校サッカー選手権大会
◇ ◇ ◇
前回大会は決勝戦で県立津工業高校に敗れ、涙をのんだ県立宇治山田商業高校と、4大会ぶりの優勝を目指す四日市中央工業が対戦した三重県大会決勝戦。四日市中央工業にとって宇治山田商業は、前回大会の準決勝、100回大会の準々決勝と2年連続で敗れている相手。三度目の正直で臨む宇治山田商業との決勝戦でした。
攻守の切り替え、球際の強さ、戦う気持ち。選手権で1回、インターハイで2回、合わせて全国制覇3回を誇る四日市中央工業が守ってきた伝統です。
今年度の四日市中央工業は、背番号10番で主将、攻守の要となる片岡空良選手を中心に、伝統のサッカーをもう一度徹底してきたほか、選手が連動する素早いパスワークが特徴のチーム。伝統校の復活へ、主将を中心に4大会ぶりに決勝へコマを進めました。
決勝は開始早々の前半5分に動きます。四日市中央工業の伝統のエースナンバー17番を背負う、平野颯汰選手が左サイドからドリブル突破でボックス内に進入し、いきなりの先制ゴール。2年連続で決勝戦にコマを進めている宇治山田商業に対し、キックオフから積極性を見せると、前半29分にも左サイドを起点にした崩しで、最後は14番の西脇葉選手が冷静に流し込み追加点。
後半は途中出場のフレッシュな選手が躍動し、後半28分には11番の中島晴伶選手が高い位置でボールを奪って3点目を挙げると、後半31分には17番の平野颯汰選手がこの試合自身2点目となるゴールを決め4対0、宇治山田商業を引き離します。
守備では前後半を通して最終ラインが安定したプレーを見せ、さらにはGKの松成立夢選手がビッグセーブでチームに貢献し無失点。四日市中央工業が4対0で勝利し、4大会ぶりの優勝、35回目の全国選手権出場を決めました。
優勝インタビューで涙を見せた伊室陽介監督は「負けた時の3年生の姿を見てきました。その気持ちを込めて戦いました」と、3年間で一度も選手権に出られなかった去年の3年生、敗れてきた選手たちの思いが力になったことを話しました。
また主将の片岡空良選手は「四日市中央工業は一度、全国で両校優勝をしているので、僕たちは初の単独優勝を目指します」と、全国に向けての抱負を力強く話します。
4大会ぶりの優勝。四日市中央工業は初めて全国選手権に出場した第51回大会からの約半世紀、3大会連続で全国選手権を逃したことは一度もありませんでした。去年の3年生は3年間一度も全国選手権に出場できない悔しさ、全国への思いを後輩たちに託し、卒業しました。
去年の先輩の思いを胸に、伝統校を復活させ、夢の全国選手権に帰ってくる四日市中央工業。今大会の応援リーダーとなったOBの浅野拓磨選手は90回大会で全国準優勝を達成しています。
今度は偉大なOBを超え、悲願の全国選手権単独優勝が目標です。四日市中央工業の初戦は12月31日の2回戦。石川県の強豪、星稜高校と対戦します。
※写真は決勝戦で2ゴールを決めた17番・平野颯汰選手
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/三重テレビ放送)
シェアする