海と山に囲まれた青森県は、豊かな自然と共に生きるまちです。冬の名物は「八甲田の樹氷」。八甲田に群生するアオモリトドマツが着雪した姿は「スノーモンスター」と呼ばれます。
そんな雪深い地での練習で鍛え抜かれた青森山田高校サッカー部は強靭なフィジカルが武器。まさにスノーモンスター級の迫力です。
12月28日に開幕する第102回全国高校サッカー選手権大会。27大会連続29回目の出場となる青森県代表の青森山田。初戦は12月31日の2回戦、福岡県代表の飯塚と対戦します。
青森山田は、今まで3度の選手権制覇。U-22代表・松木玖生選手(FC東京)がキャプテンを務めた2021年度には、第100回全国高校サッカー選手権、夏の高校総体、高校年代最高峰のリーグ「高円宮杯プレミアリーグEAST」の3つのタイトルを手にし、3冠を成し遂げました。日本代表として活躍した柴崎岳選手(鹿島アントラーズ)をはじめ、多くのプロ選手を輩出しています。
■黒田剛監督と正木昌宣監督 ともに全力で
29年間青森山田高校サッカー部を指導し、高校サッカーの歴史をつくった黒田剛前監督。青森山田を離れる際に正木昌宣監督と交わした約束は「お互いにJ2優勝・プレミアリーグ優勝」でした。
黒田監督は、FC町田ゼルビア監督就任1年目でJ2優勝、J1昇格。卒業生であり19年間青森山田のコーチを務め、監督を引き継いだ正木監督は、プレミアリーグ東地区で優勝。そして東西王者の決戦「ファイナル」を制し、日本一に輝きました。
Jリーグと高校サッカーという異なる舞台で互いに勝利を重ねる両監督は、仲間であり刺激を与え合うライバルです。球際の強さ、体を張った守備、少ないチャンスをものにする「青森山田のサッカー」は、次の時代へと受け継がれています。
■「雪国のフィジカル軍団~スノーモンスター~」青森山田
雪の降りしきる青森の12月。朝、昼、練習前に雪かきをしないとボールを蹴れないグラウンドを前に青森市出身の山本虎キャプテンは、「環境ではなく、自分たちがどうやるか。どんな状況でもいい準備はできる」ときっぱり答えます。
2大会前の三冠を目の前で見たのが今年の3年生。合言葉は「王座奪還」。夏の高校総体3回戦敗退の悔しさをバネに辿り着いた日本一の称号を掲げ、雪国のフィジカル軍団が選手権の舞台で暴れます。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/青森放送)
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