第102回全国高校サッカー選手権大会福島県大会の決勝は3連覇を目指す尚志と11大会ぶりの優勝を目指す聖光学院の対戦になりました。福島県代表をかけた決勝戦を振り返ります。
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実はこの両校、今年夏のインターハイの県大会決勝でも対戦しています。結果は、尚志が4-1で勝利し13年連続15回目の優勝を飾りました。全国を目指す福島県内の高校にとって、尚志の存在は絶対的な牙城ともいえる状況です。
「尚志を倒さないと全国大会は無い」
選手権の決勝で再度相まみえることとなった聖光学院の山田喜行監督はそう語り決戦に挑みました。
決勝で最初にビッグチャンスを迎えたのは聖光学院。右サイドからのコーナーキックのこぼれ球に吉田友樹選手(3年)がダイビングヘッドで押し込もうとします。しかし、わずかにゴールの左に抜けてしまいます。
その直後の前半33分でした。尚志はゴールキックからのボールを安斎悠人選手(3年)に繋ぎドリブルからのシュート。ポストに当たったこぼれ球を笹生悠太選手(3年)が押し込み先制点を奪います。
さらにその3分後、尚志はペナルティエリア手前でフリーキックを獲得すると、白石蓮選手(3年)の左足で放たれたシュートが決まり追加点を上げます。このフリーキックはディフェンダーの壁をかわし、キーパーが1歩も動けないという圧巻のゴールとなりました。
立て続けにゴールを奪われた聖光学院。ディフェンダーの背後を狙う縦の攻めに強いサッカーを持ち味に4回戦から準決勝まで全て1点差で勝ち上がってきた粘り強さもあります。後半はフォワードの吉田友樹選手(3年)と渡邉陽路選手(3年)を中心にゴール前まで迫りますが、尚志の硬い守備に阻まれ得点を奪えないまま時間が過ぎていきます。そして、試合終盤、尚志の髙瀬大也選手(3年)がコーナーキックからのボールをヘディングで押し込み、3-0で大会3連覇。14回目の選手権全国大会進出を決めました。
試合後のインタビューで尚志の仲村浩二監督は「もうちょっと上手くゲームを進めたかったが、聖光学院さんの背後への速さと2トップの動きに苦しめられました。今年はプレミアリーグでもまれてすごくいいチームに仕上がっていたので、負けられないというプレッシャーは強く、勝ててほっとしてます」と語りました。
『見ていて楽しいパスサッカー』を掲げて26年チームを率いてきた尚志の仲村監督は今年のチームを「歴代ナンバーワンの総合力と意識の高さがある」と評価します。
3年生の神田拓人選手、安斎悠人選手は19歳以下日本代表。網代陽勇選手は18歳以下日本代表候補。市川和弥選手は17歳以下の高校選抜に選出されるなど歴代屈指の選手が揃い、全国の強豪校の中でも注目を集める存在となっています
全国高校サッカー選手権では第90回、97回大会でベスト4に進出したのが最高成績ですが、試合後のインタビューで「このチームは全国を獲れるチームになったと思うので獲りに行きます!」と力強く語りました。
また、渡邉優空キャプテンも「ピッチに立っているメンバーは131人の全ての部員の思いを背負って、全員で戦うチームとして全国で戦います」と意気込みを語りました。
東日本大震災から12年。震災を乗り越えた強い福島を全国の人に伝えたいと選手権に臨む尚志高校。悲願の全国制覇に向けて14回目の全国の舞台に乗り込みます。
初戦は12月31日、前回大会王者の岡山学芸館と戦います。
(取材・文:高校サッカー選手権民放43社/福島中央テレビ)
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