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storyストーリー

#07死後認知〜七人の隠し子〜
2025年3月8日 放送

相続探偵・灰江(はいえ)七生(なお)(赤楚衛二)の事務所に、恩師で東京大学法学部教授・荻久保(おぎくぼ)(しん)一郎(いちろう)(佐戸井けん太)が訪ねて来る。「久しぶりにワインでもどうかと思ってね」と高級ワインを手土産に持ってきた荻久保は、来て早々、灰江に「テレビをつけてくれ」と言う。

テレビでは午後のワイドショーを放送中で、先々月に亡くなった東大教育学部名誉教授・薮内(やぶうち)晴天(はれる)(佐野史郎)の隠し子疑惑を報じていた。紫綬褒章をはじめ数々の褒章を受け、児童青年教育の権威だった薮内に、死後、7人もの隠し子疑惑が浮上したのだ。週刊誌が独自に行ったDNA鑑定の結果、薮内と7人の隠し子は親子関係にあることがはっきりしたというが、薮内の妻・佐賀美(さがみ)(筒井真理子)は全くの事実無根で遺産目当ての狂言だと反論しているという。

すると、コメンテーターとして番組に出演中の弁護士・福士(ふくし)(落合モトキ)が、「民法には、『死後認知』という制度があるんです」と解説。たとえ隠し子であったとしても、裁判所でDNA鑑定などにより親子関係を証明できれば、法律上の父子関係が生じ、遺産相続の権利を得ることができるという。薮内の場合、隠し子以外に実子がいないため、5億円の遺産は、妻の佐賀美が半分、もう半分を隠し子の7人で7等分。つまり隠し子たちは1人3千5百万円も手に入れることになる……。

しかし、薮内とは家族ぐるみの付き合いだった荻久保は「薮内くんほどの愛妻家に隠し子はありえない」と疑惑を真っ向から否定。自宅をマスコミに囲まれて引きこもっている佐賀美を救うためにも、薮内の疑いを晴らしてほしいと灰江に頼む。

高級ワインも飲んでしまったし、他でもない荻久保の頼みとあって依頼を引き受けた灰江は、令子(れいこ)(桜田ひより)、朝永(ともなが)(矢本悠馬)と共に隠し子7人について調べ始めるが、裏で因縁の相手・ハゲタカことフリーの週刊誌記者・羽毛田(はげた)(かおる)(三浦貴大)が1枚かんでいることが分かり……。果たして疑惑の真相は!?

以下、ネタバレを含みます。

朝永が用意した隠し子7人のリストをもとに、灰江と令子がそれぞれの家を片っ端から訪ね、隠し子疑惑の記事を書いたのが羽毛田であることを突き止める。灰江は隠し子たちに「もう一度DNA検査をさせてほしい」と頼むが、7人全員、検査を拒否。そればかりか、凶器をちらつかせて灰江と令子を追い払おうとする。実は7人とも刑務所に入っていた過去がある悪党だったのだ。そのことに感づいていた灰江。激しいバトルの末に、灰江と令子は7人のもとから髪の毛やタバコの吸い殻などDNAが採れそうなものを命からがら持ち帰る。

灰江は「とりあえず初期の目的は達したかな」と、これで隠し子疑惑の記事をつぶせると確信。その読み通り、再び警察に捕まることを恐れた隠し子たちが週刊誌に記事の取り下げを要求。すでに今後の連載枠を抑えていた週刊誌は大打撃を受け、記事を持ち込んだ羽毛田の面目は丸つぶれとなる……。

灰江が持ち帰った自称・隠し子たちの所持品をDNA鑑定にかけた結果、誰一人として薮内との親子関係は認められなかった。ならば羽毛田が裏取りしたはずのDNAは、一体誰のものなのか?薮内の子どもであることを証明するには、父親である薮内の遺伝子と母親の遺伝子を半分ずつ受け継いでいなければならない。だが、そもそも薮内には実子もいなければ兄弟もいない。謎は深まるばかり……。唯一の手掛かりは、自称・隠し子の7人が同じ時期に同じ刑務所に服役していたことだけ。

当時の刑務所内の情報を得ようとする灰江は、裏世界の高利貸・金山(かなやま)(渋川清彦)から当時の受刑者リストを手に入れる。しかし、そのリストの中にも、薮内の親類縁者や関係者は一人もいない……。完全に行き詰まってしまう灰江に、令子がボソッとつぶやく……「教授に双子の兄弟とかいれば、話が早いのにな」。

そう、一卵性双生児ならばDNAは同じ。つまり薮内に双子の兄弟がいれば、その子どものDNAを使って薮内と親子の判定を出せるのだ。すると灰江が何かにひらめき、「そうか、双子か!『藁の上からの養子』だよ」――。その昔、出産の時に床に藁を敷いたことが語源とされる『藁の上からの養子』。それは、生まれたばかりの赤ん坊を他人が直接もらい受け、養子という法律上の手続きを経ずに自分たちの子として戸籍に入れた子どものこと。地域によっては“双子が生まれると縁起が悪い”という迷信があったため、片方を他人に譲り、譲り受けた側は実の子として出生届を出すことがあったという。もしかして、薮内にも双子の兄弟がいたのかもしれない……。改めて受刑者リストを調べると、薮内と同じ生年月日の人物――窃盗の累犯で服役していた郷田(ごうだ)(しじみ)を発見!郷田の顔写真は、確かに薮内とそっくりだ……!

郷田蜆は、ある病魔に侵され東京墨成大学病院に入院していた。灰江が病床を訪ねると、郷田は「思ったより早かったな。俺にたどり着くのが」と言う。すでに覚悟を決めていたらしい郷田は、薮内と一卵性双生児であることを認め、「俺がどれだけ運が悪いか、教えてやろうか?」と、『藁の上からの養子』である自らの壮絶な生い立ちを話し始める。生後すぐに引き取られた郷田家は貧乏のどん底で、母親の浮気により父親は荒れ、郷田は幼い頃から殴られてばかりいた。母親からは「もらいっ子は勉強なんかしなくていいんだよ!働きな!」と罵倒され、ろくに勉強もさせてもらえず、中学を出てすぐに就職。苦労の日々を過ごしながら大人になった郷田は、テレビで活躍する薮内を見て、がくぜんとした。

同じ顔をしたもう一人の自分が、何不自由なく東大を出て人々に称賛されている……。薮内を恨み続けた郷田は、やがて薮内が死んだことを知ると、今こそ復讐の時だと思い立ち、刑務所仲間に“自分の息子のDNAを使えば多額の遺産が手に入る”と持ち掛けた。同時に、羽毛田を雇って記事にしてもらったのだ。裁判所で改めてDNA検査を受ければウソがバレることくらい、郷田も初めから分かっていた。それでも犯行に及んだのは、郷田の目的が薮内の遺産ではなく、薮内の名誉を傷つけること、ただそれだけだったからだ。そして何より、郷田は自分の命も残りわずかだということを知っていた……。

実は薮内が亡くなったのは、この東京墨成大学病院だった。東大教授だった薮内が東大病院に入院しなかったのは、この病院に、遺伝由来と推定される難病『パトリシア病』の専門医がいたためだ。薮内の死因はその『パトリシア病』で、同じ遺伝因子を持つ郷田もまた『パトリシア病』に罹患していたのだ。

「ざまあみろ」――死の間際になってようやく薮内の名誉を傷つけることができた郷田。すると病室に、郷田の息子・妻鹿夫(めかぶ)(柾木玲弥)が現れる。父親の犯行に加担したワケを「あいつが許せねえからだ」と涙ながらに訴える妻鹿夫は、幼い頃、郷田に連れられて薮内に会いに行ったことがあるという。その時の郷田は、ただ兄弟として薮内と話がしたかった、それなのに……郷田の顔を見た薮内は「いずれ金を無心に来ることは分かっていたよ」と、郷田に金を渡し、「二度と俺の前に姿を現すな」と吐き捨てた。父を侮辱した薮内のことが、妻鹿夫はどうしても許せなかったのだ……。

灰江は郷田の境遇に理解を示しつつも、「薮内教授の奥さんには何の罪もない」と、録音した今の会話を週刊誌に持ち込むつもりであることを告げる。すると郷田は笑いながら、「確かに俺は、見るからに真っ黒な犯罪者だ。だが本当に真っ白な人間なんて、果たして存在すると思うか?」――何のことか分からない灰江に、「君は探偵なんだろう?せいぜい自分で調べるといい」と言う郷田。

その頃、薮内家では、佐賀美が一人、ゴルフ場で撮影された薮内の写真をぼうぜんと見つめていた。一方、灰江に赤っ恥をかかされた羽毛田は、暗がりの中でカメラを構えながら「ワシのリベンジはこれからや。見とれよ、ハイエナ~」と声を殺して笑う。羽毛田の視線の先には、一人の青年がいて――。

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