「姉は…シムネスだったんです」――病院からの帰り道、澪(川栄李奈)は今まで秘密にしてきた過去を大河(高杉真宙)に打ち明ける。
半年前に命を落とした姉・唯(成海璃子)のこと…、自分のことを“人殺し”と言った理由、そしてなぜナースエイドとして星嶺医大にやって来たのか……?
全てを告白し寮に戻った澪を待ち受けていたのは…、乱雑に荒らされた自分の部屋。
留守の間に泥棒に入られたようで、なぜか机の上に置いていたはずの“ノートPC”だけが盗まれていた…。警察が調べる間、部屋に入れなくなってしまった澪は、隣に住む大河の部屋に一晩泊めてもらうことになり……。
翌日、澪の“お泊り事件”を知ったナースエイド部屋はプチ騒ぎ。晴美(水野美紀)と夏芽(吉住)はどベタなラブコメ展開に興味津々。一方、澪に想いを寄せる相馬(矢本悠馬)は、気が気でない。
その夜、澪たち一同は居酒屋『乙女』に立ち寄り、相馬の大学時代の友人・内藤雄二(戸塚純貴)と鉢合わせる。相馬と内藤は口下手同士仲が良かったが、会うのは2年ぶり。聞けば、内藤は当時付き合っていた恋人・伊織(浅川梨奈)と別れてしまったらしい。「なんで?あんなに好きだったのに…」と、相馬が理由を尋ねた途端…!内藤は急に人が変わったように大声を出して、「俺はまだ伊織ちゃんのことが好きなんだよ!」と叫び始める。内藤の豹変に、相馬は驚いて…。
しばらくして我に返った内藤は、叫んだ記憶が全くないと言う。実は最近、職場でも同じように突如豹変し、先輩に暴言を吐いてしまったらしい。念のため星嶺医大で検査を受けた内藤を待ち受けていたのは、衝撃の検査結果で…。 物静かな男が突然豹変するワケとは一体…?
そんな中、突如澪の前に、姉の死に関係する“ある人物”が現れる…!
以下、ネタバレを含みます。
半年前、多摩中央総合病院の外科医だった澪は、若くして“天才”と呼ばれ将来を嘱望されていた。そんな澪を火神が星嶺医大にスカウトしたが、その直後、姉・唯の『シムネス』が発覚。『シムネス』=全身性多発性悪性新生物症候群。全身に同時多発的に悪性腫瘍が生じ、確認できる腫瘍を全て切除したとしても、すぐに新しい腫瘍が発生して必ず患者を死に至らしめる…、火神が長年、研究テーマとして掲げている魔病だ。澪は唯の主治医となって最後までそばにいることを約束し、火神のスカウトの話を断った。
唯に少しでも長く生きてもらいたかった澪は、リスクを承知で半ば強引に手術に踏み切った。しかしその結果、唯は松葉杖なしでは歩くことができなくなってしまった。新聞記者として仕事一筋に生きてきた唯は絶望のどん底に…。婚約していた恋人・橘信也(上杉柊平)に一方的に別れを告げ、『澪…ごめんね』というメッセージを残して、自ら命を絶ったのだった…。
姉を死に追いやった私は人殺し…と自分を責める澪は、それ以来PTSDとなり、メスを持つどころか注射さえも怖くてできなくなってしまった。そんな澪を見かねた火神が「医療行為をしないナースエイドならできるだろう?」と、星嶺医大に呼んだのだ。
相馬の親友・内藤雄二は、検査の結果、『脳炎』と診断された。記憶障害や異常な言動は、それによるものだった。内藤はそのまま入院。まずは脳炎の原因を突き止めるのが先決だが、担当医から内藤のカルテを見せられた火神は、急に顔色を変え、主治医を大河に変更する…。
相馬は、両親のいない内藤のために、入院生活に必要な着替えや日用品の準備役を買って出る。「仲いいんだね」とほほ笑む澪に、「僕…あいつに借りがあるんです」と相馬。ナースエイドになる前に勤めていた会社でのイジメで退職に追い込まれ、引きこもってしまった相馬に、内藤はこんな言葉をかけてくれた…「人生、前向きに生きてる方の勝ち」。あの言葉のおかげで再び外に出ることができたのだ。とはいえ特に目標もなく、ナースエイドの仕事も惰性で続けてしまってはいるけれど…。
内藤の病室に、突然元カノ・伊織が現れる。2年前に別れてからも内藤は伊織のことをずっと思っていたが、ふられた手前、自分から連絡はできずにいたのに、「一体なぜ…?」なんと伊織の話では、昨夜、内藤が電話をかけてきて「ずっと好きだった!会いたい!」と懇願してきたらしい。だが内藤は病気のせいで全く覚えておらず、伊織はショックを受ける。実は伊織は、内藤と別れたことを後悔していた。自分から“別れたい”と言ってしまったが、本当は内藤のことが忘れられず、昨夜の言葉が嬉しくて飛んで来てしまった…「バカみたいだよね」と肩を落として病室を去ろうとする伊織に、「待ってください!」と澪。確かに脳炎は異常な言動を引き起こす…でもその一方で、腹の底にたまった本音が出てしまうという症状も多数報告されている。澪に背中を押された内藤と伊織は、お互いようやく素直になって…。
ところが翌日、澪は、大河から衝撃の事実を聞かされる。「彼はシムネスだ」――澪は言葉を失う――。
大河は内藤に事実を告知する。このままなら余命は1カ月。バチスタ手術を行えば1年ぐらいの延命は見込めるが、リスクは極めて高い…。死を覚悟した内藤は、伊織の将来を思って「退院したら仕事に専念したい」とウソをついて伊織を冷たく突き放す。涙する伊織…。でも澪たちナースエイドにはどうすることもできない。伊織に本当のことを伝えるのは守秘義務違反になるし、何より内藤の気持ちを尊重しなければならないからだ。2人のために何ができるのか…、惑う澪に大河が言う…「まず姉と向き合え」。
澪は、今まで避けてきた“姉の死”と向き合う覚悟を決め、唯の遺品を保管しているレンタル倉庫からノートPCを取り出す。生前の唯が「私の全てが詰まっている」と言っていたPC。姉は死の直前に何を思っていたのか…私を恨んでいたのでは…押しつぶされそうになりながら、澪は意を決してPCを開ける……と、そこには予想もしていなかったメッセージが残っていた。 『澪へ、私が死んだ後、あなたを苦しめたくない。死にゆく者が最後にやるべきことは、自分が死んだ後、生きている人がちゃんと前向きに生きられるようにすること。』 澪は、内藤の元へ急ぐ――。
内藤はバチスタ手術を選択していた。「たった1年の延命ですけどね…ただ後悔はしたくない」と言う内藤に、「伊織さんの気持ちは?」と澪は問う。このまま内藤が亡くなれば、何もできなかった伊織にはきっと後悔だけが残る…。姉に何もしてやれなかったことを今も毎日後悔している自分と同じ思いを、伊織にさせてほしくない。死にゆく者が後悔を残したくないのと同じように、生き続ける者にも後悔を残させては駄目だ…「あなたの全てを伊織さんに伝えた上で、これから生きていく伊織さんに選ばせてあげて!」…その言葉に突き動かされた内藤は、ついに伊織に本心を伝える…「僕は君を愛している」…その思いを、伊織も涙で受け止めるのだった。
大河による内藤の手術は無事成功。内藤と伊織の幸せそうな姿を見た相馬は、「死ぬ前にあんな前向きな笑顔ができる人間は、勝ちです」 …そして、相馬も目標が決まった。「ナースエイドです。僕も澪さんのように患者に寄り添って、あんなふうに笑顔にさせたいです」。
澪は改めて唯のPCを開き、メッセージの続きを読む。『私は最後に伝えておきたいことがあります…それは』…文章はそこで終わっていた。姉は何を伝えたかったのか?思案する澪の元を、意外な人物が訪ねて来る。「澪ちゃん」…唯の元婚約者で刑事の橘だ。突然現れた橘は、思いも寄らない言葉を口にした…「唯は自殺じゃない…殺された」――澪の思考が止まる――。