澪(川栄李奈)は、姉を殺害した可能性が高い男・辰巳(やべきょうすけ)のアジトと思われる山奥の屋敷の前で大河(高杉真宙)を目撃する。
刑事の橘(上杉柊平)が調べたところ、屋敷が辰巳と関係のある場所だということは間違いない。だとすると、何故大河があそこにいたのか…?大河と辰巳はつながっている…?姉のこと、辰巳のこと、そして大河のこと…。分からないことだらけで澪の頭の中はグチャグチャ。仕事に身が入らず、患者が話し掛けても上の空で、大河にもよそよそしい態度をとってしまう…。
その頃、火神(古田新太)は独自に開発したオペレーションシステム『オームス』の実用を目指し、オームスに適応できる人材を探していた。「オームスを使いこなせる人間だけが、魔病シムネスに打ち勝つことができる」と豪語する火神。しかし、大河でさえ使いこなすことができないオームスを、並の医師が扱うことは到底不可能で、適応者が見つからないまま時間だけが過ぎていく。焦り始める火神の耳に、大河に関する悪いウワサが届く…。
澪の悩みなど知る由もないナースエイド控室では、他人の色恋沙汰を面白がる夏芽(吉住)が、澪に好意を寄せる相馬(矢本悠馬)に「グズグズしてないで、コクっちゃいなよ」とけしかけ、相馬が遂に“覚悟”を決める。一方、晴美(水野美紀)は最近帰りが遅い大学生の息子のことで、澪は大河と辰巳の関係のことで頭がいっぱい…。
そして、遂に我慢できなくなった澪は、朝早くから車で出掛けていく大河をこっそり尾行するが、たどり着いた先で澪が目にしたのは衝撃の光景で…。
姉の死の真相に迫る澪に、またもや不測の事態が襲い掛かる!!
以下、ネタバレを含みます。
火神が実用を目指す『オームス』とは、火神細胞にミクロ単位のバイオコンピューター回路を組み込んだ『新火神細胞』を、外部からの電気刺激と磁力で操作するシステムのことだった。いくつもの新火神細胞を患者の血管から注入し、それを操作し腫瘍に集めて、一気に食い尽くす…。魔病シムネスに打ち勝つための最終兵器だ。しかし、オームスを扱う者は心身共に大きなダメージを受けるため、並の医師では耐えられない。玲香(瀧本美織)でも5分がやっと、大河ですら15分で体が悲鳴を上げる。最低でも1時間は操作出来ないと実用化は難しいが、適応者はいまだ1人も現れていない。
夏芽は仕事終わりに澪と相馬を飲みに誘う。元気のない澪を励ましたい…というのは建前で、本当は相馬に告白のチャンスを与えるため。予定通り、ほろ酔いになったところで夏芽は気を利かせて先に帰り、澪と相馬は2人きりに。ところがその直後、2人は晴美にバッタリ鉢合わせる。独りぼっちで泣いている晴美は、息子にGPSを仕掛けようとしたことがバレて、家を出て行かれてしまったという。「持ってると付けちゃうから、あげる」と、澪は晴美からGPSを譲り受ける…。
翌日、澪は、朝から車で出掛けていく大河をタクシーで尾行するが、ある病院にたどり着いたところで大河に見つかってしまう…「こんなところで何をしているんだ」。観念した澪が「辰巳浩二とはどういう関係ですか?」と問い詰めると、大河は、辰巳とつながっていることをあっさり認めた…。大河が言うには、あの屋敷は辰巳の隠れアジトで、バレないように他人名義で借りているらしい。しかも…「辰巳は俺の患者だ。正確には、患者の1人だ」…実は、澪と大河が今いるこの病院には、辰巳の2歳になる娘が入院している…。病名は先天性胆道閉塞症。胆管が生まれつき閉塞している疾患で、そのまま放置すると肝不全を起こして命を落とす危険がある。それを防ぐために1度手術を受けたのだが、執刀医がミスをしてしまい、それにより肝硬変が進んで肝不全を起こしてしまった…。このままだと余命は2、3カ月。助けるためには肝移植するしかなく、そのドナーが、父である辰巳なのだ。手術は3日後、あの屋敷で辰巳の肝臓の一部を取り出し、この病院に再び運んで移植する。警察に追われている辰巳が居場所を隠して手術するためには、そうするしかない…。
そんな危険なオペを大河が引き受けるワケは、辰巳の娘の手術をミスした執刀医の佐々木が、大河が昔世話になった医師だからだ。「だからって…」…澪にとって辰巳は姉の敵。そんな人物の手術をなぜ引き受けるのか理解できず、警察に連絡しようとするが…「2歳の子どもを見殺しにする気か?」と大河。「目の前に助けられる命があるなら救う、それが医者だ。まだ医者としての魂があるのなら前へ進め!おまえの姉もそれをきっと望んでいるはずだ」…大河の言葉で、姉・唯(成海璃子)の“前向きに生きてほしい”という願いを思い出した澪は、悩んだ末、3日後に行われる辰巳の手術に助手として同行することに決める。
辰巳の移植手術当日。大河の車で辰巳の屋敷に向かう澪は、「肝臓の摘出が終わって屋敷を出たら、すぐに橘に連絡して辰巳を逮捕してもらう」…そう決めていたが、屋敷に到着すると、辰巳の部下・清水(松角洋平)は「ボスの居場所を警察にリークされないため、違う場所で手術をしてもらいます」…大河と澪は目隠しをされたまま、清水が用意した別の場所へ連れていかれ、そこで辰巳の手術をすることに…。今居る場所がどこか分からない状況では、橘に報告しようがない…動揺する澪に、大河は「頭の中のゴチャゴチャは一度忘れて、手術のみに集中しろ!」――。
ドナー側・辰巳の手術が始まる。大河の執刀で辰巳の肝臓は無事摘出されるが、かん流を行うはずの助手がトラブルに見舞われ、急きょ大河がかん流を行うことに。「誰か、俺の代わりに縫合できるやついるか?」…誰も手を上げない中、「私にやらせてください!」…志願したのは、澪だ。相手が悪党でも、助けられる命があるなら救うのが医者…。目の前の命を救うために、澪は縫合を始める。だが、やはり手が震え、目まいがして…。そんな澪に、大河が叫ぶ…「おまえと姉との思い出は、悲しいことだけだったわけじゃないだろ!」…澪の脳裏に、唯との楽しかった日々の記憶がよみがえる。「私、なんでこんな大切なこと忘れてたんだろう…」…その思い出に力をもらった澪は、完璧な縫合をしてみせるのだった…。
辰巳の手術を終えた澪と大河は、再び目隠しをされて屋敷に戻ると、肝臓の入ったアイスボックスを持って娘の待つ病院へ急ぐ。移植手術は無事成功。佐々木は大河に礼を言うと、「約束通り5000万振り込む」。大河がオペを引き受けたのは、お金のためだった…。ニヤっとする大河の横で呆然とする澪…。と、突然橘から連絡が…「辰巳を逮捕した!」。実は澪が、晴美から譲り受けたGPSを、辰巳の縫合中にガーゼの中に忍び込ませていた。橘はそのGPSを頼りに、辰巳の潜伏先を突き止めたのだ。しかし、取り調べの結果、唯の死亡時に辰巳は海外にいたことが判明。唯を殺したのは辰巳ではなかった…。「そんな…。やっぱりお姉ちゃんは自殺ってことですか?」…ショックを受ける澪に、橘は衝撃の事実を告げる…「唯が残したノートパソコンに、気になる資料を見つけた」。その資料に載っていたのは、大河の写真だった――。