刑事・橘(上杉柊平)の言う“星嶺医大の秘密”とは一体…?澪(川栄李奈)は姉・唯(成海璃子)の死に星嶺医大が関わっていることを知り、混乱を隠せない・・・。
そんな中、突如大河(高杉真宙)の家族だという少女・小夜子(永瀬ゆずな)が入院してくる。今すぐに手術が必要な危険な状態だが、小夜子にはどうしても手術を受けられない複雑な事情があって…。大河と小夜子の関係とは一体…?この少女の登場により、大河の知られざる過去が明らかに…。澪との思わぬ共通点が見えてくる…。
猿田(小手伸也)に背いて澪の監視をやめた晴美(水野美紀)、夏芽(吉住)、相馬(矢本悠馬)の3人は、猿田が反撃してくるのではないかと不安になる。案の定、猿田は既に火神(古田新太)に根回ししており…。3人の前に現れた猿田は「責任は取ってもらうぞ」・・・もしかして、クビ!?3人のピンチを知った澪は慌てて大河の元に走る…「大変です!猿田先生が、晴美さんたちを火神教授のところへ連れて行きました!」――。
そして、3人は火神から衝撃の一言を告げられるーー。
謎に包まれた星嶺医大の秘密とは!?澪と大河、2人に共通する過去とは…?
1人の少女の登場により、物語は思わぬ方向へと動き出す…。
以下、ネタバレを含みます。
晴美たちが火神に呼び出され、澪は慌てて火神の教授室に飛び込む。「3人を辞めさせないでください!悪いのはこの人たちじゃありません!」。必死で訴える澪に、火神は「いつ、その3人を辞めさせるって言った?」。澪を監視したり部屋に盗みに入ったのは全ては猿田に脅されてやったこと、それを分かっている火神は「猿田くんのことを許してやってほしい」。火神が晴美たちを呼び出したのは、謝罪するためだったのだ。病院の事情は言えないが、責任は全て自分が持つ…火神はそう言って頭を下げると、激しくせき込む…。
晴美たちのクビは免れたものの、澪は自分が監視されていた理由が分からず腑に落ちない。そんな澪を、火神はオームストレーニングルームに案内。星嶺医大の秘密を初めて知った澪は衝撃を受ける…。
オームスを操作する人間は、精神崩壊に追い込まれる危険がある…。その代償の大きさに、「人体実験では?」と澪が疑問を呈すると、火神は「キミのお姉さんも同じようなことを言ったよ」。
…唯は生前、シムネスに興味を持ち、調べていくうちに火神にたどり着いた。火神が『オームス適応訓練』を行っていると知った唯は、その危険性を火神に追及したという。火神は誤解がないよう唯に説明したが、その場に居た猿田は唯を警戒し、唯のことを独自に調べ始めた。“オームス適応訓練は人体実験”…そんな風評が広まれば、せっかくの火神の計画が頓挫しかねないからだ…。
猿田が晴美たちを利用したのは火神のため、ひいては星嶺医大のため…「だから許してやってくれ」と火神は猿田をかばう。さらに、唯が死んだ日、猿田にはアリバイがあったことも判明。唯の死と猿田は無関係…。納得した澪に、火神はもう1つ、真実を打ち明ける。澪を星嶺医大に誘った本当の理由…「私は、キミにオームス適応訓練を受けてほしいと思っている」――。
気持ちの整理つかない澪は、その夜、酒に酔った大河から、自らの生い立ちと火神への思いを聞く。…大河は児童養護施設『板橋羽ばたき園』の出身だった。父は大河が幼い頃に他界し、母は大河が中学生の時に子宮ガンを発症。母の主治医は患者に寄り添う医者だったが、腕はからきし駄目で、母の命を救ってはくれなった。悔しい思いを抱えたまま『羽ばたき園』に入った大河は医者になることを決意。母の主治医とは違う、技術を高めて患者の命を救う医者になるために死に物狂いで勉強した大河は、星嶺医大で出会った火神の深い知識と技術に感銘を受けた。身寄りのない大河を、火神は親身になって面倒を見てくれた、その恩は計り知れない…「だから俺は火神教授の夢ならどんな協力も惜しまない」…。
一方、小夜子は虫垂炎が悪化し、いつ破裂してもおかしくない状態。しかし大河には、小夜子を手術できないワケがあった。未成年の手術をする場合は親権者の同意が必要だが、小夜子の母・早苗(小野ゆり子)が手術を拒否しているのだ。シングルマザーの早苗は、表向きは経済的な負担を理由に小夜子を『羽ばたき園』に預けたことになっているが、実はネグレクトで、小夜子に満足な食事を与えなかったり、育児放棄状態だった…。
大河にとって『羽ばたき園』の子どもたちは家族同然。このまま放っておくことなどできない…。大河は澪と一緒に早苗の元を訪ね、手術に同意するよう説明を試みるが、早苗は「お金がない」と言って耳を貸さない。部屋には化粧道具や高価な香水が散乱し、お金がないようには見えないのだが…。おかしいと思いながらも、早苗に“親権”を盾にされ、どうすることもできない大河…。
早苗には何か事情があるはずだと勘繰る澪は、橘に早苗のことを調べてもらう。すると、耳を疑う事実が発覚。…10年前、早苗は若くして妊娠し、両親に勘当された。早苗はそれでも小夜子を産んだが、相手の男はすぐに別の女を作って出ていってしまった。1人で子育てすることになった早苗は次第に育児を放棄するようになり、小夜子を『羽ばたき園』に預けた。すると早苗の両親は、自分たちの財産を児童養護施設にいる小夜子に生前贈与し、病気で他界。小夜子は児童養護施設に居ながら財産を持つことになった。つまり、いま小夜子が死んだら、その財産は母親である早苗にも渡る…。もし、早苗が財産目当てだとしたら…。
小夜子が虫垂破裂で腹膜炎を起こし、危険な状態に陥る。一刻も早く手術がしたい大河は火神に相談するが、火神は手術を認めない。親の同意なしに手術をすれば傷害罪になりかねないからだ。何か方法はないのか…追い詰められたその時、玲香が秘策を打ち出す…「児童福祉法に基づく緊急の監護措置を申請するしかないわね」。児童の安全確保のため緊急の必要があるときは、親権者の意に反していたとしても、児童養護施設の施設長の同意があれば医療措置が取れる…。玲香は急いで児童養護施設に連絡し、その間、大河は手術の準備を始める。一方の澪は、再び早苗を説得しに行く。だが早苗は「あいつが生まれたせいで私は親にも夫にも捨てられたの!あいつが私の人生をむちゃくちゃにした…私はあの子を救わない、絶対に」…絶望する澪は、泣きながら大河に電話をかける…「先生…ごめんなさい…早苗さんを説得することができなかった…。小夜子ちゃんは先生の家族です…私も先生もどれだけ家族を失えばいいんですか?…」。 大河は電話を切ると、意を決して玲香に告げる…「手術をする」。しかし、児童養護施設長の許可がまだ下りていない今、手術をすれば逮捕の可能性もある。それでも大河の決意は揺るがない…「俺が医師免許を失っても、優秀な外科医は他にいる。しかし…今、小夜子を救うことができる外科医は俺だけだ!」。ちょうどその頃、火神は一人、教授室で血を吐き、倒れていた――。