【初出場のフランスVS帝王ブラジル】
ヨーロッパ大陸代表のフランスは世界ランキング9位。グラチャンバレーは今回が初出場となる。かつては強豪国だったが、04年アテネ五輪以降は低迷していた。しかし、12年に元フランス代表の名選手だった、現在のロラン・ティリ監督就任後から新時代に突入。選手強化が奏功し、ワールドリーグでは15年優勝、16年3位、17年優勝と躍進したほか、16年リオでは12年ぶりに五輪出場を果たした。17年の代表チームは若手が台頭。、親子3代にわたって代表というティリ監督は「昨年のチームをベースにしながらも20年東京に向けて積み上げていきたい。若手、ベテランにかかわらず新しい選手を融合させる。表彰台を目指して、輝きたい」と意気込んでいる。
16年リオ五輪金メダルのブラジルは世界1位。前回の13年大会覇者でもある"帝王"だ。17年1月、名将と呼ばれたベルナルディーニョことベルナルド・レゼンデ氏の勇退に伴い、レナン・ダルゾット監督が新たに就任した。レゼンテが指揮した15年間、世界選手権3連覇(02、06、10年)、W杯(03、07年)連覇。五輪でも04年アテネで金、08年北京銀、12年ロンドン銀、16年リオで金メダルに輝いた。バレーが五輪に採用されて以降、14大会すべてに出場しているのはブラジルのみだ。グラチャンバレーでも過去6大会中4度優勝(現在3連覇中)、2位2回と圧倒的な成績を収める。前人未到の本大会4連覇を目指す。
【WCのイタリアVS"アジアの虎"イラン】
ワイルドカードで出場するイタリアは世界ランキング4位。78年世界選手権で銀メダルを獲得して以来、世界のトップを走り続けている。全盛期を迎えた時期は名将ジュリオ・ベラスコHCが指揮を執った89~05年。この間に世界選手権3連覇、ワールドリーグ8度の優勝、W杯優勝、欧州選手権6度の優勝など数々のタイトルに輝き、五輪でも96年アトランタ銅、00年シドニー銅、04年アテネ銀と3個のメダルを獲得した。近年でも12年のロンドン五輪で銅メダルを獲得しており、15年就任のジャンロレンツォ・ブレンジーニ監督指揮のもと、翌16年リオ五輪でも銀メダルを手に入れた。17年ワールドリーグは過去最低の12位に終わったが、、主力も集結する今大会で第1回大会以来の優勝を目指す。
アジア大陸代表のイランは世界ランキング8位。ここ数年で最も急成長している国の一つだ。16年リオ五輪では初出場で5位に入った。イラン躍進は、11年地元開催となったアジア選手権が始まり。イタリア代表を世界選手権で2度のメダルに導くなど世界の名将として知られるジュリオ・ベラスコ監督を招へいして初優勝を飾った。12年ロンドン五輪は1セット差で出場枠を逃したが、16年リオで悲願の五輪初出場を果たした。17年2月からはモンテネグロ人のイゴル・コラコビッチと2年+オプション2年契約。コラコビッチはセルビア男子代表のHCとして2度、五輪に出場(北京5位、ロンドン9位)するなど、国際大会での実績も豊富だ。20年東京五輪に向けて代表の若返りにも着手しており、17年は若手とベテランをミックスしながら戦っている。
【"ガイチ"率いる日本VS世界2位の米国】
08年北京大会を最後に五輪から遠ざかるなど苦しい時期が続く中、新指揮官としてチーム再建を託された男は"レジェンド"中垣内祐一監督だ。掲げるモットーは攻撃のスピードアップと守備力の強化。初陣となった6月ワールドリーグでは2部ながら準優勝を果たした。オフェンスにブレークスルーをもたらした選手は今年初代表の司令塔・藤井直伸。クイックを積極的に使う持ち味を代表でも発揮し、攻撃がサイドに偏っていた日本長年の課題を解消した。ディフェンスも進化。チーム全体で取り組むオーバーハンドのサーブレシーブは、フローターサーブに対するレセプションに絶大な効果を発揮している。若手も台頭。石川祐希、柳田将洋の"二枚看板"も健在。新旧戦力がかみ合い、勢いを取り戻し始めた"龍神"が強豪ぞろいのグラチャンバレーで世界を驚かせる。
北中米大陸代表の米国は世界ランキング2位の強豪だ。08年北京五輪決勝でブラジルを破り20年ぶりに金メダルを獲得。12年ロンドン五輪は5位に終わったが、ジョン・スパローを新監督に据え、ベテランから若手まで豊富な人材を集めながらも着実に世代交代を図っている。16年リオ五輪は12人中8人が五輪初出場という若いチームで銅メダルを獲得した。主要国際大会で唯一金メダルを獲得していないグラチャンバレーでメダルを獲得し、強豪国の面目を躍如したい。
2017.09.12