ジャン=バティスト=カミーユ・コローは、初期時代に新古典主義の風景画家のもとで伝統的な風景画を制作するための研鑽を積みました。しかし後年、画家は古典的な素養に満足するばかりではなく、戸外での研究に尽力するなど、後の印象派へと続く道を切り拓きました。本作では、中央の木が画面を二分しており、左側には密生する木々に囲まれた比較的浅い空間の中にいる人物たちが描かれています。右側ではアーチ上の木々の下を緩やかに流れる小川が、日が射している遥か遠くの地点まで続いていて、画面左側の空間と対照を成しています。水の反映や光の具合から、おそらく右側の風景は戸外で制作したスケッチに基づいて制作されたのでしょう。その小川の中には、男性が少し屈んだ姿勢で描かれていますが、本作のタイトルはこの漁師のモチーフに由来しています。また、この作品は画家の死後、1878年の万国博覧会に出品された際に付された《緑の岸辺》というタイトルでも知られています。