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作品紹介

エドガー・ドガ《舞台裏の踊り子》

エドガー・ドガ 《舞台裏の踊り子》
1876/1883年 油彩・カンヴァス

National Gallery of Art, Washington
Ailsa Mellon Bruce Collection

エドガー・ドガは近代生活を描くのに、人々が集まる華やかな劇場という場を選びました。そこでドガが魅了されたのは、演目そのものよりも、稽古場やリハーサル、休憩中の様子など、舞台上では見られない踊り子たちのありのままの姿でした。本作にもそのような踊り子が登場しています。左端の背中を向けた踊り子は今まさにステージ上で演技をしており、画面手前とその後ろにいる踊り子は、花や木立が表わされた書割の背後で出番を待っている様子です。その一人にシルクハットを被った黒い夜会服の男性が近寄り話しかけていますが、踊り子はそっぽを向き、無関心を装っているようです。この男性は、パリのオペラ座の定期会員(アボネ)で、舞台袖や楽屋、稽古場へ自由に出入りできる特権を有していました。ドガもアボネの視点から(後にはその一員となり)、表には現れない踊り子たちの生き生きとした姿を画布に捉えています。

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