第六話
2020年9月16日放送
年に一度開かれる高月宗寿郎大旦那(佐野史郎)の茶会『夕ざりの茶事』当日。花岡七桜七桜(浜辺美波)はこの茶会の後にだけ錠が解かれるという高月樹樹(鈴木伸之)の部屋に入る機会を狙っていた。茶室で多喜川薫多喜川(山崎育三郎)や長谷栞栞(岸井ゆきの)など大事な来賓をもてなす膳が振舞われた後、高月椿椿(横浜流星)が作り上げた美しい『夕顔』の御菓子が出される。
一方、大旦那の遺言書を始末しようと茶会の合間に部屋を漁っていた高月今日子今日子(観月ありさ)は、初座の終わった大旦那と鉢合わせる…!椿の本当の父は今日子が不貞を働いた相手なのかと詰め寄る大旦那。しかし、今日子は意外な胸中を打ち明け、大旦那に掴みかかる。2人は揉み合いになり…!?
後座の準備をしているはずの大旦那が茶室にいないことを不審に思った七桜は樹の部屋へ。しかし錠前の外された室内にいたのは樹の着物を愛おしそうに抱きしめる今日子だった…!15年前に事件のあった現場で当時の記憶がフラッシュバックする七桜。あの日、庭で見た“もう1人の人物”とは!?七桜は、真実を話して欲しいと今日子に事件のことを問い詰める。その瞳が大倉百合子百合子(中村ゆり)と重なって見えた今日子は、百合子への憎悪を爆発させ、七桜に襲いかかる。食い下がる七桜は、ついに自分が『さくら』であることを宣言!――しかしその言葉を椿が聞いていた…!
一方その頃、屋敷で火事が発生、大騒動が起きていた。危険を知らせに来た山口耕一山口(和田聰宏)に大旦那が行方不明だと聞いた椿は自分が探すと部屋を出て行こうとする。七桜は椿の背中に「ここで椿を待ってるから」と告げ…。正体がばれてしまった七桜、七桜の裏切りを知ってしまった椿。2人の運命を左右する茶会の夜の全貌、そして“当主殺害事件”の真相とは!?
大旦那に、なぜ樹を裏切ったのかと問い詰められた今日子は、涙ながらに悲しい過去を話す。一生、樹と光月庵に尽くそうと嫁いできたのに、樹は一度も自分に触れる事すらなかったのだ。この上、椿が光月庵を継ぐことも許されなかったら…と遺言書を奪おうと大旦那に掴みかかる今日子。2人は揉み合いになり、大旦那は倒れたはずみに後頭部を打って気を失う。畳に流れ出る血。一度は助けようとする今日子だが、思いとどまり大旦那を置き去りにして部屋を後にする。大旦那の傍らでは、倒れた燭台のろうそくから、畳に火が燃え移り始めていた…。
樹の部屋で今日子を見つけた七桜は、あの事件の日、庭で今日子の姿を目撃したことを思い出す。今日子はあの日、椿を誘導して証言させ、百合子を犯人に仕立て上げていたのだ…!樹を刺したのも今日子なのでは、と詰め寄る七桜だが、今日子に「証拠はない」と言われてしまう。自分が見たと証言すると反論する七桜。そして「私はさくらです」と告白する。しかし、その背後には、七桜を探しに来た椿が…。七桜に欺かれていたことを知った椿は深く傷つき、二度と会わない覚悟で屋敷を出るよう七桜に告げる。しかし、椿を想う気持ちだけは嘘じゃなかったことを伝えようと、七桜は「ここで椿を待ってるから」と告げる。
火事で行方不明の大旦那を救出するため、煙と炎の中に向かった椿。意識が朦朧とする中、幼い日の七桜の幻影を見た椿は、自分から全てを奪いに来たはずの七桜がかけてくれた優しい言葉を思い出し、幸せだった日々に一筋の涙を流す。その時、椿の上に天井が焼け落ちて…!
一方、危険が迫る樹の部屋で椿が戻るのを待つ七桜の元には、城島裕介城島(高杉真宙)が駆けつけていた。頑なに椿を置いて逃げることを拒否する七桜だが、突然お腹に痛みが走る。意識が朦朧とする中、七桜は多喜川に助け出される…。
2日後―。七桜が目を覚ましたのは病院の一室。見舞いに来ていた宮部夕子夕子(須藤理彩)に椿のことを尋ねるが、状況は詳しくわからない。さらに、流産してしまったことを知った七桜は激しく自分を責める…。ニュースでは火事後の光月庵の様子が伝えられ、椿が大旦那を助けた後、光月庵を継ぐ人間が使う御菓子の道具を取りに行ったことを知る。ずっと嘘をついていた自分が許されないのは仕方ないと思いつつも、椿は自分ではなく代々伝わる道具を選んだことに、ショックを受ける七桜。結局、母は今日子のせいで犯人に仕立てられたと分かったにもかかわらず、無実は証明できなかった…。様々な罪悪感に苛まれる七桜に、多喜川は、これからどうしたいかと問う。光月庵のことも椿のことも全て忘れ、ただ純粋に御菓子作りをすると決意した七桜。
3か月後―。火事から復旧した光月庵には、新しく和菓子教室を始めた椿の姿があった。火事から10日間意識の戻らなかった椿は、姿を消した七桜のことを捜していた。自分の気持ちが愛情なのか憎しみなのかわからない中、ただ七桜を捜すことをやめられない椿に、今日子は「あなたには向き合うべき人が他にいるでしょう」と告げる。実は火事の中、崩れ落ちる天井から椿をかばい、顔に火傷を負いながらも助け出したのは栞だった。栞の顔の傷に心を傷め、マンツーマンで和菓子教室を開く椿。栞は、自分のことを1人の人間としてちゃんと認めてくれる椿への想いを強くする。父がお膳立てした、自分を押し殺して生きていかねばならない縁談。栞は、結納の場で結婚を断ってしまう。
今日子が大旦那から奪った遺言書は白紙でダミーだった。大旦那は依然、入院中で本物の遺言書のありかが分からない中、今日子は邪魔な七桜を徹底的に潰そうと決意していた…。
そんな中、縁談を破棄した栞が光月庵で雇ってほしいと家出をしてくる。実は2年前、器の展示会で絵付けを褒められたことが椿との最初の出会いだったと話す栞。もう父の言いなりになって自分を諦めたくないと訴える栞を、椿は店に受け入れる。
それから3年―。いまだ入院中の大旦那の代わりに光月庵の一切を引き受けた椿は御菓子作りから遠ざかっていた。そして店には、すっかり馴染んだ栞の姿があった。今日子の後押しを受け、椿をデートに誘おうとした栞は城島が椿に七桜との関係を尋ねているところを聞いてしまう。火事の日、自分が七桜よりも店を選んだことを話す椿。そんな椿の姿に、栞はあの火事の中で見た真実を言えずにいた…。自由に御菓子を作る七桜の姿を想像し、その幸せを密かに願う椿だが…。
そんなある日、五月雨亭で出す御菓子を決める選定会で、金沢の外れにある小さな和菓子屋『花がすみ』が光月庵を退けて選ばれる。とてもおもしろい御菓子を作る店だと聞いた椿は、何か感じるものがあり…。その頃、『花がすみ』では、一人の女店主が客を見送っていた。五月雨亭の御菓子に選ばれたことを報告する多喜川に落ち着いた声で答えたその主こそ、強く美しい女性に変貌した七桜の姿だった…!七桜は揺るぎない自信を胸に「今の光月庵には消えてもらうから」と話す――!