2016.3.11その14 飯舘村プロジェクト2ndシーズン#3 福島県飯舘村立飯舘中学校
高柳裕美(報道局政治部)
2012年に福島県飯舘村の小学生とともに始めた「動く卒業アルバム」プロジェクト。
生徒たちが中学生になってからは3年間の学校生活を記録し続けた。
1年生のテーマは「田植え踊り」最初はふざけながら練習していたが、徐々に真剣に練習に励み、文化祭に臨む姿を撮影した。2年生のテーマは、「放射能と向き合う」甲状腺がんの検査を受ける様子を撮影したほか、鎌田實先生を招き「放射能を考える」という授業を実施。3年生では進路に悩む生徒が半数近くいるという話を先生から聞き、飯舘村出身の先輩に話を聞く会を開催。中には震災をきっかけに村の復興を考え建築士になりたいと考えた子、福島の風評被害をなくすために食品関係の仕事に就きたいと話す子などもいた。約30回中学校を訪れ、避難訓練や部活動など日常生活も記録し続けた結果、編集を考えると恐ろしくなるぐらい大量の素材が集まった。卒業アルバムというからには、全員が映っていないといけない。そこを意識しつつ、最も心をくだいたのは、これを見れば一緒に学んだ友人、支えてくれた先生、そして、いつかは村に戻るためになくなってしまうかもしれない仮設校舎を思い出す手がかりになって欲しいということだ。
完成したDVDは、3月4日に贈呈した。「思い出をこんな形で残せるのはうれしい」「これから苦しいことや悲しいことがあった時に見たい」「夢に向かって進む力にしていきたい」といった感想をもらい目頭が熱くなった。そして、震災から5年の節目となる3月11日、彼らは飯舘中学校を卒業した。彼らが成人式を迎えるのは、東京五輪が開かれる2020年。ぜひ20歳になった姿も記録しに福島に行きたい。
- 参加者
- 鈴江奈々(日本テレビ編成局アナウンス部)
杉野真実(日本テレビ編成局アナウンス部)ほか