7月18日(木)午前2:35~4:05(水曜深夜)放送/BS日テレ 7月27日(土)朝7:00~8:30放送 ※放送時間を30分拡大してお送りします
◆7月放送プログラム
・マーラー作曲 交響曲第3番 ニ短調から
◆音楽監修 新井鷗子の演奏レビュー
新・首席客演指揮者ヴァルチュハさんの記念すべき就任公演は、マーラーの3番。この巨大な交響曲を、なんとキメ細やかに読響一人一人の奏者に目と耳と心を配り、繊細な手ざわりの音楽にまとめてくれたことでしょう。非常に洗練されていながら、観客さえもがそのアンサンブルの一員と感じるような温かい指揮に、ヴァルチュハさんと読響との未来が幸せなものになることを確信しました。
◆演奏者の略歴
ユライ・ヴァルチュハ(指揮)
JURAJ VALČUHA
1976年チェコ・スロヴァキア(当時)のブラチスラヴァ生まれ。母国で作曲と指揮を学んだ後、サンクトペテルブルク音楽院とパリ国立高等音楽院で学び、ムーシンらに師事した。フランス国立管デビューを皮切りに、欧米で活躍。
2009年から2016年までRAI国立響の首席指揮者を務め、ウィーン、ベルリン、デュッセルドルフなどへのツアーでも成功を収めた。2016年から2022年までナポリ・サン・カルロ劇場の音楽監督を務め、同劇場の水準を高めた手腕が高く評価された。2017年からベルリン・コンツェルトハウス管の首席客演指揮者を、2022年からヒューストン響の音楽監督を務めている。
これまでにベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ドレスデン国立歌劇場管、ニューヨーク・フィル、ウィーン響、フィルハーモニア管、ミュンヘン・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、チェコ・フィルなどに客演し、古典派から現代作品まで幅広いレパートリーを振り活躍している。
オペラでは、バイエルン国立歌劇場で〈蝶々夫人〉、ベルリン・ドイツ・オペラで〈エレクトラ〉、ボローニャ歌劇場で〈サロメ〉、フェニーチェ劇場で〈ピーター・グライムズ〉などを指揮。今シーズンは、5月にローマ歌劇場で〈イェヌーファを、6〜7月にベルリン・ドイツ・オペラで〈トリスタンとイゾルデ〉を振る。
読響とは2022年8月以来、2度目の共演。
エリザベス・デション (メゾソプラノ)
ELIZABETH DESHONG
ステージ上の存在感、深い美声で世界を魅了するディーヴァ。1981年米ペンシルベニア州生まれ。米オバーリン音楽院で声楽を学ぶ。2010年にワシントン・ナショナル・オペラでの〈ナクソス島のアリアドネ〉作曲家の役で「最優秀アーティスト賞」を受賞以降、英国ロイヤル・オペラ、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、サンフランシスコ・オペラなどで活躍。高度な技術が必要な〈セビリアの理髪師〉のロジーナや〈ノルマ〉のアダルジーザから、〈蝶々夫人〉のスズキや〈ラインの黄金〉のフリッカまで幅広い役柄を得意とする。トロント響とのヘンデル〈メサイア〉が18年のグラミー賞にノミネートされたほか、クリーヴランド管、シカゴ響などと共演するなどコンサートでも活躍。読響初登場。
国立音楽大学(女声合唱)
1926年創立の東京高等音楽学院を前身とし、声楽科からは第一線で活躍する歌手を数多く輩出してきた。翌年に新交響楽団(N響の前身)と初共演。
近年では、2011年に東京フィルとマーラー〈復活〉、2016年にメータ指揮でウィーン・フィルとベートーヴェン〈第九〉、2018年には東京芸術劇場コンサートオペラ〈真珠とり〉に出演し、高い評価を受けた。
読響とは、2000年以降だけでも、2004年にヤナーチェク〈グラゴール・ミサ〉、2006年にモーツァルト〈レクイエム〉、2008年にマーラー〈復活〉、2009年にホルスト〈惑星〉、東京芸術劇場×石川県立音楽堂共同制作シアターオペラ〈トゥーランドット〉、2014年にドヴォルザーク〈レクイエム〉など、多数の共演を果たしている。
東京少年少女合唱隊
ヨーロッパの伝統音楽に基づく音楽教育を目的とする日本初の本格派合唱団として1951年設立。6歳から基礎を学び、演奏活動の中核を担15歳から19歳までのコンサートコアに加え、室内合唱のカンマーコアまで幅広い演奏活動を行う。
グレゴリオ聖歌から現代作品までレパートリーは幅広く、同声から混声の合唱作品までをカバーする。松平頼暁、一柳慧、細川俊夫などへの委嘱作品も多く手掛ける。
年2回の定期公演の他、1964年の訪米以来、海外公演は34回を数える。
国内外のオーケストラ、オペラ劇場との共演も多く、アバド、ムーティ、ルイージらとも共演して高い評価を得た。
2021年に創立70周年を迎え、連続演奏会「70周年記念コンサートシリーズ2021-2023」を開催した。読響とは度々共演し、好評を博している。