クラシック界のイケメン兄弟、ルノー・カプソンさん、ゴーティエ・カプソンさんの登場です!フランス出身のお二人は、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチが主催する「ルガーノ音楽祭」に出演して一躍注目を浴び、2007年にはチョン・ミョンフン指揮のマーラー・ユーゲント・オーケストラと、今回お送りするこのブラームスの二重協奏曲をレコーディングしたということもあり、期待の高まる公演でした。
兄 ルノー・カプソン(32歳)
ヴァイオリン
弟 ゴーティエ・カプソン(27歳)
チェロ
ブラームス作曲
《ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲》
この曲は、彼らを知るにあたって2人の魅力がとてもよく分かる作品でもあります。
今回の共演について、2人にお話を伺いました。
左:兄ルノー・カプソン 右:弟ゴーティエ・カプソン
兄:これはもともと、ブラームスが友人であるヴァイオリニストのヨアヒムとの仲を取り戻す為に作られた曲で、そういう意味で、ヴァイオリンとチェロがうまく融合し、和解を目的とした作品になっています。この曲を、家族ともども築くことが出来るということは、非常に付加価値のあるものだと思います。
弟:兄弟で十数年の間に100回以上も演奏しており、 2人でとても愛している作品です。そしてこの作品は、オーケストラと共に素晴らしい対話が出来る、いわばシンフォニーともいえる規模のもので、特に最初のチェロのソロは、他の作品に類を見ない素晴らしいダイナミックスさを感じることが出来、とても魅力的だと思います。
Q、兄弟デュオの演奏活動で思うことは?
兄:弟の個性には関心がありますが、それはどの音楽家に対しても同じで、弟だからということではありません。でも、弟であるからこそ築ける音楽の相互理解や調和があります。言葉では説明できないことが、私たちの感性の深層に備わっているんだと思います。
弟: 兄は「頭脳派」で思考的、私は「直感派」で感情的な演奏をすると言われます。兄弟で極端に違いますが、一緒に演奏することで補い、音楽が豊かになると思います。性格が全く同じ2人が演奏する音楽なんて、退屈ですよね?
Q、それぞれ、楽器を始められたきっかけは?
兄:小さい頃ソルフェージュ教室に通っていた時、私は非常に耳が良い、ということで、母から、ヴァイオリンをやってみないか?と、持ちかけられた話がきっかけです。
弟:私たちには、ピアノをやっている姉がいて、兄がヴァイオリンで、ピアノ→ヴァイオリン→となると必然的にチェロになるわけで。はっきりとは覚えてないんですが、チェロを初めて手にした時に“音”よりも“感覚”が非常に面白く、以来、この楽器には非常に魅了されてきました。
Q、お互いに、刺激を受けることは?
兄:私個人として、チェロの音の中に自分の身を置くことは非常に心地良いので、そこに自分の楽器がしっかりフィットすること、それがとても好きです。また、弟が弾くことで出てくるエネルギーが、私は好きです。これらの楽器だからこそ共有できる、そして弟だからさらに共有できる、これは非常に素晴らしいコラボレーションだと思いますね。違う楽器を演奏するもの同士が共演することによって、お互いの長所を上手く融合できるのではないか、と思います。
弟:必然的に、非常に彼の音楽に刺激を受けます。同時に、大好きな兄であり偉大なる音楽家でもありますので、非常に尊敬していますし、憧れの存在でもありますね。
ワーグナー作曲
楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第一幕への前奏曲
そして2曲目は、沼尻竜典さんの指揮による、ワーグナーです。 「ばらの騎士」「サロメ」などドイツオペラの指揮で高い評価を受けている沼尻さんが、ワーグナーの濃密なサウンドを読響から見事に引き出していました。
この、楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は、ワーグナーのオペラ作品の中で珍しい“喜劇”。中世の市民たちが主役であり、マイスタージンガー(職人の親方で、歌の名人でもある)を選ぶ歌合戦をめぐって、様々な男女のドラマが繰り広げられます。今回お送りした「第一幕への前奏曲」は、祝祭的なイメージから式典などで演奏される機会も多く、“マイスタージンガーの動機”“愛の動機”など様々なライトモティーフが登場する、情熱的でロマンティックな作品となっています。
・ ・ ・ ・ おまけコーナー ・ ・ ・ ・
インタビュー中、通訳さんが日本語訳を話している間、兄ルノーさんの膝をくすぐるお茶目な弟、ゴーティエさん。そして無反応のお兄さん・・・。