モーツァルト作曲
《ピアノ協奏曲第23番》
フランス出身の超人気ピアニスト、フランク・ブラレイさんの登場! 1991年、エリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し、一躍注目を浴びた。そして2003年「アルゲリッチ音楽祭」にて急遽アルゲリッチの代演を務めることとなり、その素晴らしい大熱演は、日本クラシック界でも大きな話題となった。2005年からは毎年、春に東京で行われる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも出演するなど、日本の聴衆にも高い人気を誇っている。
Q ブラレイさんにとって、モーツァルトの音楽とは・・・?
ーツァルトの音楽は非常にナチュラルで、まるで“川の流れ”のようです。彼の曲は、「自分のもの」として弾かなければいけません。「自分のもの」というのは、単純に音楽としてではなく、あたかも自分の舌のように、また、別の言い方をすれば、自分の母国語のようにということです。そして、この音楽を愛し、この音楽から愛されなければ弾けません。そうすることで、私たちはモーツァルトの壮大な次元に到達することができるのです。
Q 日本の聴衆の印象は?
私が初めて大きな海外ツアーをしたのは、まず日本でした。当時私は22、3歳で、それ以来よく日本には来ていますが、私がパリ(出身地)以外で唯一ホームシックになる国です。しばらく来ないと、やはり非常に“戻りたい”という気持ちになりますね。それから、日本のオーケストラ、コンサート会場などは非常にクオリティが高く、それと同時に、様々な素晴らしい思い出を刻んだ国でもあります。なので、一言で言うと、「全て好き」なのですが、食べ物でお豆腐だけが苦手です。
Q 日本で行かれた場所は?
私は東京が本当に大好きで、単純に自分が夜型の人間ということもあり、特に東京の“夜の街”が好きです。お酒を日本で飲む場合は、よく日本の方々と一緒に飲みますね。なぜなら、日本の方々は最初にビールを飲んで、そのうち心が砕け、知らない人同士でも一緒に飲んだり、そこに仲間意識が生まれ、それが非常に「博愛」というか。2,3人しか座れないような小さなバーでお酒を飲みながらフランス映画の話をして、でも日本の彼らの方が私よりもよくご存知だったり。そんな友達がすぐ作れてしまう日本が、私は大好きです。
R.シュトラウス作曲
歌劇《ばらの騎士》組曲
2曲目は、上岡敏之が振る、R.シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲。 本場ドイツの歌劇場で活躍中の日本人指揮者、上岡敏之。人生の半分をドイツで過ごしている彼の“ものスゴイところ”とは、独自の豊かな表現力で、聴衆も演奏者さえも、その音楽の物語の中に引き込んでしまうこと。当夜も、まるで18世紀ウィーンの舞踏会を彷彿とさせる、優美で華麗なサウンドが、ホールを丸ごと包み込んでいた。
聞きましたが・・・?
上岡:そうですね。もう10年ぐらいお付き合いしていただいてます。
古市:上岡さんにとって、読響との共演とはどんなものなのでしょうか?
上岡:最初は、練習がとにかく静かで、恐くてしょうがなかったんです。僕も
向こうが長いもので、日本語があんまり喋れなかったんですよね。特に
敬語をどう使っていいのか分からなくて。夢もドイツ語で見ますから(笑)
でも、そんな感じで始まって、そのうちだんだん、音楽的にも人間的にも
近くなっていって、楽譜に見えないものもお互い表現し合うように
なって・・・。それから面白くなっていきました。管楽器の方々と、
室内楽をしたこともありますし。ピアノコンチェルトを弾いたことも
あります。去年はオペラのピットにも立たせていただきましたし。この
10年間で、あらゆるジャンルの音楽を共演させていただきました。
室内楽 ピアノで共演
2004年7月14日放送
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
2004年12月9日BSブラボー!クラシックにて放送
古市:これから、ますます楽しみですね! 今日は、「ばらの騎士」組曲についてお話をお伺い致しますが、この曲の特徴は
どんなところですか?
上岡:オペラ〈ばらの騎士〉とは、ちょっと順番が異なるところがあり、終わり方も違います。頭を切り替えていないと、間違った
方向にいってしまうので注意はしていますね。
古市:なるほど・・・!しかも、歌が入っていないんですよね?オーケストラだけの演奏になるわけですね?
上岡:はい。声楽を抜きにしてR.シュトラウスがこれだけのオーケストレーションを
書いた、ということは本当に素晴らしいことですよね。でも何が難しいかというと、
歌の呼吸、表情、本当だったら見てれば分かるものを、全てオーケストラの
“音”で聴かせなきゃならない。普段はピットに立って、今日もいい声だね!なんて
楽しみながら指揮を振ってるんですが、今回は「この役がこの楽器でこう出てきて、
あの役がこの楽器で・・・」と、それを全部オーケストラだけで表現するわけです。
それがとっても難しいです。。
古市:上岡さんの頭の中では、常にオペラの舞台が繰り広げられているんですね!
最後に、この曲の魅力を教えてください。
上岡:和音、フレーズ、どこをとっても素敵な曲です。「絢爛豪華」と言ってしまえば
それまでなんですが、実は繊細な面もすっごくたくさんあって、それが本当は
ホーフマンスタール(※)のテキストとメロディがものすごく結びついているんです。その言葉のニュアンスを音譜に変えて、
それを和音に直して、上手くフレーズに繋げて・・・と。これだけ書けた人はなかなかいないでしょうね・・・!
※フーゴ・フォン・ホーフマンスタール・・・オーストリアの作家
R.シュトラウスと組んで、「エレクトラ」「影のない女」「ナクソス島のアリアドネ」など多くの名作を残す
《ピアノ協奏曲第23番》
フランス出身の超人気ピアニスト、フランク・ブラレイさんの登場! 1991年、エリーザベト王妃国際音楽コンクールで優勝し、一躍注目を浴びた。そして2003年「アルゲリッチ音楽祭」にて急遽アルゲリッチの代演を務めることとなり、その素晴らしい大熱演は、日本クラシック界でも大きな話題となった。2005年からは毎年、春に東京で行われる「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも出演するなど、日本の聴衆にも高い人気を誇っている。
Q ブラレイさんにとって、モーツァルトの音楽とは・・・?
ーツァルトの音楽は非常にナチュラルで、まるで“川の流れ”のようです。彼の曲は、「自分のもの」として弾かなければいけません。「自分のもの」というのは、単純に音楽としてではなく、あたかも自分の舌のように、また、別の言い方をすれば、自分の母国語のようにということです。そして、この音楽を愛し、この音楽から愛されなければ弾けません。そうすることで、私たちはモーツァルトの壮大な次元に到達することができるのです。
Q 日本の聴衆の印象は?
私が初めて大きな海外ツアーをしたのは、まず日本でした。当時私は22、3歳で、それ以来よく日本には来ていますが、私がパリ(出身地)以外で唯一ホームシックになる国です。しばらく来ないと、やはり非常に“戻りたい”という気持ちになりますね。それから、日本のオーケストラ、コンサート会場などは非常にクオリティが高く、それと同時に、様々な素晴らしい思い出を刻んだ国でもあります。なので、一言で言うと、「全て好き」なのですが、食べ物でお豆腐だけが苦手です。
Q 日本で行かれた場所は?
私は東京が本当に大好きで、単純に自分が夜型の人間ということもあり、特に東京の“夜の街”が好きです。お酒を日本で飲む場合は、よく日本の方々と一緒に飲みますね。なぜなら、日本の方々は最初にビールを飲んで、そのうち心が砕け、知らない人同士でも一緒に飲んだり、そこに仲間意識が生まれ、それが非常に「博愛」というか。2,3人しか座れないような小さなバーでお酒を飲みながらフランス映画の話をして、でも日本の彼らの方が私よりもよくご存知だったり。そんな友達がすぐ作れてしまう日本が、私は大好きです。
R.シュトラウス作曲
歌劇《ばらの騎士》組曲
2曲目は、上岡敏之が振る、R.シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲。 本場ドイツの歌劇場で活躍中の日本人指揮者、上岡敏之。人生の半分をドイツで過ごしている彼の“ものスゴイところ”とは、独自の豊かな表現力で、聴衆も演奏者さえも、その音楽の物語の中に引き込んでしまうこと。当夜も、まるで18世紀ウィーンの舞踏会を彷彿とさせる、優美で華麗なサウンドが、ホールを丸ごと包み込んでいた。
〜 超多忙な俊英指揮者 上岡敏之 × 日テレアナウンサー 古市幸子 〜
古市:ドイツでは、大変お忙しい生活をされていらっしゃると思います。でも日本に帰ってきた時は、読響との共演が一番多いと聞きましたが・・・?
上岡:そうですね。もう10年ぐらいお付き合いしていただいてます。
古市:上岡さんにとって、読響との共演とはどんなものなのでしょうか?
上岡:最初は、練習がとにかく静かで、恐くてしょうがなかったんです。僕も
向こうが長いもので、日本語があんまり喋れなかったんですよね。特に
敬語をどう使っていいのか分からなくて。夢もドイツ語で見ますから(笑)
でも、そんな感じで始まって、そのうちだんだん、音楽的にも人間的にも
近くなっていって、楽譜に見えないものもお互い表現し合うように
なって・・・。それから面白くなっていきました。管楽器の方々と、
室内楽をしたこともありますし。ピアノコンチェルトを弾いたことも
あります。去年はオペラのピットにも立たせていただきましたし。この
10年間で、あらゆるジャンルの音楽を共演させていただきました。
室内楽 ピアノで共演
2004年7月14日放送
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番
2004年12月9日BSブラボー!クラシックにて放送
古市:これから、ますます楽しみですね! 今日は、「ばらの騎士」組曲についてお話をお伺い致しますが、この曲の特徴は
どんなところですか?
上岡:オペラ〈ばらの騎士〉とは、ちょっと順番が異なるところがあり、終わり方も違います。頭を切り替えていないと、間違った
方向にいってしまうので注意はしていますね。
古市:なるほど・・・!しかも、歌が入っていないんですよね?オーケストラだけの演奏になるわけですね?
上岡:はい。声楽を抜きにしてR.シュトラウスがこれだけのオーケストレーションを
書いた、ということは本当に素晴らしいことですよね。でも何が難しいかというと、
歌の呼吸、表情、本当だったら見てれば分かるものを、全てオーケストラの
“音”で聴かせなきゃならない。普段はピットに立って、今日もいい声だね!なんて
楽しみながら指揮を振ってるんですが、今回は「この役がこの楽器でこう出てきて、
あの役がこの楽器で・・・」と、それを全部オーケストラだけで表現するわけです。
それがとっても難しいです。。
古市:上岡さんの頭の中では、常にオペラの舞台が繰り広げられているんですね!
最後に、この曲の魅力を教えてください。
上岡:和音、フレーズ、どこをとっても素敵な曲です。「絢爛豪華」と言ってしまえば
それまでなんですが、実は繊細な面もすっごくたくさんあって、それが本当は
ホーフマンスタール(※)のテキストとメロディがものすごく結びついているんです。その言葉のニュアンスを音譜に変えて、
それを和音に直して、上手くフレーズに繋げて・・・と。これだけ書けた人はなかなかいないでしょうね・・・!
※フーゴ・フォン・ホーフマンスタール・・・オーストリアの作家
R.シュトラウスと組んで、「エレクトラ」「影のない女」「ナクソス島のアリアドネ」など多くの名作を残す