4月14日(水)深夜2:59〜3:59

指 揮 マリン・オルソップ
ヴァイオリン ライナー・ホーネック
ヴィオラ 鈴木康浩
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)

モーツァルト作曲:
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲

ブラームス作曲:
交響曲第2番 から 第4楽章

※2010年1月26日 東京芸術劇場にて収録


モーツァルト 作曲「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」
ライナー・ホーネック&鈴木康浩 初共演!

モーツァルトの名曲を読響ならではのお二人が初共演。
聴き所、見所がたっぷりなプログラムです。


ヴァイオリニストのライナー・ホーネックさんは
1961年、オーストリア出身。1992年からウィーン・フィルの
コンサートマスターとして活躍しています。
読響との共演も多く今回で4回目となります。2006年に
ライナーさんは、兄で指揮者のマンフレッド・ホーネックさんと
読響でブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」を共演し話題となりました。



ヴィオラの鈴木康浩さんは1976年生まれ。
99年に桐朋音楽大学を卒業。
2006年から読響のソロ・ヴィオラ奏者を務め
読響の中核を担う一人として読響メンバーから厚い信頼を
寄せられています。

モーツァルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」はモーツァルトが23歳のときに 作曲されました。協奏交響曲とは複数のソロ楽器を持った交響曲のことで、18世紀後半に 流行した形式です。
ソロのヴァイオリンとヴィオラ、オーケストラとソリスト二人が対話をしているような表現が多く モーツァルトの孤独や悲しみが表されている第2楽章は美しいといわれています。

お二人は、この作品の演奏を何度も経験されていますが、初共演ということでお話を伺いました。

初共演の感想は?
ライナー:鈴木さんはとてもフレキシブルなので 気持ちよく演奏することができます。 これまでに この作品を何度も演奏しています。 時には 2人で曲の解釈 リズム テンポについて話し合い 弾き方を揃えなければならないこともあります。 しかし 鈴木さんとは 話し合いをせずに自然に 演奏することができました。

鈴木:世界のウィーン・フィルのコンサートマスターであるライナーさんとの共演ということで緊張していましたが、練習のときから気さくで〈ナイス・ガイ〉な方だったんです。ライナーさんが演奏するモーツァルトはすごくエレガントで軽いんですね。
軽いと言ってもフワフワした軽さではなく力強さのなかに軽さがある。これは実際に演奏すると とても難しいことなんですけど、とても素晴らしいんです。このことを、今回の共演で自分が吸収できたかどうかが、お楽しみということで、がんばります。


自分のオケでソリストとして演奏する感想は?
鈴木:読響の皆さんが、とても温かいのでうれしいのですが、その温かさがプレッシャーとなって 最初の練習のときはお腹が痛くて痛くてしょうがなくて、早く帰りたいという気持ちでした。
ライナーさんは、自分のオケの中でソリストとして演奏するときはいかがですか?


ライナー:難しいことですね。同僚であるオケのメンバーは好意的に思ってくれるものです。
しかし、自分が唯一無二のソリストであることを証明しなければなりません。
プレッシャーもありますが いい演奏であればメンバーは温かくサポートをしてくれますよ


演奏の見所とは?
鈴木:1楽章はとてもマエストーソで堂々としたフィーリングがあって2楽章に大きい感情の流れがあって、それがヴァイオリンとヴィオラの対話となりますね。そこが、一番見所だと思います。
そして、すべてを飲み込んで3楽章で明るく終わることができるので、とても起承転結ができている曲だと思います。


ライナー:第2楽章はとても美しく聴き応えがあります。そして曲の最後のパッセージは2人にとってハイライトとなりますね。
鈴木:一番最後は、演奏のテクニック的にソリストにとってはとても難しんです。
僕が弾いたあとにライナーさんが弾くのですが、そこは本当にハイライトだろうということですね。



読響初登場!
期待の女性指揮者 マリン・オルソップ


指揮者 マリン・オルソップさんはニューヨーク出身。
2007年にアメリカのボルティモア交響楽団の音楽監督に迎えられ、
パワフルな指揮ぶりで「ダイナミック・アメリカン・コンダクター」と 呼ばれています。
読響に初登場となるマリン・オルソップさんにお話を伺いました。

指揮者を目指したきっかけは?
私は2歳からピアノを始め 5歳からヴァイオリンを弾いていました。
9歳のときに父が バーンスタインが指揮する
ニューヨークフィルのコンサートに連れて行ってくれました。
バーンスタインを見た瞬間 「指揮者になりたい」と思ったのです。

女性指揮者として苦労されたことは?
性別に関係なく指揮者になることは難しいと思います。指揮者になる機会が多くあるというわけでもないからです。私は常に自分自身を誰かと比較したことはありません。
女性が様々な分野で活躍できる時代となったのは幸運なことだと思います。
もし、私が生まれた時代が30年前だったら指揮者には、なれていなかったと思います。
次世代の女性が活躍する場を作るという非常にうれしい責務を感じています。


日本のクラシックファンへメッセージ
ブラームスは私にとって大切な作曲家です。
12歳で初めてブラームスを聴いたとき、音楽が人生を変えるという経験をしました。
みなさんも、演奏を聴いて同じことを感じていただけたらと思います。


マリン・オルソップ(指揮)   Marin Alsop(conductor)
アメリカ、ニューヨーク生まれ。エール大学に学び、ジュリアード音楽院修士課程卒業。2007年9月にボルティモア響の第12代音楽監督に就任、その任期は15年まで延長されている。02年から08年まで首席指揮者を務めたボーンマス響では、現在、名誉指揮者の地位にある。 ナクソス・レーベルからリリースされたロンドン・フィルとのブラームスの交響曲全集、ボーンマス響とのバルトーク、バーンスタイン、ワイルの作品集、またアメリカ人作曲家を取り上げた一連のディスクは共に高い評価を得ている。08年、ボルティモア響とドヴォルザークの交響曲全集のレコーディング・プロジェクトをスタートさせ、交響曲第9番〈新世界から〉は発売と同時に世界的なベストセラーとなった。 読売日響とは今回が初共演。
ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)  Rainer Honeck(Violin)
1961年オーストリアのネンツィング生まれ。7歳でヴァイオリンをはじめ、1969年からウィーン国立音楽大学でE.ベルツィンガーに、のちにA.シュタールに師事する。1977年ウィーンでの青少年コンクール優勝、78年ウィーン・フィル運営のカール・ベーム基金から奨学金を得る。1981年ウィーン国立歌劇場管弦楽団及びウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に入団、92年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに就任した。 オーケストラでの活動のほか、ソリストとしても活躍しており、オーストリア国内はもとよりヨーロッパ、アメリカでも活躍している。 読響とは2005年1月定期演奏会で初共演、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏、翌年2月には、兄で指揮者のマンフレド・ホーネックとブラームスのヴァイオリン協奏曲を共演し、喝采を浴びた。2007年から〈R.ホーネック・モーツァルト協奏曲シリーズ〉を行なっている。 オーストリア国立銀行から1714年製のストラディヴァリウスを貸与されている。
鈴木康浩(ヴィオラ)  Yasuhiro Suzuki(Viola)
1976年生まれ。桐朋女子高等学校音楽科を経て、99年桐朋学園大学音楽学部卒業。第47回全日本学生音楽コンクールヴァイオリン高校の部第1位。96年米国アスペン音楽祭参加。99年読売新聞新人演奏会出演。99年第9回クラシックコンクール全国大会ヴィオラ部門第2位(1位なし)。2000年第2回淡路島しずかホールヴィオラコンクール第2位。第10回宝塚ヴェガコンクール弦楽器部門第1位。これまでにヴァイオリンを辰巳明子に、ヴィオラを岡田伸夫に師事。現在、読売日響ソロ・ヴィオラ。