シルヴァン・カンブルラン
読響第9代常任指揮者就任披露演奏会
現代フランスを代表する鬼才、シルヴァン・カンブルランさんが2010年4月、読響の第9代常任指揮者に就任しました。 今回は、5月1日にサントリーホールで行われた、シルヴァン・カンブルランさんの第9代常任指揮者就任披露演奏会の模様をお送りします。
カンブルランさんは、1948年 フランス・アミアン生まれ。 1981年〜91年 ベルギー王立モネ歌劇場音楽監督、 1993年〜97年 フランクフルト歌劇場音楽総監督などを務めました。現在は、バーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)交響楽団の首席指揮者を務めています。そのほかクラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者、パリ・オペラ座の客演指揮者など、ヨーロッパのオペラ・オーケストラシーンの最前線で活躍中です。
そんなシルヴァン・カンブルランさんを常任指揮者に迎え、これからの読響にどんな影響を与えるのか、音楽評論家の奥田佳道さんにお話を伺いました。
Q.カンブルランさんをお迎えして、読響のサウンドはどのように変化しますか?
奥田佳道(音楽評論家)
色気、響きの彩、色彩感、匂やかな雰囲気、おしゃれな雰囲気、
そういったものを付け加えてくれると思います。
まず弦楽器の響きやリズムが大きく変わってくると思いますね。
≪今回のプログラム≫
バルトーク作曲 二つの映像から II村の踊り
ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽「春の祭典」
二つの映像から II村の踊り
バルトーク(1881〜1945)が1910年に作曲した「二つの映像」は、第1曲・第2曲から成り、今回お送りした「U村の踊り」は、ロンド形式による舞踊風の音楽で、主題はいずれも民族的な旋律に基づいています。二つの田園的な情景からなるこの作品には、1906年から民謡収集のために国内各地を旅し、農民の生活と自然を愛するようになったバルトークの心情が反映されています。
バレエ音楽「春の祭典」
ストラヴィンスキー(1882〜1971)の“三大バレエ”の頂点に位置するこの作品は、出世作となった「火の鳥」と同様に、セルゲイ・ディアギレフが率いるロシア・バレエ団のために作曲されました。いにしえのロシアの異教徒たちが、太陽神にいけにえを捧げる宗教儀式を題材に、「大地礼賛」と「いけにえ」の2部で構成されています。
第1部 大地の礼賛 | 第2部 いけにえ | ||
I | 序奏 | I | 序奏 |
II | 春のきざし〜おとめたちの踊り | II | 乙女たちの神秘的な集い |
III | 誘拐 | III | いけにえへの賛美 |
IV | 春の踊り | IV | 祖先の呼び出し |
V | 敵の都の人びとの戯れ | V | 祖先の儀式 |
VI | 賢人の行列〜大地への口づけ | VI | いけにえの踊り(選ばれた乙女) |
VII | 賢人 | ||
VIII | 大地の踊り |
Q.カンブルランさんの指揮で聴く、「春の祭典」の魅力は?
オーケストラの響きの色彩感を変えてくれると思います。
颯爽としたリズム感、驚きに満ちたフレーズを浮かび上がらせてくれるでしょう。
≪シルヴァン・カンブルランさんインタビュー≫
Q.「春の祭典」の特徴は?
ストラヴィンスキーのリズムは古風で、まるで昔の文明開化とでもいう様です。神聖な音楽とは全く違った頑固な激しさがあるのですが、それでも時にはミステリアスに変化する所もあります。バルトークの「二つの映像」とこの作品を比べると、前者が「大自然」から感じる自然界の力強さを表現しているのに対しこの曲は「人間が」感じる自然界の力強さを表現しています。
〜今回の演奏会の様子を大公開!〜