8月11日(水)深夜2:29〜3:29

指 揮 シルヴァン・カンブルラン
指 揮 レイフ・セゲルスタム
トランペット ルベン・シメオ
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)

モーツァルト作曲:
交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」

※2010年5月1日 サントリーホールにて収録

ハイドン作曲:
トランペット協奏曲 変ホ長調

※2010年2月12日 サントリーホールにて収録


モーツァルト作曲 
交響曲第41番「ジュピター」

2010年4月、読響第9代常任指揮者に就任したシルヴァン・カンブルランさんの指揮による、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。 カンブルランさんは、1948年フランス・アミアン生まれ。2012年にはシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督に就任することが決定しました。 フランス音楽はもちろんのこと、モーツァルトからワーグナー、現代音楽まで幅広いレパートリーを持っていらっしゃいます。

そんなカンブルランさんにお話を伺いました。

<シルヴァン・カンブルラン インタビュー>
「ジュピター」の魅力は?
この作品は、他の作品では見ることのできない特徴があります。それは、ドラマ、ユーモア、優しさ、微笑み、涙などがすべて盛り込まれていることです。モーツァルトの音楽には常にドラマがあります。曲の中で人が悲しみ、喜ぶ姿をイメージできることは素晴らしいと思います。
何かを感じさせる音楽を、モーツァルトはどのように作曲したのでしょうか?彼は人間をこよなく愛していたと思います。彼の音楽で私達は自然と善人になれます。4楽章のメロディーは「つらい事もあるけれど今生きていることが重要なのだ!」と語っているようです。

モーツァルト:交響曲第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」
モーツァルト最後の交響曲、第41番「ジュピター」。第39番・第40番とともに“後期三大交響曲”として親しまれているこの作品は、モーツァルトが33歳の時(1788年8月10日)、わずか2週間で書き上げられました。この「ジュピター」という愛称は、モーツァルト自身が付けたものではなく、ドイツ出身の音楽家ザロモンが名付け親だと言われており、 ギリシャ神話の神々の首座に位置するゼウス(ローマ神話では英語で“ジュピター”)の名にふさわしい威容と造形美を兼ね備えた作品として、愛され続けています。

天才トランペッター
ルベン・シメオ登場!

2曲目は、18歳のスペインのトランペット奏者ルベン・シメオさんの演奏で、ハイドン作曲トランペット協奏曲。(指揮 レイフ・セゲルスタム)
読売日響とは今回が初共演になります。 シメオさんは、1992年スペイン・ヴィーゴ生まれ。わずか8歳でヴィーゴ市の国際音楽コンクールで優勝し、トランペットの神様モーリス・アンドレから才能を認められた天才少年です。

音楽からプライベートまでいろいろお話を伺いました。
<ルベン・シメオ インタビュー>

♪トランペットを始めたきっかけは?
6歳でチェロを始め、7歳でトランペットを始めました。
トランペットの先生をしていた父に影響されて、冗談で父のトランペットを吹いていたら、とても向いていると父が判断したので、トランペットを始めるきっかけとなりました。
♪お父様のレッスンは厳しいですか?
私はあまり父の言うことを聞かないのでよく怒られます。父は本当に私をよく指導してくれていると思います。

♪モーリス・アンドレの教えで印象に残っている言葉は?
言葉ではなく、彼が教えてくれる音楽性に本当に感動して学んでいます。幸いなことに、私には彼が教える技術が備わっていました。私は彼にとって唯一の弟子です。彼は経験から学んできたことを私に教えてくれます。私はすばらしい先生だと思っています
♪モーリス・アンドレから教わった音楽性とは?
映画でトランペットの音は戦うシーンによく使われます。強く吹けばいいと思われる楽器ですが、彼はとにかく優しく演奏することが大切だと言っていました。クラシックではバイオリンやオーボエのような、甘い音で吹くようにいつも言われています。
♪トランペットを演奏している若者へアドバイスを…
子供の頃は2時間、今は4時間毎日練習をしています。やはり日々の練習は大切だと思います。そして何年も続けることで、私のように世界中の素晴らしいホールで演奏することができるのかもしれません。

そう語ってくれたシメオさん。
本番では、甘く優しいトランペットの音色で、観客を魅了しました。

アンコールでは、シメオさんが編曲した、リムスキーコルサコフ作曲「熊蜂の飛行」を披露してくださいました。
 

シルヴァン・カンブルラン(読売日響第9代常任指揮者)  Sylvain Cambreling(conductor)
1948年フランス・アミアン出身。バーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)交響楽団の首席指揮者およびクラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を務めており、独創的なプログラミングと、現代音楽に対する深い造詣が高く評価されている。オペラの分野ではベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、フランクフルト歌劇場の音楽総監督を務め、またザルツブルク音楽祭への出演のほか、パリ・オペラ座の主要な指揮者として多くの作品を指揮。
これまでにウィーン・フィル、ベルリン・フィル、クリーヴランド管、ロサンゼルス・フィルなどを指揮。
2010年4月、読売日響第9代常任指揮者に就任。
2012年のシーズンから、シュトゥットガルト歌劇場の音楽監督に就任することが決まった。
レイフ・セゲルスタム(指揮者) Leif Segerstam(conductor)
1944年生まれ。1953年から63年までヘルシンキのシベリウス・アカデミーで指揮、作曲、ヴァイオリン、ピアノを学ぶ。引き続き、ニューヨークのジュリアード音楽院で研鑽を積んだ。ヘルシンキ、ストックホルム、ベルリンの歌劇場指揮者からキャリアをスタートさせ、並行してメトロポリタン・オペラ、スカラ座、コヴェント・ガーデン、テアトロ・コロンほか、ケルン、ジュネーヴ、ハンブルク、ミュンヘンの歌劇場に客演した。
ウィーン放送交響楽団、フィンランド放送交響楽団の首席指揮者を歴任。現在は1995年から2007年まで12年間首席指揮者の地位にあったヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団の首席桂冠指揮者を務める他、シベリウス・アカデミー指揮科教授の要職にある。
ルベン・シメオ(トランペット) Ruben Simeo (trumpet)
1992年スペインのヴィーゴ生まれ。 トランペット教師である父のもと、市のコンセルヴァトワールで音楽を学び始める。非常に早くからトランペット演奏に非凡な力を示し、コンサートやテレビ番組に出演し、天才少年として注目を集め、音楽評論家からもその技術や成熟した音楽的解釈を絶賛される。
8歳のときにヴィーゴ市主催の「国際音楽コンクール」で第1位を獲得したことを機に、ソリストとしての活動を開始。
モーリス・アンドレのマスタークラスを受けた際、ルベンの才能が巨匠の目にとまり、現在、ただ一人の生徒として研鑽を積んでいる。日本では、2008年avexよりデビューCDをリリース。同時にサントリーホールでシエナ・ウインド・オーケストラとの共演で鮮烈なデビューを飾った。ヨーロッパでは、弱冠16歳にして、シュトゥットガルトで芸術的才能と突出した演奏に贈られる文化賞を受賞。またフランスの名門、パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のソリストに招かれるなど、国際舞台でのキャリアも確実に築いている。
これまでに、10歳で国際ヤマハコンクール(スペイン)第1位、12歳で第6回フィリップ・ジョーンズ国際コンクール(フランス)第2位、13歳でモーリス・アンドレ国際コンクール(フランス)第2位を受賞した。