イタリアの歌姫 エヴァ・メイ登場
珠玉のアリア特集!
イタリアが生んだ歌姫、エヴァ・メイさんの歌声で、オペラ・アリアの名曲をたっぷりとお届けしました。
エヴァ・メイ
イタリア・ファブリアーノ生まれ。チャーミングな表情と多彩な心理描写、艶やかな美声が魅力。特に、ロッシーニやドニゼッティ作品での評価は高く、数多くの録音をリリースしている。
イタリア・ファブリアーノ生まれ。チャーミングな表情と多彩な心理描写、艶やかな美声が魅力。特に、ロッシーニやドニゼッティ作品での評価は高く、数多くの録音をリリースしている。
エヴァ・メイ インタビュー
Q.イタリアオペラの魅力はどんなところですか?
イタリアオペラはイタリア文化の一部で、イタリア人の伝統や生き方の重要な部分でもあります。ですからオペラ作品に込められているすべてに、なじみ深いリアルな感情が見出せるのです。愛、憎しみ、死、恐れ、絶望…すべて時を問わず、存在してきた感情です。そういった いわばイタリア的な感情を、イタリアオペラから見出すことができるのです。
Q.美声を保つために普段どのような喉のケアをしているのですか?
何もしていません。まったくひどいものです。外出もするし、走ったりプールに泳ぎに行ったり、スポーツはとても好きで、よくしています。私たちはそれぞれが贈り物を受けていると思うのです。私は声という贈り物を授かりました。それを大切にしていかなければならないけれど、神経質になる必要はないと思います。私にとって 声を得られた事はとても幸せですが、私はごく普通の生活を送るようにしています。私が声を気にするのではなくて、声が私と一緒に生活しているのです。
Q.読響と共演していかがですか?
このオーケストラを大変気に入りました。非常に正確ですし、美しい音を奏でますね。皆さんが歌い手に寄り添ってくれるし、それをとても楽しんでいました。音の美しさと正確さは本当に興奮しました。彼らとの共演を心から嬉しく思います。
さらに、今回のそれぞれの曲の聴きどころについても伺いました。
Q.歌劇<ウィリアム・テル>から“暗い森”
<ウィリアム・テル>はロッシーニ最後のオペラです。主人公のマチルドは、高貴な女性でハプスブルク家の王女です。彼女は恋をしているのですが、相手は素朴な人物、スイスの農民です。マチルドが登場し、とても心優しくとてもメランコリックに歌うのですが、このアリアでアルノルドを深く愛していることがわかります。このアリアで彼女はとても素敵なことを言います。「私は何もかもそろっている自分の城より森の方が心安らぐ」「自然は どんな豪華な城よりずっと美しいのだから」
Q.歌劇<なりゆき泥棒>から“そのときが近づく”
歌うのは、間もなく結婚する予定の娘ですが、花婿に不満を抱いています。決められた花婿は、彼女が想う人ではないからです。実際、アリアの中で彼女は怒りをあらわにしてこう言います。「私の結婚相手は、私が望む相手ではないわ。彼に私がどんな人間なのか教えてやるから!」
Q.歌劇<連隊の娘>から“高い身分と豪勢な暮らし・・・フランス万歳!”
このアリアを歌う彼女も不満げです。またもや決められた花婿がいるのです。これこそまさに共通テーマで、とてもおもしろいプログラムになっていますよね。彼女は連隊で兵士達に囲まれて育ちました。だからとても男勝りで率直な女性です。このアリアで、始めは貴族の婚約者と結婚しなくてはならない悲しみが歌われます。ですが 「結婚の承諾書にサインしなくては」と歌う最中に、遠くから兵士達の到着を告げる音が聞こえてきます。仲間の連隊の兵士達が彼女を救いに来るのです。そこで大きな喜びが歌いあげられます。彼女は連隊に戻り、愛するトニオと結婚するのです。というわけで、このオペラもハッピーエンドですね。
Q.歌劇<ドン・パスクアーレ>から“その眼差しの魔力を”
<ドン・パスクアーレ>のノリーナのカヴァティーナは、彼女の登場を飾る歌です。すぐに、彼女がとても感じが良くて、とても陽気で機知に富む人物で、しかも世事に長けた女性であることがこのアリアで良くわかるようになっています。彼女の人柄、人生や愛のとらえ方が見事に語られているのです。
Q.歌劇<椿姫>から“不思議だわ、ああ、そは彼の人か・・・花から花へ”
このレチタティーヴォとアリアは、主人公の運命を決める重要な部分です。高級娼婦が恋をするなんてあり得ないことですし、特殊なことですよね。彼女自身も自問自答し、否定しようとしますが、結局恋をしてしまったことを認めるのです。ここからこのオペラのドラマが始まるのです。
アンコールでは、プッチーニ作曲 歌劇<ジャンニ・スキッキ>から“私のお父さん”を披露してくださいました。
楽員が聴きどころを紹介!
読響コンサートへの誘い!!
〜首席トランペット・長谷川潤〜
首席トランペット・長谷川潤
7月19日(火) PM7:00 サントリーホール
《下野プロデュース・ヒンデミット・プログラムVI》
ヒンデミット/〈さまよえるオランダ人〉への序曲
〜下手くそな宮廷楽団が朝7時に湯治場で初見をした〜
(下野竜也編・弦楽合奏版、世界初演)
ヒンデミット/管弦楽のための協奏曲 作品38(日本初演)
ブルックナー/交響曲 第4番 変ホ長調
WAB.104〈ロマンティック〉(ハース版)
指揮:下野竜也
ブルックナーの交響曲第4番ですが、この曲は、何と言っても全編にわたってホルンが大活躍します。1楽章では、鳥の鳴き声や森の音、川の流れなどの自然の描写が表現されています。聴衆の皆さまには、そういうところを感じながらお聴き頂けると良いと思います。そして今回のマエストロの下野竜也さんですが、実は読響というのは代々の常任指揮者の方がブルックナーを多く取り上げて定評があります。例えば先代のスクロヴァチェフスキさんは、各楽器の一音一音に至るまで、強弱を指示して非常に整理された、明確なブルックナーを表現されました。それに対して下野さんは、非常にフレーズを大切にしながら緊張の糸を切らさないという、読響から非常に力強いパワフルな音色を導き出す指揮者だと感じています。こういった違いも味わっていただきたいと思います。
コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。