今回は、ピアニスト辻井伸行さんの演奏で、ベートーヴェン作曲ピアノ協奏曲第5番<皇帝>をお送りしました。
辻井伸行
2009年6月、アメリカで行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初の優勝を果たし、一躍世界の注目を浴びる。
2009年6月、アメリカで行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初の優勝を果たし、一躍世界の注目を浴びる。
〜辻井伸行×古市幸子〜
古市:今回再びカリニャーニさんと共演されますが、久しぶりですよね。
いかがですか?
辻井:この4年で僕も色々な経験をして、コンクールなどを
受けたりして、演奏会もたくさんやってきたので、成長した姿を
マエストロにも見て頂きたいなと思っています。
※2007年にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」で指揮者カリニャーニさんと初共演
パオロ・カリニャーニ インタビュー
辻井さんの今回の演奏について伺いました
彼の音楽的な個性の進歩にはとても驚いています。
それは、16分音符をより速く弾くとか、ラフマニノフの作品を 美しい映画音楽のように弾くということではありません。
今回、2人で新たな何かを生み出すかもしれません。
驚きと共にとてもうれしい再会です。
古市:カリニャーニさんのコメントを聞いていかがですか?
辻井:成長した姿を見て頂くことができて非常にうれしく思っていますし、
本当にマエストロも素晴らしい方なので、楽しんで良い音楽を
皆さんに届けることが出来るんじゃないかなと非常に期待しています。
古市:そして改めて伺いますが、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・
コンクールでのセンセーショナルな優勝からもう2年が
経ちましたが、コンクールから今までを振り返って、どのような
時期でしたか?
辻井:コンクールが終わってから非常に忙しくなってきまして、
プライベートでちょっとどこかに遊びに行ったりする時間が少なく
なってきたのが少し残念だなと思いますが、これも演奏家に
とっては楽しいことなので、今は忙しい中でも楽しくやっています。
古市:さて、今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏して
頂くのですが、辻井さんにとってベートーヴェンというのはどんな
作曲家ですか?
辻井:ベートーヴェンは生涯ずっと取り組んでいきたい作曲家の一人でも
あって、耳が聞こえなくなってからも前向きに頑張っている姿は
尊敬しますね。
古市:それはラフマニノフやチャイコフスキーといった作曲家への想いとは
違うものでしょうか?
辻井:そうですね。やはり違いますし、ラフマニノフやチャイコフスキーは
ロシアの雄大な感じで非常に親しみやすい感じの曲もたくさんありますし、ベートーヴェンは堂々とした作品がすごく多くて、
本当に音楽の中でも色々なことを表現したかったんだと思うし、やればやるほど奥が深くて、本当に素晴らしい大作曲家
ですね。
古市:今日お聴き頂く「皇帝」についてはどんな思いを持って演奏していらっしゃるのですか?
辻井:この「皇帝」は堂々とした感じとか、情熱的でエネルギーあふれるところもあれば、優しいところもあり、すごく素晴らしい
作品だと思います。
辻井さんの力強く、繊細で美しい演奏に、会場からは拍手が鳴り止みませんでした。
アンコールでは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」から第3楽章を演奏されました。
読売日響正指揮者
下野竜也
10月24日(月) PM7:00 サントリーホール
ジョン・アダムス/ドクター・アトミック・シンフォニー(日本初演)
團伊玖磨/交響曲 第6番〈広島〉
指揮:下野竜也(読売日響正指揮者)
能管・篠笛:一噌幸弘
ソプラノ:天羽明恵
「原爆」というものを軸に、落とした方・落とされた方という両方の視点からの作品を並べることで、皆で平和について考える、平和を皆で願うという気持ちを託しました。音楽会は楽しむものですし、音楽は力をもらったり慰めを求めたりするものですが、多くある演奏会の中で、一つみんなで何かを考える、何かを感じる、思うという演奏会があってもいいかなと…。これは首尾一貫として僕はいつも思っていることなのですが。この10月の演奏会は、そういった演奏会に出来ればと思います。
コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。