9月14日(水)深夜2:35〜3:35

指 揮 パオロ・カリニャーニ
ピアノ 辻井伸行
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 古市幸子(日本テレビアナウンサー)

ベートーヴェン作曲 :
ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 作品73 <皇帝>
ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」から第3楽章

※2011年6月23日 サントリーホールにて収録



今回は、ピアニスト辻井伸行さんの演奏で、ベートーヴェン作曲ピアノ協奏曲第5番<皇帝>をお送りしました。

辻井伸行
2009年6月、アメリカで行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初の優勝を果たし、一躍世界の注目を浴びる。

〜辻井伸行×古市幸子〜

古市:今回再びカリニャーニさんと共演されますが、久しぶりですよね。
   いかがですか?

辻井:この4年で僕も色々な経験をして、コンクールなどを
   受けたりして、演奏会もたくさんやってきたので、成長した姿を
   マエストロにも見て頂きたいなと思っています。

※2007年にラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」で指揮者カリニャーニさんと初共演

パオロ・カリニャーニ インタビュー 

辻井さんの今回の演奏について伺いました

彼の音楽的な個性の進歩にはとても驚いています。
それは、16分音符をより速く弾くとか、ラフマニノフの作品を 美しい映画音楽のように弾くということではありません。
今回、2人で新たな何かを生み出すかもしれません。
驚きと共にとてもうれしい再会です。

古市:カリニャーニさんのコメントを聞いていかがですか?
辻井:成長した姿を見て頂くことができて非常にうれしく思っていますし、
   本当にマエストロも素晴らしい方なので、楽しんで良い音楽を
   皆さんに届けることが出来るんじゃないかなと非常に期待しています。


古市:そして改めて伺いますが、ヴァン・クライバーン国際ピアノ・
   コンクールでのセンセーショナルな優勝からもう2年が
   経ちましたが、コンクールから今までを振り返って、どのような
   時期でしたか?

辻井:コンクールが終わってから非常に忙しくなってきまして、
   プライベートでちょっとどこかに遊びに行ったりする時間が少なく
   なってきたのが少し残念だなと思いますが、これも演奏家に
   とっては楽しいことなので、今は忙しい中でも楽しくやっています。

古市:さて、今回はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を演奏して
   頂くのですが、辻井さんにとってベートーヴェンというのはどんな
   作曲家ですか?

辻井:ベートーヴェンは生涯ずっと取り組んでいきたい作曲家の一人でも
   あって、耳が聞こえなくなってからも前向きに頑張っている姿は
   尊敬しますね。

古市:それはラフマニノフやチャイコフスキーといった作曲家への想いとは
   違うものでしょうか?

辻井:そうですね。やはり違いますし、ラフマニノフやチャイコフスキーは
   ロシアの雄大な感じで非常に親しみやすい感じの曲もたくさんありますし、ベートーヴェンは堂々とした作品がすごく多くて、
   本当に音楽の中でも色々なことを表現したかったんだと思うし、やればやるほど奥が深くて、本当に素晴らしい大作曲家
   ですね。

古市:今日お聴き頂く「皇帝」についてはどんな思いを持って演奏していらっしゃるのですか?
辻井:この「皇帝」は堂々とした感じとか、情熱的でエネルギーあふれるところもあれば、優しいところもあり、すごく素晴らしい
   作品だと思います。


辻井さんの力強く、繊細で美しい演奏に、会場からは拍手が鳴り止みませんでした。
アンコールでは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」から第3楽章を演奏されました。


読売日響正指揮者
下野竜也
読響コンサートへの誘い!!

10月24日(月) PM7:00 サントリーホール

ジョン・アダムス/ドクター・アトミック・シンフォニー(日本初演)
團伊玖磨/交響曲 第6番〈広島〉

指揮:下野竜也(読売日響正指揮者)
能管・篠笛:一噌幸弘
ソプラノ:天羽明恵

「原爆」というものを軸に、落とした方・落とされた方という両方の視点からの作品を並べることで、皆で平和について考える、平和を皆で願うという気持ちを託しました。音楽会は楽しむものですし、音楽は力をもらったり慰めを求めたりするものですが、多くある演奏会の中で、一つみんなで何かを考える、何かを感じる、思うという演奏会があってもいいかなと…。これは首尾一貫として僕はいつも思っていることなのですが。この10月の演奏会は、そういった演奏会に出来ればと思います。

コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。

パオロ・カリニャーニ(指揮者)  Paolo Carignani(conductor)
1961年ミラノ生まれ。生地のジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でオルガン、ピアノ、作曲、そしてアルチェオ・ガリエーラのもとで指揮を学んだ。これまでにウィーン国立歌劇場、英国ロイヤル・オペラ、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座(バスティーユ)、バイエルン国立歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、サンフランシスコ歌劇場、リセウ歌劇場(バルセロナ)やイタリアの数多くのオペラハウスに登場している。オーケストラの指揮では、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、デトロイト交響楽団、北ドイツ放送交響楽団、WDR交響楽団(旧ケルン放送交響楽団)、ウィーン放送交響楽団、、イタリア国立放送交響楽団などと共演、また、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭、ラインガウ音楽祭、スポレート音楽祭、グラインドボーン音楽祭、ロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ペーザロ)などでも活躍している。99年から2008年までフランクフルト歌劇場音楽総監督とフランクフルト・ムゼウム管弦楽団の音楽監督を務めた。読響とは06年7月に初めて共演し、ロッシーニやヴェルディなどのイタリア音楽のみならず、<幻想交響曲>や、ウェーベルン、ベルク、シェーンベルクとモーツァルトを組み合わせたプログラムなどでその手腕を発揮した。翌07年7月には、急病のフリューベック・デ・ブルゴス(読響名誉指揮者)に代わり読響の指揮台に立ち、<展覧会の絵>や<春の祭典>などで力強い演奏を披露するとともに、ラフマニノフ<ピアノ協奏曲第2番>で辻井伸行氏とも共演を果たした(第462回定期演奏会、名曲シリーズ名古屋公演)。09年7月に客演した際は、<惑星>や<ローマ3部作>などで聴衆を魅了している。
辻井伸行(ピアノ)  Nobuyuki Tsujii(Piano)
2005年10月、ワルシャワで行われた第15回ショパン国際ピアノ・コンクールに最年少で参加し、「批評家賞」を受賞。09年6月に米国テキサス州フォートワースで行われた第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初の優勝を飾った。国際的に活躍しているピアニストである。1988年東京生まれ。増山真佐子、川上昌裕、川上ゆかり、横山幸雄、田部京子各氏に師事。98年、大阪センチュリー響と共演し鮮烈なデビューを飾った。00年にはサントリーホール(小ホール)で初のソロ・リサイタルを行った。09年のクライバーン・コンクール優勝後は、年に2回のアメリカ・ツアーを行うほか、アスペン、ラヴィニア(共にアメリカ)、ルール(ドイツ)、アブダビ(アラブ首長国連邦)、サント・ドミンゴ(ドミニカ共和国)の各音楽祭に出演。10年12月にはヨーロッパ・ツアーを行い、スイス、イギリス、セルビア、ロシアにデビュー。今年4月にはカナダにデビュー。11月にはカーネギーホール主催によるリサイタルが決定している。07年10月、エイベックス・クラシックスより「debut」でCDデビュー。以後「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」「マイ・フェイヴァリット・ショパン」「展覧会の絵」「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」を発表。7月27日には自作を集めた「神様のカルテ〜辻井伸行自作集」をリリース。09年、文化庁長官表彰(国際芸術部門)。10年、第11回ホテルオークラ音楽賞及び第1回岩谷時子賞受賞。読響とは03年に初共演して以来、07年(指揮:パオロ・カリニャーニ)、09年と共演を重ねてきた。