3月20日(水)深夜2:29〜3:29

指 揮 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
管弦楽 読売日本交響楽団
司 会 松井咲子(AKB48)
ゲスト 茂木健一郎(脳科学者)

ワーグナー作曲(ヘンク・デ・フリーヘル編曲):
楽劇<トリスタンとイゾルデ>
 “オーケストラル・パッション”

※2012年9月23日 サントリーホール



≪オーケストラが演じるオペラ!
 「トリスタンとイゾルデ オーケストラル・パッション」≫

今回は、読響と関係の深い89歳の巨匠、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんの指揮で、
ワーグナー作曲(ヘンク・デ・フリーヘル編曲)「トリスタンとイゾルデ」“オーケストラル・パッション”をお送りしました。

「トリスタン・とイゾルデ」“オーケストラル・パッション”
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の打楽器奏者、ヘンク・デ・フリーヘルが、ワーグナー・オペラの傑作として名高い楽劇「トリスタン・とイゾルデ」を、歌手なしの管弦楽版にアレンジした作品。


リヒャルト・ワーグナー(1813−1883)
19世紀のドイツ・オペラを代表する作曲家。「タンホイザーとワルトブルク城の歌合戦」「ローエングリン」「ニーベルングの指環」など壮大な作品を残し、それ以降の作曲家に大きな影響を与えた。世界中にはそんなワーグナー・オペラの魅力に取り憑かれた「ワグネリアン」と呼ばれる人々も存在する。


今年2013年はワーグナー生誕200年という記念の年。
そこで熱烈なオペラファンとしても知られる、
脳科学者の茂木健一郎さんに、
ワーグナー・オペラの魅力や楽しみ方などお話をお伺いました!

松井咲子(AKB48)×茂木健一郎(脳科学者)
松井 ワーグナーと言えば「タンホイザー」「結婚行進曲」
   「ワルキューレの騎行」などが有名ですよね。茂木さんはとても
   ワーグナーがお好きで詳しいと伺ったのですが、どのようにして
   ワーグナーの曲と出会ったのですか?

茂木 高校生の時です。当時おこづかいでLPを買って聞きました。
   ワーグナーというと青春時代という感じがしますね。恐らく今まで
   実際に見ただけでも50回くらいは見ていると思います。かなりの
   ワグネリアンと言ってもいいのではないでしょうか。
   松井さんはワーグナーを聴いたことはありますか?

松井 聞いたことあります。先程言ったように「結婚行進曲」や「ワルキューレ」とかは有名じゃないですか。
茂木 それって曲の一部分だけを聴いているでしょ?
松井 一部分だけ…。そうですね・・・。
茂木 ワーグナーってメジャーだし、一部分はみんな知っているんだけど、作品の全体像を皆あまり知らない作曲家なのかな?
松井 私はまだワーグナーのオペラを見たことがないのですが、どうしたら私にも楽しむことができますか?
茂木 とりあえず行ってみることかな。あとは我慢することが大事。
   ワーグナーのオペラって、最後にものすごい感動があるんだけど、そのために途中をなるべく耐えるように逆に
   作っているんです。だからちゃんと耐える修行をしないと、最後の感動もない。AKB48も長く苦しい練習があって
   初めて感動があるじゃないですか。それと同じような感じなので、耐えている途中で「辛いからやめよう」と思ってしまうと
   最後の感動まで行けない。

松井 茂木さんも耐えながら聴いていたことがあるんですか?
茂木 僕たちの時代はLPしかなくて、こんなに大きいステレオセットがあって、暗い部屋の中で膝を抱えてずっと
   聴いていたんですよ。今はDVDなど映像もあるけど当時は音だけを聞いているので辛かったです。
   でも他のどの作品にもないくらい深いものがあるなと思いました。

松井 「トリスタンとイゾルデ」“オーケストラル・パッション”は、オーケストラだけで演奏される曲ですが、いかがですか?
茂木 このように曲がアレンジされるということは、その作品が非常に愛されているということ。普段から聴き慣れている人が
   改めてオーケストラバージョンとして聴くことで新鮮な発見があるだろうし、逆にまだ聴いたことのない人はこの作品を
   聴くことでオペラに興味を持つかもしれないし、新しい発見があるのではないかなと思います。

松井 脳科学者の茂木さんから見て、ワーグナーの音楽は脳にどんな影響を与えるのですか?
茂木 パッション=情熱を植え付けてくれるでしょうね。ワーグナーの
   オペラは登場人物が虐げられている人たちなんです。
   だからそもそも登場人物が皆耐えている。でも情熱というのは
   耐えている中で、希望とか夢として出てくるものですよね。
   生きている上で一番大事なものは情熱だと思うし、若いうちに情熱を
   持つということは大事じゃないですか。松井さんみたいにすごく大きな
   チャレンジに向かって頑張っている姿というのは皆感動するんですよ。
   AKB48のじゃんけん大会とかもあの時なぜ皆感動するのかと言うと、
   じゃんけんを皆必死になってやっている、あのパッションに
   感動するんですよ。その情熱=パッションを植え付けてくれるのが
   ワーグナーの音楽ですね。



指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキさんは2007年から読響の第8代常任指揮者を務め、2010年からは桂冠名誉指揮者となりました。御年89歳。約60年にわたり指揮活動を経て今なお躍動的な音楽を創り続ける秘訣とは一体何なのか、お話を伺いました。
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ インタビュー

Q.89歳で躍動的な音楽を作り続ける秘訣とは?
自分自身のことなのでよくわかりません。音楽の仕事は常に私を高揚させ、アドレナリンを与え、指揮をするエネルギーをくれます。私の人生はリハーサル、努力、コンサート、緊張の連続です。そしていつも勉強です。新作のスコアだけでなく、古いスコアをもう一度勉強するのです。それが私のエネルギー源であり、健康と活動の元なのです。

読響コンサートへの誘い!!〜 from室野良史(チェロ)

チェロ
室野良史

4月20日(土) 14:00開演
 東京芸術劇場
4月22日(月) 19:00開演
 サントリーホール

スメタナ
連作交響詩「わが祖国」(全曲)

指揮:小林研一郎

「わが祖国」は6つの交響詩からなる連作交響詩というスタイルで書かれているのですが、とても有名なメロディがあって皆さんも一度はお聴きになったことがあると思います。これを指揮してくださる小林先生はとても熱い方でこの曲にぴったりの方だと思います。指揮者も我々も汗だくの少々暑苦しい演奏になるかもしれませんがどうぞ楽しみにいらしてください。

コンサートの詳細は読売日響ホームページ http://yomikyo.or.jp/をご覧下さい。

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮者) Stanislaw Skrowaczewski(conductor)
1923年10月3日、ポーランドのリヴォフ(現在はウクライナ領)生まれ。4歳でヴァイオリンとピアノを始め、7歳でオーケストラ曲を書き、11歳で公式リサイタルを開いてピアニストとしてデビュー。しかし、第2次大戦中に空襲で負った手の傷が元で、ピアニストの道を断念。以降、作曲と指揮の勉強に向かった。大戦終結後、クラクフでワルシャワ・フィルを指揮した際、時のフランス大使が感動したことが縁となり、奨学金を受けて2年間、パリに留学。まだ、西側に出ることが困難な時代だったが、そのパリで熱心に作曲を学んだ。
40年代後半から本格的な指揮活動に入り、ポーランド各地のオーケストラの指揮者や音楽監督を歴任し、56年にはローマの国際指揮者コンクールで優勝した。クリーヴランド管を指揮した58年のアメリカ・デビュー以降、アメリカ各地のオーケストラに客演。その後、60年から20年近くにわたってミネソタ管の音楽監督を務めた。その後はワルシャワ国立響の首席指揮者、英・ハレ管の首席指揮者を務め、現在はミネソタ管の桂冠指揮者のほか、ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席客演指揮者の地位にある。アメリカ国籍を得て、ミネアポリスを拠点に世界各地で活躍している。2007年から読響の第8代常任指揮者を務め、10年4月からは桂冠名誉指揮者の地位にある。