日時
2015年7月16日(木)午前2:29~3:29(水曜深夜)
BS日テレでは7月25日(土)朝7:00~8:00に放送
出演
指揮 小林研一郎
ソプラノ 小川里美
メゾソプラノ アンネ=テレーザ・メラー
合唱 「復活」郡山公演特設合唱団
管弦楽 読売日本交響楽団
トークゲスト 篠崎卓美(読響バス・トロンボーン奏者)
司会 松井咲子
曲目
♪マーラー作曲
交響曲第2番 ハ短調 「復活」 第5楽章
※2015年4月26日郡山市民文化センター
炎の指揮者・小林研一郎登場!
今年4月、福島県郡山市で行われた『炎のコバケン指揮 よみがえる命・感動の大シンフォニー マーラー「復活」郡山公演』。今回はその演奏会からマーラー作曲「交響曲第2番 ハ短調 〈復活〉 第5楽章」をお送りしました。最終楽章に登場する合唱団は地元・福島県の高校生と一般公募の方々で結成された「復活」郡山公演特設合唱団の皆さん。東日本大震災から4年が経った今、≪復興への想い≫を胸に演奏されました。
マーラー作曲交響曲第2番「復活」
マーラーが残した交響曲の中でも劇的な迫力のある曲。舞台外のバンダ(別働隊)や独唱、大規模の合唱も伴い、編成は極めて大規模。福島県での演奏は、今回が初めてとのこと。
小林研一郎
1940年、福島県いわき市出身。ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、民間人最高位の“星付中十字勲章”を授与された。2011年8月より、読響の特別客演指揮者を務めている。
今回は福島県いわき市出身の読響バス・トロンボーン奏者、篠崎卓美さんをゲストにお迎えして お話を伺いました!
バス・トロンボーンとは…?
左手でロータリーを操作することによって空気の流れる管が長くなりテナー・トロンボーンより低い音域を演奏することができる。
松井咲子×篠崎卓美(読響バストロンボーン奏者)特別インタビュー!
松井 バス・トロンボーンを始めたきっかけを教えてください!
篠崎 最初僕は、テナー・トロンボーンを吹いていましたが、同級生にとても上手な子がいたため、そこに生きる道は無いなと思いました。そうしたら先輩があまりバス・トロンボーンが上手ではなかったので、ここに自分の生き場所があると思い、代わってもらいました。
松井 バス・トロンボーンの魅力はなんですか?
篠崎 これはトロンボーン自体の魅力だと思うのですが、やはり音色ですね。男性の声に近く、合唱のサポートとして使われていた楽器なので、オーケストラの中で演奏するときに柔らかいコラールだったり、逆に力強く、などキャラクターをはっきりと演じられるので、そこがすごく楽しいです。
福島県いわき市出身の篠崎さん。故郷への思い…
松井 篠崎さんは福島県いわき市のご出身で、今でもよく帰ってらっしゃるそうですね。
篠崎 この楽器を始めたきっかけも福島県いわき市ですし、そこでまだ恩師が高校の吹奏楽を教えているのでそれのお手伝いで帰っています。
松井 東日本大震災から4年が経ちましたが篠崎さんからご覧になっていかがですか?
篠崎 震災直後の子供たちとはまたカラーが違いまして、僕が今教えている高校一年生は小学校から中学校に上がるときに震災にあった子供たちです。なので、中学校の制服自体袖を通すのも遅かったので、そういう意味では大人が気を付けて触ってきた、少し脆さと純粋さがあるような気がします。
福島県いわき市が生んだ二人のバス・トロンボーン奏者
松井 同じ福島県いわき市から2人の名バス・トロンボーン奏者が輩出されるというのは本当にすごいことだと思うのですが…
篠崎 オーケストラに一人いればいい楽器なので、プロのオーケストラに在籍しているバス・トロンボーン奏者は、国内で言えば数十人…。そう考えるとその中で同じ町の中で二人出たというのは本当に珍しいことだと思います。
松井 なかなか無いですものね。
篠崎 そうですね。全く偶然で、特に関係があったわけでは無いのですが。ただ、黒金君は僕と年が一回り違うので、彼が中学生くらいの頃から噂は聞いていました。
松井 それはどういう噂でしたか?
篠崎 「すごい子がいる」と。彼が高校2年生の時に初めて講習会で僕が福島県いわき市に帰ったときは驚きました。これは大変だと思って。
松井 危機感ですか?
篠崎 はい。「とりあえず仲良くしてくれ」とお願いしたのは今でも忘れないです。
地元・福島の復興のために行ってきた様々な活動とは…?
松井 そんな篠崎さんと黒金さんですが、今年3月に新しいイベントをなされたんですよね?
篠崎 何かできることを、と考えて毎年3月にいわき市でチャリティーコンサートを行ってきたのですが、演奏会だと一方通行なところがあるので、今度はトロンボーンで相互通行をしたいと考えました。あとはもう一つ、外からいわき市に来ていただきたいというのもありましたので二人で話して、今年はトロンボーンキャンプという形で一緒にアンサンブルしたり、レッスンしたりというのを企画しました。地元の子供たちと、地方から来た参加者がアンサンブルしてくれたおかげで、最後のチームごとでの発表会はこちらが驚くくらい良い演奏を聞かせてもらいました。
松井 初心者の方たちにもとても貴重な経験ですよね。
篠崎 そうですね。
松井 今後、また来年などに開催される予定はありますか?
篠崎 はい。まだ時期は決めていませんが、さらに良い形で出来ればなと思っています。
福島で演奏するマーラー「復活」。その時の思いとは?
松井 さて今日は、福島県郡山市での演奏会からマーラー作曲 交響曲第2番「復活」の最終楽章をお送りします。福島でのコンサートはいかがでしたか?
篠崎 指揮者も同じ福島県出身の小林研一郎さんで、なおかつ福島県でこの「復活」を演奏する、聴けるということは僕の子供の頃は無かったですし、とても良い機会だなと少し他人事のように感じていました。ですが、だんだん演奏会が近くなるにつれ、いろいろな方から「今度来るよね?」と声をかけていただいて、逆に僕の方が後から盛り上がってきた感じでしたね。地元の合唱の子供達、大人の方もそうですが、本当に素晴らしいクオリティーでオケのメンバーからも全く僕は関係ないのですが、「すごいね」と言っていただけてとても誇りに思いました。
松井 やはり福島でのコンサートというのは少し気持ちが違いましたか?
篠崎 そうですね。やはり特別な思いは常にあります。プログラムが「復活」という題目なので、自分の中でも普段とは違った、より一歩強い感情はありましたね。
そして、次回の読響シンフォニックライブは世界的トロンボーン奏者、クリスチャン・リンドバーグさんを迎えての演奏会をお送りいたします。演奏曲目はサンドストレーム作曲「永遠のエコー(2本のトロンボーンと管弦楽)」
特別に、篠崎さんに聞きどころを伺いました!
篠崎 クリスチャン・リンドバーグさんは、トロンボーンでは珍しいソリスト。トロンボーンはやはりオーケストラ・プレイヤーが多いのですが、ソリストとしてパイオニアで、第一人者で、唯一なぐらい素晴らしい方。その方と以前共演させていただいて、その時の飲み会で決まった曲です。桒田さんに「ぜひ一緒にやろう」と、トロンボーンプレイヤー同士の思いで実現したプログラムなので僕も楽しみにしていました。トロンボーン2本のスーパープレイヤーの掛け合い、これをまず聴いていただきたいなと思います。
松井 桒田さんは首席でもありますが、どういう方ですか?
篠崎 本当にスーパースターだと思います。僕も桒田さんと演奏がしたくて読響のオーディションを受けました。あこがれの人でしたので。最近は忘れていましたが(笑)、この演奏を聞いて「あぁやはりあこがれの人だな」と。
松井 すごい人だったなと?
篠崎 素晴らしかったです。じっくり見ていただきたいと思います。
8月の放送では、名トロンボーンプレーヤーであるクリスチャン・リンドバーグさんと桒田晃さん(読響首席トロンボーン奏者)の演奏をお楽しみに!
演奏者の略歴
小林研一郎(指揮者)
KenichiroKobayashi (conductor)
1940年、福島県いわき市出身。東京藝術大学作曲科および指揮科を卒業。 1974年、第1回プダペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞を受賞。ハンガリー国立響の音楽総監督をはじめ、チェコ・フィル常任客演指揮者、日本フィル音楽監督など国内外の数々のオーケストラのポジションを歴任。ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章、民間人最高位の“星付中十字勲章”を授与された。2010年にはハンガリー文化大使に就任。2011年、文化庁長官表彰受賞。2013年、旭日中綬章を受章。 2011年8月より、読響の特別客演指揮者を務めている。 現在、日本フィル桂冠名誉指揮者、ハンガリー国立フィル、名古屋フィルの桂冠指揮者、九州響の首席客演指揮者、東京藝術大学、東京音楽大学およびリスト音楽院(ハンガリー)名誉教授。2012年7月からは、東京文化会館の音楽監督も務めている。 2002年5月の「プラハの春音楽祭」オープニングコンサートの指揮者に、東洋人として初めて起用され、大統領臨席のもとスメタナ作曲〈我が祖国〉をチェコ・フィルと演奏し、スメタナホール満場の聴衆から長いスタンディング・オベーションを受けた。 録音の分野においては現在、読響とブラームスの交響曲全集に取り組んでおり、「交響曲第1番/ハンガリー舞曲集」「交響曲第3番/シューベルト〈未完成〉」が発売され、絶賛を博している。
小川里美(ソプラノ)
Satomi Ogawa (Soprano)
東京音楽大学大学院修士課程修了。新国立劇場研修所第六期生修了。 1999年、東京音楽大学在学中にミス・ユニバース日本代表に選ばれ、任務のため一年間休学する。 大学院在学中に留学生特別奨学金を得て、オーストリア・ザルツブルグに留学、モーツァルテウム国際サマーアカデミーにおいてディプロマ修了。 大学在学中からフランス大使館、イタリア商工会議所、オーストリア大使館、日本ベイリンガー等主催によるコンサート、東京モーターショー、ワコール、ミキモト、ドイツ大使館等のイベントのプレゼンテーションや演奏活動、チャリティ活動をつとめる。 新国立劇場オペラ研修所所属中に、声種をメゾ・ソプラノからソプラノに変更。更にレパートリーを広げた。
アンネ=テレーザ・メラー(メゾ・ソプラノ)
Anne-Theresa Møller (Mezzo Soprano)
ドイツ生まれ。ベルリン・ハンス・アイスラー音楽大学に学び、ユリア・ヴァラディ、ブリギッテ・ファスベンダー、ディートリッヒ=フィッシャー・ディースカウ、アン・マレー、ヴォルフラム・リーガー等多くの名歌手へ師事した。2007年バイロイト・カンティレーナ声楽コンクール第2位、2008年ロベルト・シューマン国際コンクール第1位各受賞。 2008年から14年までマンハイム国立歌劇場のメンバーを務め、『フィガロの結婚』ケルビーノ、『コジ・ファン・トゥッテ』ドラベッラ、『セビリアの理髪師』ロジーナ、『ヘンゼルとグレーテル』ヘンゼル、『こうもり』オルロフスキー公爵、『椿姫』フローラ、『カヴァレリア・ルスティカーナ』ローラ、『ウェルテル』シャルロット、『サロメ』小姓、『薔薇の騎士』オクタヴィアン、『エフゲニ・オネーギン』オルガ、『ねじの回転』グロース夫人等主要役柄に活躍、2013年、ヴァインベルクの新作『白痴』主役で権威誌「オペルンヴェルト」の年間最優秀世界初演賞を受賞する等、ドイツにおける優れた若手メゾソプラノ歌手として名声を確立した。現在、ベルリン・ドイツ・オペラ、カールスルーエ・バーデン州立歌劇場、ザールラント州立歌劇場、ヘッセン州立歌劇場、ハイデルベルク歌劇場、フライブルク歌劇場、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ベルリン・フィルハーモニー、ベルリン・コンツェルトハウス等多くのオペラハウス、コンサートホールに出演、ハンス・グラーフ、ダン・エッティンガー、トーマス・ザンテルリンク、ドナルド・ラニクルズ、イェルク=ペーター・ヴァイグレ、ユストゥス・フランツ、コルネリウス・マイスター、フリーデマン・レイヤー、ジャン=レイサム・ケーニック、ラインハルト・ゲーベル等名指揮者の数々と共演を行っている。
「復活」郡山公演特設合唱団
The Special Choir of “Auferstehung”
今回の演奏会のために、地元の高校生を中心に結成された合唱団。 福島県郡山市は「合唱が盛んな街」として、全国的に知られている。 合唱指揮は小林悟(郡山東高等学校) 安積高等学校合唱部/安積黎明高等学校合唱部/郡山高等学校/郡山東高等学校/郡山女子大学附属高等学校/一般公募者