演奏レビュー

日時

2015年11月19日(木)午前2:34~3:34(水曜深夜)
BS日テレでは11月28日(土)朝7:00~8:00に放送

出演

指揮 飯森範親
打楽器 岡田全弘(読響首席ティンパニ奏者)、西久保友広(読響打楽器奏者)、野本洋介(読響打楽器奏者)、武藤厚志(読響契約首席ティンパニ奏者)ほか
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子

曲目

♪野本洋介作曲
セレスティアル・アンソロジー ~ケフェウス~

♪三木稔作曲
マリンバ・スピリチュアル

♪レスピーギ作曲
バレエ組曲「シバの女王ベルキス」
​ ※2015年9月28日ミューザ川崎シンフォニーホール

打楽器スペシャル!!打楽器アンサンブル&大編成オーケストラ

今回は躍動感あふれる打楽器アンサンブルをお送りいたしました。また、読響首席ティンパニ奏者 岡田全弘さん、読響打楽器奏者 西久保友広さん、野本洋介さんをゲストに迎え、普段はなかなか聞くことのできない打楽器アンサンブルの楽しさや魅力についてお話を伺いました。

松井咲子×読響打楽器セクション スペシャル対談!

松井 このリハーサルで初めて打楽器アンサンブルを聴かせていただいたのですが、迫力がすごいですね。見ていても楽しめる演奏で、 みなさんすごくかっこよかったです。
三人 ありがとうございます。

松井さんが気づいた打楽器アンサンブルの「あること」とは…?

松井 演奏中の「動き」がすごい!と思ったのですが、演奏しながら「次、こっちの楽器へ」という風に動くのは大変ですか?
岡田 大変です(笑)ティンパニにはまず「移動する」ということは無いので…。
野本 打楽器の良いところは楽器の種類が多いことだと思います。さらにそれを並べると、もっとたくさんの音が出るというところが打楽器アンサンブルの面白いところだと思うので、移動も醍醐味の一つだと思います。

意外と多い!?演奏中のハプニング!

松井 今まで演奏している中で、『移動が間に合わなかった』とか、いざ行ってみたら『自分の担当の楽器が無い』などというハプニングはありましたか?
岡田 そういうのばかりです。(笑)
西久保 本番となると、特別なことをしてしまいます。気合が入りすぎて、マレット(ばち)が折れてしまったこともありました。一番前で聴いていたお客様が指を差すので、「なんだろう?」と思って見たら、マレットが落ちてましたね。
松井 でもそういうハプニングも生演奏ならではの楽しみですよね。

打楽器アンサンブルとオーケストラ…演奏面での違いは?

野本 一番の違いはオーケストラの中にある他の楽器の役割も打楽器アンサンブルの中でやらなければいけないというところだと思います。
岡田 打楽器アンサンブルの場合は当たり前ですが、自分の音がお客様によく聴こえますね。オーケストラの中では自分の音と誰かの音が混ざってますから。なので、そういう意味で自分の音を「どう聴かせようかな」という責任感は感じます。

作曲家としても活躍されている野本さん…自作曲を演奏することについての想いとは…?

今回お送りしたのは、打楽器アンサンブルの人気曲「セレスティアル・アンソロジー~ケフェウス~」です。この曲は作曲家としても活躍する野本さんの作品です。

野本洋介作曲「セレスティアル・アンソロジー~ケフェウス~」
石川県能美市立根上中学校吹奏楽部の委嘱により作曲された曲。野本さんが大学生の時に初めて作曲した曲。

松井 以前、読響の皆さんと初共演させていただいた「心のプラカード」の編曲も野本さんにしていただいたのですが、本当に素晴らしくて演奏していてもすごく幸せな時間でした。今回は野本さんが作曲された曲をご自分で演奏されるわけですが、いかがですか?
野本 自分が書いたアンサンブルの曲を自分で演奏する機会というのはあまり無いですね。一番感じてほしいのは、書いた人がこういう演奏をしたから「あれが絶対正解なんだ」という風には思わないでほしいのです。「あのような演奏の仕方もあるんだね」という感じで、それが答えではないと思ってほしいです。

三木稔作曲「マリンバ・スピリチュアル」、この曲の聴きどころとは?

西久保 この曲の後半は「秩父屋台囃子」を基にしていまして、和太鼓やチャンチキがベースになり、その上でマリンバが旋律を奏でます。日本だけではなく世界中で演奏されていますし、現代曲というジャンルの中では一番演奏回数は多いのではないかと思います。
松井  演奏中の掛け声がすごいですよね!
西久保 楽譜に書いてあるのですが、みんなそれ以上に声を出しています(笑)

三木稔作曲「マリンバ・スピリチュアル」
この曲の前半は「魂鎮め」、後半は「魂振り」の2部構成になっており、後半のリズム型では「秩父屋台囃子」を基に構成されている。

また、番組の後半では打楽器が活躍するレスピーギの名曲、「バレエ組曲〈シバの女王ベルキス〉」を飯森範親さんの指揮でお送りいたしました。

野本 楽譜には『アラブの太鼓』と『戦いの太鼓』と書いてあるのですが、打楽器セクションで「どんな楽器がいいかな」といろいろ探し、それを使用して演奏しますので、ぜひ注目していただけたらなと思います。

レスピーギ作曲「バレエ組曲〈シバの女王ベルキス〉」
この曲のオリジナルはオーケストラの編成も巨大でまったく型破りなものだった。使われている打楽器の数も多く、ソロがあったりなど聴きどころ満載の曲である。

演奏者の略歴

飯森範親(指揮)

飯森範親(指揮)
Norichika Iimori (conductor)

桐朋学園大学指揮科卒業。ベルリンとミュンヘンで研鑽を積む。94年から東京交響楽団の専属指揮者、モスクワ放送交響楽団特別客演指揮者、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団常任指揮者、広島交響楽団正指揮者などを歴任。96年の東京交響楽団ヨーロッパツアーでは「今後、イイモリの名が世界で注目されるであろう」と絶賛された。03年、NHK交響楽団定期演奏会でマーラー:交響曲第1番を指揮し、年間ベスト10コンサートに選ばれる。04年シーズンより山形交響楽団の常任指揮者に着任し、次々と新機軸を打ち出してオーケストラの活動発展と水準の向上に目覚しい成果を挙げている。07年より音楽監督に就任。08年にはアカデミー賞映画「おくりびと」にも出演するなど、「飯森&山響」コンビのエネルギッシュな活動はいま大きな注目を集めている。オーケストラを革新し、地域活性化に貢献したことから、2010年のビジネス・イノベーション・アワード大賞(主催:日本経営士会)を受賞し、2011年には山形県より齋藤茂吉文化賞を受賞。近年は音楽家としての活動のみならず、こうしたアートマネジメント分野でもその才能を発揮し、日本経営士会名誉会員として活躍の場を広げている。海外ではフランクフルト放響、ケルン放響、チェコ・フィル、プラハ響、モスクワ放響、北西ドイツ・フィル、デュッセルドルフ響、ドルトムント・フィル、バーゼル響、チェコ国立ブルノ・フィル、チェコ国立モラヴィア・フィル、ホノルル響など世界的なオーケストラを指揮。01年よりドイツ・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督(GMD)に就任、日本人指揮者とドイツのオーケストラの組み合わせとしては史上初の快挙となる「ベートーヴェン交響曲全曲」のCDをリリースし、06年の日本ツアーを成功に導いた。国内外の多くのオーケストラとの間に築かれた類稀な信頼関係、信頼を裏付ける着実な活動の輪の広がりが高く評価され、05年「渡邉暁雄音楽基金 音楽賞」を受賞。さらに、近現代作品や日本人作品の初演・再演に対する業績により、06年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年度 中島健蔵音楽賞を相次いで受賞した。2012年東京交響楽団との《レスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」》はレコード芸術誌特選盤に選ばれた。現在、山形交響楽団音楽監督、東京交響楽団正指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団名誉指揮者、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者。2014年シーズンから日本センチュリー交響楽団首席指揮者に就任。

岡田全弘(打楽器)

岡田全弘(打楽器)
Masahiro Okada (Percussion)

静岡県出身。マリンバ・打楽器を金田温子氏に師事。東京芸大卒業。同大学で高橋美智子氏に師事。93年ティンパニ奏者として入団。97年から1年間ウィーンに留学し、ローラント・アルトマン氏に師事。07年首席ティンパニ奏者。13年からチョン・ミョン・フン指揮アジア・フィルにティンパニ奏者として参加。14年上野学園大学ウインドアンサンブルの演奏会でテーリヒェン作曲のティンパニ協奏曲を演奏。同年同大学の主催公演で2台ピアノと2人の打楽器による福島和夫「水輪」の再演、ドアティ「ラウンジ・リザーズ」日本初演。上野学園大学、武蔵野音楽大学講師。

西久保友広(打楽器)

西久保友広(打楽器)
Tomohiro Nishikubo (Percussion)

東京音楽大学を経て、東京音楽大学大学院修士課程修了。2005年第10回KOBE国際学生音楽コンクールにおいて最優秀賞及び兵庫県教育委員会賞受賞。第10回JILA音楽コンクール打楽器部門において第1位受賞。第22回日本管打楽器コンクールにおいて第2位受賞。第75回読売新人演奏会出演。第10回神戸新聞文化財団松方ホール音楽賞大賞受賞。大学在学中、東京音楽大学特待生及び(財)明治安田生命クオリティオブライフ文化財団奨学生に選ばれ奨学金を授与される。これまで「JTアートホール 期待の音大生によるアフタヌーンコンサート」、「府中の森芸術劇場めばえコンサート」、NHK-FM「名曲リサイタル」「アクトシティニューアーティストシリーズリサイタル」「府中市民芸術文化祭開会式」「トーキョーワンダーサイト主催リサイタル『21世紀を担う新鋭たちの響き』 」など多数出演。05年から2年間東京音楽大学においてティーチングアシスタントを務めた。現在読売日本交響楽団打楽器奏者。「パーカッション・ミュージアム」「パーカッショングループ72」のメンバー。東邦音楽大学、玉川大学芸術学部、昭和音楽大学各非常勤講師。

野本洋介(打楽器)

野本洋介(打楽器)
Yosuke Nomoto (Percussion)

千葉県出身。東京芸術大学器楽科卒業。これまでに打楽器を菅原淳、有賀誠門、岡田知之、高田みどり、石内聡明の各氏に、音楽学を小山薫氏に師事。別府アルゲリッチ音楽祭、北九州国際音楽祭、東京・春・音楽祭等に出演。第16回「国際音楽の日」コンサート(千葉市音楽協会主催)ではソリストとして自作の打楽器独奏と吹奏楽のためのコンチェルトを演奏。第12回千葉市文化新人賞受賞。JPC(コマキ楽器)より打楽器アンサンブル曲を出版、全国で演奏されている。現在、読売日本交響楽団打楽器奏者。横浜シンフォニエッタ、メンバー。洗足学園音楽大学講師。

バックナンバー一覧
ページの先頭へ