日時
2015年12月26日(土)午前2:55~4:25(金曜深夜)
BS日テレでは2016年1月2日(土)朝6:30~8:00に放送
出演
指揮 久石 譲
ソプラノ 森谷真理
テノール 高橋淳
バリトン 宮本益光
合唱 武蔵野音楽大学合唱団(合唱指揮:栗山文昭)
児童合唱 東京少年少女合唱隊(合唱指揮・長谷川久恵)
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子
曲目
♪ジョン・アダムズ作曲
ザ・チェアマン・ダンス
※2013年8月28日東京芸術劇場
♪カール・オルフ作曲
〈カルミナ・ブラーナ〉
※2015年10月29日東京芸術劇場
作曲家として活躍する久石 譲が指揮者として登場!
今回は読響と様々な音楽活動で共演している作曲家・久石譲さんが指揮者として登場。番組MCの松井咲子さんがお話を伺いました。
松井咲子×久石譲 スペシャル対談!
読響との初共演時の印象は…?
松井 久石さんと読響の初共演は3年半前ですが、今でも印象に残っていることはありますか?
久石 ショスタコーヴィチの交響曲第5番などを演奏したのですが、作曲家の僕が指揮をするということで、読響の皆さんに助けていただき、とてもいい演奏になったということを覚えています。
その他にも、初共演の翌年、2013年には宮崎駿監督作品、「風立ちぬ」の映画音楽レコーディングに読響が参加。読響にとってスタジオジブリの映画音楽を演奏するのは初めての経験でした。また、その直後に読響と久石さんは2度目の共演を果たし、オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」(語り:樹木希林)、ベートーヴェン・交響曲第7番、そしてジョン・アダムズ作曲の「ザ・チェアマン・ダンス」を演奏しました。
現代音楽への思いとは…?
松井 読響と2度目に共演された時、ジョン・アダムズ作曲の「ザ・チェアマン・ダンス」を演奏されていましたが、よく知られた音楽の中に現代曲を演奏されたということには何か狙いがあったのですか?
久石 自分は作曲家なので、もちろん映画音楽も書きますが、やはり作品(純音楽)も書いています。なので、Up to date(最先端の)という感じで作られているものを紹介していくというのは自分の義務でもあるというか、自分がやれるならやっていこうと思いました。
松井 現代曲を書かれているときと、となりのトトロのような映画音楽を書かれているときに、二面性といったものは何か意識していたりしているのですか?
久石 確かにあります。ですが、もう一歩下がって考えると「曲を作る」という行為は一緒ですよね。非常に複雑な五十段ぐらいの真っ黒になった譜面を書くことと、16小節ぐらいのシンプルなメロディで、人に良いなと感じてもらおうとすること、どちらが難しいかというと、16小節の方が大変かもしれないです。誰でも出来てしまうことを「それでも久石である」と言わせる曲を書こうとするならその方が大変ですよね?
今回、一曲目にお送りしたのはジョン・アダムズ作曲のザ・チェアマン・ダンス。この曲の魅力を久石さんにお伺いしました。
久石 リズムがはっきりしていて、とても分かりやすい曲です。ですが、非常にシンフォニックに作られていて、理屈っぽくない。聴いていてもオーケストラの醍醐味を全て味あわせてくれる曲です。
ジョン・アダムズ作曲
ザ・チェアマン・ダンス
ジョン・アダムズのオペラ「中国のニクソン」晩さん会の場面で演奏される曲の管弦楽版。ミニマル・ミュージックの中でも代表的な作品となる。
そして、2曲目にはカール・オルフ作曲「カルミナ・ブラーナ」をお送りしました。気持ちが高まるような、壮大なオープニングから始まるこの曲について久石さんにお話を伺いました。
久石 この曲は「世俗カンタータ」と言われています。要するに一般の民衆の持っている力、例えば「夏になったらみんなで酒飲もうよ」とか、「あの人が好きだ」というようなことを歌っています。言葉自体にはそれほど深い意味はないけれども、結果そこから出てくる人間の持つエネルギーや「生きることは大変なことだけれども、どんなに素晴らしいんだろう」という人間に対する賛歌。それはこの曲の底辺にものすごく強い力として持ってると思います。
カール・オルフ作曲
〈カルミナ・ブラーナ〉
19世紀の初めにドイツ南西部の修道院で発見された詩歌集に基づいて作曲された世俗カンタータ。人間の持つエネルギーや人々に対する賛歌などが歌われている。
今後の読響と久石さんの関係性は?
松井 改めて、久石さんにとって読響はどんな存在ですか?
久石 日本を代表する素晴らしいオーケストラで、皆さん一生懸命に演奏してくれます。なので、この関係性は長く続けていきたいと思いますし、より大きなプロジェクトが出来るような、点ではなく、線になる活動を今後もできるといいなと思っています。
松井 一読響ファンとしてとてもうれしいです!久石さんと読響の中がより深まっている気がします。
そして、次回の読響シンフォニックライブでは久石譲さんが書き下ろした新作、コントラバス協奏曲の世界初演の模様を放送!
「音がこもりがちになる低域の楽器をオケと共演させながらきちんとした作品に仕上げるのはハードルが高かったです。僕は明るい曲を書きたかったので、ソロ・コントラバス奏者の石川滋さんには今までやったことないようなことにもチャレンジしていただく必要もありました。」とこの曲について語ってくださった久石さん。どんな作品になったのかは、次回の放送をお楽しみに!!
演奏者の略歴
久石譲(指揮)
Joe Hisaishi(conductor)
1950年、長野県出身。国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。「MKWAJU」(1981)から、最新作「ミニマリズム 2」(2015)まで多くのソロアルバムを発表。
1984年の映画『風の谷のナウシカ』以降、国内外の映画音楽を多数手掛ける。近年の代表作は、滝田洋二郎監督『おくりびと』(2008)、李相日監督『悪人』(2010)、宮崎駿監督『風立ちぬ』(2013)、高畑勲監督『かぐや姫の物語』(2013)、山田洋次監督『小さいおうち』(2014)、若松節朗監督『柘榴坂の仇討』(2014)など。2001年、映画監督・音楽・共同脚本を手掛けた『Quartet カルテット』を製作。映画音楽においては、これまで8度にわたる日本アカデミー賞最優秀音楽賞をはじめ、海外でも数多くの賞を受賞。
2004年7月、新日本フィルハーモニー交響楽団と「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」を結成し、音楽監督に就任。自身の演奏活動では、ピアノソロや室内楽、オーケストラなど様々なスタイルのコンサートを精力的に行う。近年はクラシックの指揮者としても国内外で精力的に活動するほか、現代音楽の作品を手掛けるなど、活動の場は多岐にわたる。また、2014年より久石の主宰によるミニマル・ミュージックやポストクラシカルといった最先端の“現代の音楽”を紹介するコンサート「Music Future」シリーズを始動。作曲家の視点で構築するコンサートは高い評価を得ている。
国立音楽大学招聘教授。2009年紫綬褒章受章。長野市芸術館・芸術監督(2016年開館予定)。
森谷真理(ソプラノ)
Mari Moriya(Soprano)
ニューヨークのメトロポリタン・オペラにて、J.レヴァイン指揮『魔笛』夜の女王でデビューを飾る。夜の女王ではウィーン・フォルクスオーパー、ライプツィヒ・オペラ、スコティッシュ・オペラ等に加え、ケネディー・センターでワシントン・ナショナル響と共演。欧州デビューは07/08シーズン、アイルランド・オペラ『トゥーランドット』リュー。その後も『ナクソス島のアリアドネ』ツェルビネッタ等で再登場している。
アメリカでは夜の女王に加え、『ランメルモールのルチア』タイトルロール、『ロメオとジュリエット』ジュリエット等を歌っている。さらに、オーストリア・リンツ州立劇場の専属歌手として『ラクメ』タイトルロール、『ラ・ボエーム』ミミ、宮本亜門演出『魔笛』夜の女王, パミーナ両役等に出演。加えて、リンツ・ブルックナー管と「第九」で共演。国内では14年びわ湖ホール『リゴレット』ジルダ、15年東京二期会『魔笛』夜の女王の演唱でセンセーションを巻き起こした。コンサートでは、バッハ、モーツァルト等の宗教曲や「カルミナ・ブラーナ」などで活躍。武蔵野音楽大学大学院修了後、ニューヨーク・マネス音楽院でプロフッェショナル・スタディを修了。第5回ヴェロニカ・ダン国際声楽コンクール1位、第2回チャールズ・A・リーナム声楽コンクール1位、クラ・ミューズ声楽コンクール1位等国際コンクールで受賞歴多数。ウィーン在住。二期会会員。
高橋 淳(テノール)
Jun Takahashi(Tenor)
東京音楽大学卒業。同大学院を経て、二期会オペラスタジオマスタークラス修了。修了時に優秀賞受賞。2001年オペラ・デビュー以降、新国立劇場、二期会を中心に様々な舞台で活躍を続けている。常任指揮者(当時)であるG.アルブレヒトの厚い信頼を得て読売日響へは数々の客演を重ねており、01年グルリット『ヴォツェック』(日本初演)、03年ヘンツェ『午後の曳航』(世界初演)、04年ヤナーチェク『運命』(日本初演)等で共演。殊にヘンツェでは、マエストロの指名により登役で出演。難易度の高い音楽を巧みな心理表現によって演奏し、各方面より高い評価を得た。また06年夏にはアルブレヒト指揮RAI国立交響楽団と共に、ザルツブルク音楽祭、ベルリン、トリノで再度この作品を歌い、各地でスタンディング・オーベーションを受ける成功を収めた。近年では11年二期会『サロメ』にてヘロデ王のスケールの大きな演唱が絶賛され、13年には新国立劇場開場15周年『夜叉ケ池』(世界初演)、日生劇場ライマン作曲『リア』(日本初演)等で公演の成功に寄与している。また最近では宮本亜門演出東京二期会『魔笛』モノスタトスで喝采を浴びる。コンサートでは、主要オーケストラと数多く共演しており、とりわけ「カルミナ・ブラーナ」は個性的な歌唱が高い評価を得、我が国に於ける第一人者としての地位を確立。2010年には初のリサイタルでドイツ・リートを披露、伸びやかな美声で好評を博した。二期会会員。
宮本益光(バリトン)
Masumitsu Miyamoto(Bass)
東京藝術大学卒業、同大学院博士課程修了。2003 年『欲望という名の電車』スタンリーで脚光を浴び、翌年の『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロールで衝撃的な二期会デビュー。近年では2010 年神奈川県民ホール・びわ湖ホール『ラ・ボエーム』マルチェッロ、新国立劇場『鹿鳴館』清原永之輔、日生劇場『オルフェオとエウリディーチェ』オルフェオ、2011年東京二期会『ドン・ジョヴァンニ』タイトルロール、日生劇場開場50 周年記念『メデア』イヤソン、2013年東京二期会『こうもり』ファルケ、新国立劇場『夜叉が池』( 世界初演) 学円、日生劇場開場50 周年記念『リア』(日本初演)オルバニー侯爵、2014年新国立劇場『鹿鳴館』(再演)清原永之輔、東京二期会『チャールダーシュの女王』フェリバーチ等、常に大舞台で活躍し、絶賛を浴びている。2015年12月には神奈川県民ホール40周年記念『金閣寺』溝口で出演予定。
コンサートでも「第九」や宗教曲でも読売日響、東京交響楽団、日本フィル等と共演。古典作品から現代作品、邦人作品までそのレパートリーは幅広く、読売日響「フランケンシュタイン!!」(作曲:HKグルーバー)も大きな話題を呼んだ。
CD「おやすみ」、「あしたのうた」、「碧のイタリア歌曲」をリリースの他、DVD「宮本益光リサイタル〜日本語訳詞で聴くオペラ名場面集」、著作に「宮本益光とオペラへ行こう」、自ら作詞した歌曲の詞をまとめた詩集「もしも歌がなかったら」等がある。二期会会員。
武蔵野音楽大学合唱団(合唱)
Tokyo Musashino Academia Musicae Chorus(Chorus)
武蔵野音楽大学は昭和4年(1929年)に創立、昭和24年(1949年)に日本初の私立音楽大学として認可され、これまでに数多くの優れた音楽家、教育者を輩出している。創立当初より一貫して「音楽芸術の研鑽」と「人間形成」を教育の方針として、人格豊かな人材の育成に努めている。武蔵野音楽大学合唱団は合唱授業の一つとして、声楽学科3年次生を中心に編成されている。本学管弦楽団との共演により、毎年合唱の大曲を定期演奏会で発表している他、読売日本交響楽団との30数年にわたるベートーヴェン「第九」の共演をはじめ、G.ロジェストベンスキー、K.マズア、L.マゼール、G.シノーポリ、E.インバル、V.アシュケナージらの指揮による読売日本交響楽団、東京都交響楽団などのオーケストラとの共演も行い、数々の名演を残している。
東京少年少女合唱隊(児童合唱)
The Little Singers of Tokyo(Chorus)
ヨーロッパの伝統音楽に基づく音楽教育を目的とする日本初の本格派合唱団として1951年設立。
2011年に創立60周年を迎えた。グレゴリオ聖歌から現代作品までレパートリーは幅広く、松平頼暁、一柳慧、細川俊夫等への委嘱作品も数多い。6歳から14歳の基礎を学ぶクラスから、演奏活動の中心となる15歳から19歳までの年齢構成で演奏活動を行っている。
年2回の定期公演の他、1964年の訪米以来海外公演は31回を数える。国内外のオーケストラ、オペラ劇場との共演も多く、C.アバド指揮ベルリン・フィルをはじめ、2009年K.マズア指揮N響ベートーヴェン「交響曲第9番」ソプラノパートで共演(本邦初)、2010年には東京・春音楽祭R.ムーティ指揮オルフ「カルミナ・ブラーナ」に出演し、高い評価を得た。2011年7月には創立60周年記念演奏会「手をつなごうコンサート2011」をサントリーホールで開催。英国のエディンバラ聖メアリー大聖堂聖歌隊を招聘し、日本各地の合唱団300余名と共に東北地方へのオマージュ演奏を捧げた。
来年創立65周年に先駆け、今秋にマカオ公演と年末年始にはイタリア公演を実施予定。