日時
2016年8月4日(木)午前2:29~3:59(水曜深夜)
BS日テレでは2016年8月13日(土)朝6:30~8:00に放送
出演
指揮 久石 譲
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子
曲目
♪久石 譲作曲
「TRI-AD」 for Large Orchestra(世界初演)
♪アルヴォ・ペルト作曲
交響曲第3番 から 第2楽章、第3楽章
♪チャイコフスキー作曲
交響曲第5番 ホ短調 作品64
※2016年5月8日長野市芸術館
久石譲&読響 長野市芸術館グランドオープニング・コンサート
5月8日に開館した長野市芸術館のグランドオープニング・コンサート。
芸術監督・久石譲さんの指揮&読響の演奏で、長野市芸術館は幕を開けました。
今回は、そのコンサートの演奏を90分の拡大版でお送りしました。
長野市芸術館
5月8日に長野県長野市に開館したホール。長野駅から徒歩15分。新しい長野市役所と共に文化芸術の交流・創造の拠点として建てられた。コンサートが行われるメインホールは山の稜線をイメージしたデザインが施されており、床や壁には長野県産の栗の木が使用されている。まさに長野ならではの自然の中で、豊かな響きを味わうことができる。
長野市芸術館の音楽監督は作曲家の久石譲さん。
久石さんが描く長野市芸術館のビジョンについてお話を伺いました。
自分が長い間活動してきた中で、「作曲家」の活動だけだったとしたら恐らく多くの人に支持されていなかったと思います。というのは顔が見えないと難しいからです。ホール自体が音楽を作るわけではないので、そこに「あのホールといえば」という“顔”が必要なのです。それでナガノ・チェンバー・オーケストラを作りたいと思いました。自分はやはり現代音楽の作曲家です。現代曲と古典を組み合わせながらプログラムを作っていくので、それがどのくらいお客さんに受け入れてもらえるかチャレンジしようかと思っています。
プログラム1:久石譲/「TRI-AD」 for Large Orchestra(世界初演)
久石譲作曲
「TRI-AD」for Large Orchestra(世界初演)
芸術監督の久石譲が、開館を記念したグランド・オープニングコンサートのために作曲した新作。
新作『TRI-AD』とは?
久石 「『TRI-AD』は三和音という意味です。各パートの構成がほとんど三和音になっています。
それが全体的に明るさを失わず、元気になる曲です。
すごくダイナミックだけど、きちんと見ると楽曲的にも整理している。そういう曲を目指しました
プログラム2:アルヴォ・ペルト/交響曲第3番
アルヴォ・ペルト作曲
交響曲第3番
エストニア出身の作曲家・アルヴォ・ペルト。ショスタコーヴィチやバルトークから影響を受け、前衛的な現代音楽の作曲家として知られる。交響曲第3番は36歳の時に書かれた作品。当時研究していた教会音楽が反映されている
久石さんが注目しているアルヴォ・ペルトの『交響曲第3番』
久石 「彼はエストニア出身の作曲家ですが、ヨーロッパで本当によく演奏されています。
基本的にミニマルミュージックというのは、アメリカで出来たものです。ですからどうしてもジョン・アダムズなど少しアメリカの方に意識が向いてしまいますが、実際はヨーロッパでも演奏されています。
ただ、なかなか日本では聴く機会が無いので、自分はコンサートのプログラムを組むとき、機会があればどんどん取り入れていきたいと思っています。
プログラム3:チャイコフスキー/交響曲第5番 ホ短調 作品64
チャイコフスキー作曲
交響曲第5番 ホ短調 作品64
ロシア・ロマン派作品の美しさと西欧的交響曲の構成を伴うバランスの取れた交響曲。チャイコフスキーが書いた交響曲の中でも「後期三大交響曲」の一曲として聴衆からの人気も高い。
久石さんとチャイコフスキー『交響曲第5番』を繋ぐ不思議な縁とは?
久石 「一番最初にオーケストラで交響曲の全楽章を指揮したのがチャイコフスキーの交響曲第5番だったんですね。一番最初に最後までやった曲なので、今回この長野市芸術館のオープニング・コンサートは少しメモリアルなコンサートですし、曲も苦悩から歓喜と言いますか、解放されるという明るさもあるので、これにチャレンジしたいなと思いました。」
久石さんが語る『交響曲第5番』の魅力
久石 「すごく難しい曲です。一瞬にして感情の起伏が変わります。ここは喜びのはずがその裏に悲しみがあったり、ここは悲しいメロディーだとすると実はその時、既に次の希望を見ている。かなりこれは苦しんで書いたんだろうという気がします。」
演奏者の略歴
久石 譲(指揮)
Joe Hisaishi (conductor)
1950年、長野県出身。国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。「MKWAJU」(1981)から、最新作「ミニマリズム 2」(2015)まで多くのソロアルバムを発表。
1984年の映画『風の谷のナウシカ』以降、国内外の映画音楽を多数手掛ける。近年の代表作は、滝田洋二郎監督『おくりびと』(2008)、李相日監督『悪人』(2010)、宮崎駿監督『風立ちぬ』(2013)、高畑勲監督『かぐや姫の物語』(2013)、山田洋次監督『小さいおうち』(2014)、若松節朗監督『柘榴坂の仇討』(2014)など。2001年、映画監督・音楽・共同脚本を手掛けた『Quartet カルテット』を製作。映画音楽においては、これまで8度にわたる日本アカデミー賞最優秀音楽賞をはじめ、海外でも数多くの賞を受賞。
2004年7月、新日本フィルハーモニー交響楽団と「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」を結成し、音楽監督に就任。自身の演奏活動では、ピアノソロや室内楽、オーケストラなど様々なスタイルのコンサートを精力的に行う。近年はクラシックの指揮者としても国内外で精力的に活動するほか、現代音楽の作品を手掛けるなど、活動の場は多岐にわたる。また、2014年より久石の主宰によるミニマル・ミュージックやポストクラシカルといった最先端の“現代の音楽”を紹介するコンサート「Music Future」シリーズを始動。作曲家の視点で構築するコンサートは高い評価を得ている。
国立音楽大学招聘教授。2009年紫綬褒章受章。長野市芸術館・芸術監督。