日時
2017年4月20日(木)午前2:34~3:34(水曜深夜)
BS日テレでは2017年4月29日(土)朝7:00~8:00に放送
出演
指揮 田中祐子
シルヴァン・カンブルラン(読響常任指揮者)
ピアノ 松本和将
管弦楽 読売日本交響楽団
司会 松井咲子
曲目
♪ストラヴィンスキー作曲
バレエ音楽〈ペトルーシュカ〉(1947年版)
※2017年2月28日ミューザ川崎シンフォニーホールにて収録
♪シューベルト作曲(ウェーベルン編曲)
6つのドイツ舞曲 D820から
※2016年10月19日サントリーホールにて収録
今、注目の指揮者 田中祐子が登場!
ストラヴィンスキーの傑作 バレエ音楽〈ペトルーシュカ〉をお送りしました
田中祐子(指揮者)
名古屋市出身
東京音楽大学、東京藝術大学大学院で指揮を学び尾高忠明、広上淳一など名だたる指揮者に師事
国内の主要なオーケストラと共演を重ね2013年にはクロアチア国立歌劇場リエカ管弦楽団で海外デビューを果たした
田中祐子×松井咲子 インタビュー
話題の女性指揮者・田中祐子
松井 クラシックの世界ではまだ女性指揮者の割合が少ないのかなと思うのですが…。
田中 そうですね。ですが、人数が少ないとすぐに名前と顔を覚えていただけますので、そういったときには「よかったな」と思えることもありますね。
松井 逆に苦労を感じる面というのはありますか?
田中 自分が男性として指揮を振ったことがないので、大きな意味で「田中祐子」という人間で苦労している部分はあると思いますが、女性だから感じる苦労は特に無いと言っていいんじゃないかなと。
ただ、男性の方と違い、メイクが落ちてしまって終演後、衣装の襟にファンデーションがついてしまうことがよくあって。それが今の課題ですね。どうしたらいいのか。そういう時ありませんか?
松井 AKB48に所属していた時はすごく踊っていたので…
田中 今聞きたいです!
松井 汗に強くて、崩れにくいファンデーションがあるんです。私もデパートのメイクコーナーに行った時、見ていたら店員さんに「このファンデーション、AKB48の子も使っているんですよ!」と私が勧められたんです(笑)そのぐらい良いファンデーションがあるので(笑)
田中 なるほど(笑)では後で詳しく教えてください。
指揮者 田中祐子 その原点を探る
松井 田中さんが指揮者を志すことになったきっかけはなんだったのでしょうか?
田中 小学校4年生の時に児童合唱のピアノ伴奏を務めることになりまして、先生が来るまでピアノを弾きながら練習しておくのが自分の役割だったんです。その時に、自分が発した言葉によって、優しく言った時と、少し厳しく伝えた時とで、相手の音が変わっていくような、そういった時間がとても楽しかったんです。その時にきっと指揮者はこれをピアノを弾かずに身振り手振りによって行うんだなということに小学校の5、6年生の頃に気づき始め、「ああ、指揮者っていう仕事があるんだ」という風に思ったのがきっかけです。
田中祐子が学んだ指揮の“難しさ”とは
松井 学生時代の指揮科のレッスンではどういったことを学びましたか?
田中 やはり印象に残っているのは、目の前に同級生のオーケストラや小編成のオーケストラ、ピアニスト、先生方の前などで指揮を振って、どういったアプローチをすると音が変わっていくのか、どういった瞬間に相手の気持ちが離れてしまうのかなど、そういうことを実践的に勉強する、そういった場所でしたね。
松井 指揮をしていく中で自分が伝えたいと思ってやっていることがなかなか伝わらないこともあるんですか?
田中 はい。そういった時にはどうしても言葉でばかり伝えてしまいます。でもそうするとだんだん奏者は話を聞く時間が長くなってしまうんですよね…。同級生の顔がだんだん曇っていくのを見てさみしい思いをしながら家に帰ったりしましたね。ただ、そういうことはずっと向き合っていくことだと思っているのでいまだに勉強中です。
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バレエ音楽〈ペトルーシュカ〉(1947年版)
ストラヴィンスキー 作曲 -
ストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽3部作の一つ
舞台はロシア・ペテルブルクの謝肉祭
魔術師によって命を吹き込まれたあやつり人形、ペトルーシュカの悲しく切ない恋の物語
「ロシア版ピノキオ」とも呼ばれている
ストラヴィンスキーの傑作 バレエ音楽〈ペトルーシュカ〉の魅力
田中 ロシアのピエロである、あやつり人形の話というのが面白いとストラヴィンスキーは思っていて、響きとしても明るい部分がとても多いですし、グロテスクと言われるような「なんだろう、ここ」というようなところもあります。曲を聴いているだけで様々なキャラクターが出てきて、最後ペトルーシュカが、死んでしまうところの音楽的な表現、間合いなどの息づかいが楽譜の中にしっかり書かれています。曲中に出てくるたくさんのソロも、本当にその中でバレエを踊っているかのように演奏されていて、そういうところも魅力の一つだと思います。
プログラム2
シューベルト作曲(ウェーベルン編)/6つのドイツ舞曲 D820から
指揮:シルヴァン・カンブルラン
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6つのドイツ舞曲 D820から 第3曲~第6曲
シューベルト作曲(ウェーベルン編) -
1824年にシューベルトが作曲したピアノ独奏曲
1931年にウィーンの作曲家ウェーベルンがオーケストラ版に編曲
読響&常任指揮者 シルヴァン・カンブルランによって創り出された演奏はこの作品の美しさをより一層感じさせるものでした。
演奏者の略歴
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田中祐子(指揮)
Yuko Tanaka (conductor) -
名古屋市生まれ。東京音楽大学指揮科(給費特待生)卒業後、東京藝術大学大学院指揮科修士課程を首席にて修了。指揮を尾高忠明、広上淳一、高関健、汐澤安彦の各氏に師事。東京国際コンクール「指揮」入選、ブザンソン国際指揮者コンクールのセミファイナリスト、ショルティ国際指揮者コンクールのセミファイナリスト。
これまでに、読売日本交響楽団、NHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、札幌交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団、京都市交響楽団、広島交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、山形交響楽団、群馬交響楽団などと共演。
2013年1月にはクロアチア国立歌劇場リエカ管弦楽団に招かれ海外デビュー。2015年は藤原歌劇団・ヴェルディ:「椿姫」に抜擢されオペラデビューを果たす。2017年3月には日本オペラ振興会本公演「よさこい節」(於:新国立劇場)の登壇が決まっている。NHK-FM「名曲アルバム」やNHK-Eテレ「らららクラシック」での出演も多く、好評につき多数再放送されている。
2015-16-17年シーズンNHK交響楽団首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏公式アシスタント。
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松本和将(ピアノ)
Kazumasa Matsumoto (piano) -
幼い頃よりピアノに目覚め、高校在学中に「ホロヴィッツ国際ピアノコンクール」第3位など、国内外のコンクールで上位入賞。1998年19歳で「第67回日本音楽コンクール」優勝。併せて増沢賞はじめ、全賞を受賞。2001年ブゾーニ国際ピアノコンクール第4位、2003年エリーザベト王妃国際音楽コンクール第5位入賞。
これまでにプラハ交響楽団、プラハフィル、ベルギー国立オーケストラ、読売日響、日本フィル、新日本フィル、東京交響楽団、東京フィルなど、多くのオーケストラと共演。2010年より上里はな子、向井航とピアノトリオを結成し、2012年には東京、京都、広島を始めとする6都市で全国ツアーを行う。ソロでは2009年から3年連続のオールショパンプログラム全国ツアーを行う。
これまでにレコード芸術の特選盤を含む17枚のCDをリリース。
東京芸術大学非常勤講師(2008~2012)、くらしき作陽大学特任准教授として、後進の指導にもあたっている。
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シルヴァン・カンブルラン(指揮)
Sylvain Cambreling (conductor) -
幅広いレパートリーと斬新なプログラム、色彩感あふれる演奏が持ち味の読響常任指揮者。1948年フランス・アミアン生まれ。これまでにブリュッセルのベルギー王立モネ歌劇場の音楽監督、フランクフルト歌劇場の音楽総監督、バーデンバーデン&フライブルクSWR(南西ドイツ放送)響の首席指揮者を歴任し、現在はシュトゥットガルト歌劇場の音楽総監督とクラングフォーラム・ウィーンの首席客演指揮者を兼任している。また、巨匠セルジュ・チェリビダッケの後任として、ドイツ・マインツのヨハネス・グーテンベルク大学で指揮科の招聘教授も務める。
客演指揮者としてはウィーン・フィル、ベルリン・フィルを始めとする欧米の一流楽団と共演しており、オペラ指揮者としてもザルツブルク音楽祭、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座などに数多く出演している。
録音にも積極的で、読響とは≪幻想交響曲ほか≫≪ペトルーシュカほか≫≪第九≫≪春の祭典/中国の不思議な役人≫≪スコットランドほか≫をリリースしている。