演奏レビュー

日時

2017年12月21日(木)午前2:34~3:59(水曜深夜) 25分拡大版
BS日テレでは2017年12月30日(土)朝6:30~7:55 予定

12月放送プログラム <2017年7月7日 東京芸術劇場にて収録>

ブラームス作曲 「ピアノ協奏曲第2番」 ほか

指揮
飯守泰次郎
ピアノ
ネルソン・フレイレ

【12月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー

新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。

【ブラームス作曲 「ピアノ協奏曲第2番」】
本当に申し分のないすばらしい演奏でした。ブラームスの音楽はこうあってほしい…という理想像がまさにそこに在りました。小手先の思いつきや個人の思いで何かを試したりするのではなく、これがブラームスのスタイルで間違いない、という確信のある演奏。フレイレのピアノは、決して大音量というわけではないのに、オーケストラの中からキラキラと浮かび上がって客席に飛んできました。
読響ソロ・チェロ奏者 遠藤真理さんのソロもすばらしかった。ブラームスのピアノ協奏曲は、交響曲のようなサウンドが出ないとバランスがうまくいかないのですが、飯守泰次郎さんの指揮はブラームスらしく管弦楽が「ぎゅうぎゅう」に詰まったサウンドをつくっていて、これまたすばらしかったです。
ピアニスト・フレイレにとってブラームス「ピアノ協奏曲第2番」は、長年演奏を続けてきた作品です。テクニックの範疇では語ることができない、フレイレ自身の歴史によって熟成された演奏をノーカットでお楽しみ下さい。

演奏者の略歴

ネルソン・フレイレ(ピアノ)
ネルソン・フレイレ(ピアノ)
Nelson Freire
1944年ブラジル生まれ。
58年にウィーンに留学し、名ピアノ教師のザイドルホーファーに師事。
60年代初めから欧米で広く活躍し、ヨッフム、小澤征爾、ブーレーズ、マゼール、マズアらの指揮で、ベルリン・フィル、バイエルン放送響、ロンドン響、パリ管、ニューヨーク・フィルなどと共演。録音もアルゲリッチとの2台ピアノの共演など多数ある。
飯守泰次郎(指揮)
飯守泰次郎(指揮)
Taijiro Iimori
1940年旧満州・新京生まれ。
桐朋学園を卒業後、64年から70年まで読響の副指揮者を務め、その後、76年まで指揮者を務めた。67年からはマンハイム市立歌劇場やハンブルク州立歌劇場などの指揮者を歴任。72年のバルセロナ歌劇場〈さまよえるオランダ人〉〈ワルキューレ〉で同歌劇場のシーズン最高指揮者賞を受賞した。
70年からはバイロイト音楽祭の音楽助手として数々の公演に携わり、当時のウォルフガング・ワーグナー総監督から「飯守泰次郎こそドイツ語でKapellmeister(カペルマイスター)と呼ぶにふさわしく、そこには“マエストロ”という言葉以上に大きな尊敬の念が込められている」と絶大な信頼を得た。
90年代以降は国内で名古屋フィル、東京シティ・フィル、関西フィルの常任指揮者を歴任。現在は新国立劇場オペラ部門芸術監督、東京シティ・フィルおよび関西フィルの桂冠名誉指揮者。これまでにサントリー音楽賞、大阪市市民表彰、日本芸術院賞などを受賞。2004年11月紫綬褒章、10年11月旭日小綬章をそれぞれ受章。12年度文化功労者。日本芸術院会員。
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