演奏レビュー

日時

3月1日(木)2時35分~3時35分(水曜深夜)予定
BS日テレ 3月10日(土)朝7:00~8:00予定

2月放送プログラム
<2018年1月31日 東京オペラシティコンサートホールにて収録>

ブルッフ 作曲 「ヴァイオリン協奏曲第2番」 ニ短調 作品44
黛 敏郎 作曲 「G線上のアリア」

指揮
外山雄三
ヴァイオリン
長原幸太

【2月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー

新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。

【ブルッフ作曲 「ヴァイオリン協奏曲第2番」 ニ短調 作品44】
長原さんがブルッフ1番より2番を選んだ理由が、とてもよくわかる演奏でした。演奏される機会が多い1番に比べると、2番の方がソロ・ヴァイオリンの見せ場が多く、とにかくソリストがカッコよく目立つ作品です(1番は、オケとソロが溶け合って音楽の全体像で聴かせる曲)
それだけに、ソリストに安定した高い技術がないとまったく形にならない曲。長原さんのテクニックの並外れた凄さを堪能することができるのです。

【黛敏郎作曲 「G線上のアリア」】
「G線上のアリア」は、まず曲について言えば、ダンディズムを貫いた黛敏郎のキャラクターそのもの。日本の現代音楽によくある「ワビ」「サビ」的なものはまったくなく、ギラギラと攻撃的でビートのきいた音楽。(ビートのきいた音楽って、実は日本の現代曲にはあまり無いのです!)
長原さんは、さすが自分がコンサートマスターを務めるホームグランドのオーケストラだけあって、煽るところは煽り、溶け合うところはすっと陰にまわり、お互いを良く知っているオケだからこその自在なやりとりが見事でした。
図らずも、ブルッフはソリストとしての長原幸太、G線上のアリアはコンマスとしての長原幸太の魅力が出ていたと思います。

演奏者の略歴

長原幸太(ヴァイオリン)
長原幸太(ヴァイオリン)
Kota Nagahara
広島県呉市生まれ。東京芸術大学、ジュリアード音楽院に学ぶ。1994年、ヴィエニャフスキ国際コンクール(17歳以下の部)第3位。98年、日本音楽コンクール最年少優勝。小澤征爾、岩城宏之、ゲルハルト・ボッセらと共演。室内楽や各楽団の客演コンサートマスターとしても活躍し、別府アルゲリッチ国際音楽祭、宮崎国際音楽祭などに出演。2004年、大阪フィル首席客演コンサートマスターに就任、06年から12年まで首席コンサートマスターを務めた。14年10月、読響コンサートマスターに就任。東京芸術大学非常勤講師。
外山雄三(指揮)
外山雄三(指揮)
Yuzou Toyama
1931年東京生まれ。東京音楽学校(現在の東京芸術大学)で作曲を学び、在学中、「クラリネット、ファゴット、ピアノのための〈三つの性格的断片〉」で第20回音楽コンクールに入賞。52年卒業と同時にN響に打楽器練習員として入団。54年には指揮研究員となり、56年9月にN響を指揮してデビュー、以来各オーケストラに数多く客演を開始。58年から60年にかけてウィーンに留学。60年N響の世界一周演奏旅行に同行、指揮者としてばかりでなく自作の「管弦楽のためのラプソディー」によって作曲家としてもその名をひろめた。その後64年、66年、79年のN響海外公演を指揮、79年にはN響正指揮者に就任した。85年にはニューヨークで開催された国連40周年記念コンサートにN響とともに出演、全世界に放送された。
国内では大阪フィル、京都市響、名古屋フィル、神奈川フィル、仙台フィルの要職を歴任。オペラ指揮の分野でも、その綿密な音楽作りが高く評価されている。これまでに作曲した作品はオペラ、交響曲から室内楽曲、歌曲、合唱曲まで多岐にわたる。
63年第12回尾高賞、81年第1回有馬賞、83年第14回サントリー音楽賞、99年文部大臣表彰、2000年第48回尾高賞、10年度日本放送協会放送文化賞、17年度渡邉暁雄音楽基金特別賞などを受賞。
現在、NHK交響楽団正指揮者、大阪交響楽団ミュージックアドバイザー。
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