日時
2019年6月20日(木)2:34~3:34(水曜深夜)予定
BS日テレ 6月29日(土)朝7:00~8:00予定
6月放送プログラム
ブルックナー作曲 交響曲第9番 ニ短調 WAB109 (ノヴァーク版)
(2019年5月14日 サントリーホールにて収録)
【6月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー
新井鴎子プロフィール
読響シンフォニックライブの構成を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛け、長年にわたりその楽しみや魅力を親しみやすく伝えてきた。
音楽祭のディレクターやオペラ・ミュージカルの脚本、執筆活動など〈クラシック音楽〉の分野で幅広く活躍している。
現在、東京藝術大学特任教授。
【ブルックナー作曲 交響曲第9番 ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)】
チューニングが終わり、しばしの静寂の後にセバスティアン・ヴァイグレ氏が出てきた瞬間、聴衆の期待がマエストロ一人に向けられ、まるで視線のスポットライトを浴びて輝いているように見えました。読響の新しい時代の幕開けです。指揮をしているヴァイグレは、彼の音楽性を表現できるオーケストラとの出会いに大きな喜びを感じているといった表情でした。
カンブルラン「からの」ヴァイグレ、という耳で聴くから余計にそれを感じるのかもしれませんが、ヴァイグレは音楽の構造を聴かせる指揮。つまりメロディとメロディが絡み合った織物としてのハーモニー(和音)によって、感情の物語を「内側」から紡いでいく、という音楽の作り方。カンブルランが音の響きを磨きに磨き上げて音楽を「外側」から作っていくのとは、むしろ正反対のアプローチです。
だからブルックナーの交響曲9番でも、例えば第3楽章の金管楽器のファンファーレは「パーン!」と浮き出て鳴り響くのではなく、弦楽器と溶け合いながら「ダーン」と響いてくる感じ。ある音は、常になにかの音との脈絡を持って繋がっているというドイツ音楽の特徴そのものです。
細部を噛んで含めるように聴かせるヴァイグレの音楽は、聴いた後しばらく経ってから心にじわじわ浸透し、深い満足感を与えてくれます。
演奏者の略歴
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セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)
Sebastian Weigle -
1961年ベルリン生まれ。82年からベルリン国立歌劇場管の首席ホルン奏者として活躍後、巨匠バレンボイムの勧めで指揮者に転向。2003年にフランクフルト歌劇場でR.シュトラウス〈影のない女〉を振り、雑誌『オーパンヴェルト』の「年間最優秀指揮者」に選ばれた。04年から09年までバルセロナのリセウ大劇場の音楽総監督を務め、ベルク〈ヴォツェック〉やワーグナー〈タンホイザー〉など数々の名演奏を繰り広げ、評判を呼んだ。07年にはワーグナー〈ニュルンベルクのマイスタージンガー〉でバイロイト音楽祭にデビュー。11年まで指揮し、世界的注目を浴びた。08年からフランクフルト歌劇場音楽総監督の任にある。11年に同歌劇場管が『オーパンヴェルト』誌の「年間最優秀オーケストラ」に選ばれ、15年と18年にも同歌劇場が「年間最優秀歌劇場」に輝くなど、その手腕は高く評価されている。これまでに、メトロポリタン歌劇場、ベルリン国立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場などに客演を重ねるほか、ザルツブルク音楽祭、ベルリン放送響、ウィーン響、フランクフルト放送響などを指揮し、国際的に活躍している。
読響には16年8月に初登場して三つのプログラムを指揮し、好評を博した。17年7月には、東京二期会のR.シュトラウス〈ばらの騎士〉で共演、19年6月には同じく〈サロメ〉で共演予定。