11月放送予定
2023年11月16日(木)2:35~4:05(水曜深夜)
BS日テレ 11月25日(土)朝7:00~8:30
放送時間を30分拡大してお送りします
11月放送ナビゲーター
11月放送プログラム
メンデルスゾーン作曲 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 から
ドヴォルザーク作曲 チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 から
チャイコフスキー作曲 ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23 から
(2023年8月23日 東京芸術劇場コンサートホールにて収録)
【11月の演奏・聴き所】
音楽プロデューサー 新井鴎子の演奏レビュー
- 新井鴎子プロフィール
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読響プレミアの音楽監修を担当
クラシック音楽のコンサート・テレビ・ラジオ番組の構成を多数手掛ける。
著書に、「音楽家ものがたり」(音楽之友社)、「おはなしクラシック」(アルテスパブリッシング)等。
現在、東京藝術大学客員教授(インクルーシブアーツ研究)、横浜みなとみらいホール館長。
前田妃奈さん
とにかく音色が美しい。豪快に弾き飛ばすことなく、一音一音を丁寧につむぎ、歌い、全体のフレーズを作っていく。低音は重厚なねばりのある音、高音は繊細で透明感があり、メンデルスゾーンの華麗でありながら繊細な音楽を見事に再現していた。
演奏家の個性が楽曲に勝らないと言ったらいいか、メンデルスゾーンの気品あふれる上質な音楽をゆっくり味わう余裕を聴衆に与えてくれる演奏だった。
鳥羽咲音さん
ドヴォルザークのチェロコンチェルトは超大曲なので、ソリストが曲と格闘しているような演奏が少なくないのだが、鳥羽さんはまるでチェロをヴァイオリンのように自在に歌わせ、華奢な体躯なのにとても自然に操っているのが驚きだった。
この曲のノスタルジックな趣きは、年齢を経た奏者にしか出せないものといった偏見というか既成概念があるが、この18歳の天才は、郷愁をそそる音色、昔を懐かしむような歌い回しで、聴衆の涙を誘っていた。
亀井聖矢さん
豊穣な音色で描くチャイコフスキー。音の粒を立てる部分と、濃厚に豊かに歌う部分との鮮やかなコントラストが見事。19世紀後期ロマン派のチャイコフスキーならではの、旨味というか雑味もちゃんと残っている音楽。音を研ぎ澄ませすぎて大吟醸酒のように水のようにさらさらになってしまうのでなく、ロマン派の音楽が明確に意識されていた。以前彼の弾くラフマニノフのコンチェルトも聴いたが、同じロシア音楽でも、ラフマニノフは20世紀の音楽の音、チャイコフスキーは19世紀の音楽の音、まったく音やスタイルを変えて音楽を作っていたのは素晴らしい。
そして坂入健司郎さんの指揮
ベテラン指揮者でも、コンチェルトの指揮はとても大変。しかも3曲の大曲に、三者三様の音楽があり、個性があり、テンポがあり、表現があり、それらを尊重しつつどうやってオーケストラと合わせるのか・・・。優しさと厳しさと柔軟さと冷静さをもったマエストロに拍手。
演奏者の略歴
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前田妃奈(ヴァイオリン)
HINA MAEDA -
昨年ヴィエニャフスキ国際コンクールで優勝し、国際的に注目を集める新鋭。
2002年大阪府生まれ。
東京音楽大学付属高等学校を経て、東京音楽大学に特別特待奨学生として在学中。
これまでに日本音楽コンクール第2位および岩谷賞(聴衆賞)、東京音楽コンクール弦楽部門第1位および聴衆賞など、国内外のコンクール、オーディション、マスタークラスでの受賞多数。
11歳で関西フィルと共演以降、大阪フィル、東京響、日本フィル、新日本フィルなどと共演。
リサイタル、室内楽やアウトリーチにも積極的に取り組んでいる。
2020年2021年シャネル・ピグマリオン・デイズ参加アーティスト。
江副記念リクルート財団奨学生。
使用楽器は、日本音楽財団より貸与された1715年製ストラディヴァリウス「ヨアヒム」。読響初登場。
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鳥羽咲音(チェロ)
SAKURA TOBA -
"天才アーティスト"の呼び声高いウィーン生まれの驚異の18歳。
6歳から毛利伯郎に師事。早くから国内外のコンクールで優勝・入賞し、注目を浴びる。
2019年に日本フィルと共演して以降、群馬響などと共演。
2022年には東京・春・音楽祭へ出演するなど、活躍の場を広げている。
2020年NHK-FM「リサイタル・パッシオ」に出演。
2019年に服部真二音楽賞、2021年に若林暢音楽賞を受賞。
江副記念リクルート財団およびロームミュージックファンデーション奨学生。
2020年より桐朋学園大学音楽学部ソリスト・ディプロマ・コースに在籍。
2022年よりベルリン芸術大学にてイェンス=ペーター・マインツに師事。
使用楽器はアンネ=ゾフィー・ムター財団より貸与された1840年製のジャン=バティスト・ヴィヨーム。
読響初登場。
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亀井聖矢(ピアノ)
MASAYA KAMEI -
昨年のロン=ティボー国際コンクールで優勝し人気沸騰中の新鋭。
2001年生まれ。4歳よりピアノを始める。桐朋学園大学1年在学中に日本音楽コンクール第1位
および聴衆賞受賞。
2022年マリア・カナルス国際コンクール第3位、ヴァン・クライバーン国際コンクールのセミファイナリストなど、国内外での受賞多数。
これまでにNHK響、東京響、東京フィル、日本フィル、新日本フィル、大阪響、関西フィル、京都市響などと共演を重ねる。
2023年文化庁長官表彰(国際芸術部門)、第32回出光音楽賞など受賞多数。
2022年には「VIRTUOZO」をリリースし、『レコード芸術」誌にて特選盤に選出。
また、テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHK「クラシック倶楽部」など、メディアでも多数取り上げられている。読響とは2022年以来、2度目の共演。
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坂入健司郎(指揮)
KENSHIRO SAKAIRI -
1988年神奈川県川崎市生まれ、慶應義塾大学卒業。これまで指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、
山本七雄の各氏に、チェロを望月直哉に師事。
一般企業に勤めつつ、2008年から東京ユヴェントス・フィルを主宰。これまでも同フィルを定期的に指揮し、デームスや舘野泉ら巨匠と共演するほか、2022年1月にマーラーの交響曲第2番〈復活〉を演奏し、好評を博した。
2015年ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に出演し、「モーストリー・クラシック」誌で「注目の気鋭指揮者」として推薦される。
2016年には川崎室内管を立ち上げて音楽監督に就任。その活動がメディアに取り上げられ、話題を呼んだ。
2021年より指揮活動に専念しており、これまでに大阪響、名古屋フィル、大阪フィル、日本フィル、
新日本フィル、神奈川フィル、仙台フィル、愛知室内、群馬響、京都市響、他と共演するなど、活躍の場を広げている。
録音では〈月に憑かれたピエロ〉(2020、日本コロムビア)を始め多数リリース。
2022年4月には甲府公演で読響と初共演し、好評を博した。今回が2度目の共演。
かわさき産業親善大使。