2009年02月24日
おくりびと
昨日のアカデミー賞で見事「外国語映画賞」に輝いた滝田洋二郎監督の「おくりびと」。
拝見しましたが、とても柔らかい感じのする素晴らしい作品だと思いました。出てくる役者さんが皆上手で、風景も美しくて…そして音楽も。
この作品に欠かせないのが「チェロ」。
(あ、これから映画をご覧になるという方、少しネタバレが有ります。お気をつけて)
何しろ主役の本木さんがプロオケのチェロ奏者という設定で始まるこの物語。驚くべきは本木さん本人による演奏シーンです。実際、音は別の演奏をかぶせているのでしょうが、フィンガリングからボーイングまで、本木さん自身がアクションしているシーンが多くあるのです。そして、そのほとんどで違和感を感じません。特にベートーヴェンの「第九」を、オケのメンバーとして弾くシーン。第4楽章冒頭のレシタティーボなんて、初心者には大変なハズ! 独奏ならまだしも、チェロバスの合奏で、周囲の奏者の方とズレるわけにはいきませんし。
映画の題材である“納棺師”の所作についても多くの勉強をされたことと思いますが、同じように“チェリスト”としての訓練もなさったことでしょう。両方の職業を“プロフェッショナルな人物”として表現するにあたって、また、泣き笑いを散りばめたこの素晴らしいストーリーにお客さんをスッと入り込ませるために、並大抵ではない努力をされたことが伺えます。
もちろん音楽もチェロ三昧。古川展生さん(都響・首席チェロ奏者)の演奏するテーマ曲のほか、全編を通じチェロによる音楽であふれています。
そしてその中に、我等が読響の渡部玄一さん・唐沢安岐奈さんのお名前も! 苅田雅治さんをはじめとする錚々たるメンバー12人によるチェロアンサンブルのメンバーとして参加。久石譲さん書下ろしの作品を録音なさったそうです。
「難しい曲でしたけど、昔から良く知った仲間たちで楽しくやりましたよ」とは渡部さんの弁。「アカデミー賞、おめでとうございます」とお声を掛けたら、「いやいや、演奏だけですから」と照れくさそうに笑っておられました。
ほかにも、指揮者の飯森範親さんが、自ら音楽監督を務める山形交響楽団と共に出演してたり、と、クラシックファンの方にとってはさらに見逃せない目線でご覧いただけることと思います。
さて、明日は「深夜の音楽会」の公開録画。今、担当のディレクターはカット割り台本入稿前の最後のチェックをしています。良い演奏会になりますように…。
お越しいただくお客さまは、どうぞ足元にお気をつけていらっしゃってくださいませ。
まささん今日は。「おくりびと」観てチェロをますます好きになった者です。リンク先のHPで渡部さんと唐沢さんのお顔を確認しましたよ!一ヶ月後の春休みコンサートがますます楽しみです。これが初生オーケストラなので緊張してましたが、ブログ読んで奏者の人と接点が見つかって(勝手な接点ですけどね)嬉しいですよ。ありがとうございます。
nyanさま
はじめまして。コメントありがとうございます。
お気に入りの映画に参加しているアーティストの方との「縁」を感じながら、生のオーケストラを楽しむ…きっと楽しい演奏会になるのではないでしょうか? 初生オーケストラを存分に満喫なさってくださいネ。^^