2009年05月07日
6月の公開録画は中村紘子さん!
25年ほど前、私の故郷に新しいホールができました。客席数1500程の市民会館です。
近隣の街には一足早くこのような施設があり、待ちに待ったオープンでした。
その杮落としにNHK交響楽団がやってきた日の感激を今も忘れません。
新築の匂いが残るその中に足を踏み入れると、間口18mほどの舞台上には所狭しと椅子と譜面台。
コントラバスとティンパニが置かれているステージに、ブラバン少年だった私の目は釘付けでした。
そして開演。
テレビで見る奏者の皆さんが並びます。
プログラムは全てベートーヴェン。「エグモント」「皇帝」「運命」の3曲でした。これまで聴いたこと無いような迫力有る音の洪水に、完全にヤラれてしまったのを覚えています。「運命」の「ジャジャジャジャーン」がかくもカッコ良く美しいとは!
そしてピアノ協奏曲「皇帝」でピアノを弾いていたのは、中村紘子さん。
“これが世界に通ずる音楽なんだ”と圧倒されました。田舎のお客さんですから、生のオーケストラを聴くのも初めの人ばかり。楽章ごとに拍手が沸きあがり、今思えば演奏する側にとってはやりにくかったでしょうね。でもそれは、感情を抑えきれないほどの感動を覚えた故の「楽章間の拍手」だったように思います。
懐かしい思い出です。
この時に味わってしまった「素晴らしい演奏を生で楽しむ贅沢」は、その後の自分に大きな影響を与えてくれました。
今こうして、テレビを通じて「素晴らしい演奏をお茶の間に届ける」と言う仕事に就いていますが、確実に「少しでも生で味わう感動に近づけたい」という想いが支配しています。
是非このブログをご覧の皆様からも、色々とご意見・ご指導いただけたら有難いです。
さて、6月の公開録画では、あの時に大きな喜びを下さった中村紘子さんに独奏者として出演いただきます。
曲は矢代秋雄のピアノ協奏曲。マエストロ下野さんさんとは初共演となるそうです。
自分は初めて近くでお目にかかります。まだ1ヶ月先のことなのに、たまに1人で緊張したりしています。^^;
そしてもちろん、すっごく楽しみです。リハも含めて、何もかもが楽しみです!