2009年06月09日
マエストロ下野さんのレクチャーコンサート
先日の公開録画にはたくさんの皆様にお越しいただきありがとうございました。お陰様で熱気あふれる楽しい演奏会を収録することができました。心より御礼申し上げます。
さて、その演奏会の後半では、正指揮者・下野竜也さんの解説による「レクチャーコンサート」を行いました。お題はシューマンの交響曲第4番。第1・第2楽章を中心に、シューマンがスコアに込めた想いを、指揮者である下野さんはどのように受け取り、演奏に生かすのか…といったテーマで、読響の皆さんの演奏を交えお送りしました。
「深夜の音楽会」での公開レクチャーは初めての試み。昨年末からマエストロとの打合せを重ね、テレビ収録ならではの“お楽しみ”や、「オーケストラをもっと好きになるキッカケにしていただければ」と言った願いを忍ばせつつ、準備をしてきました。
そしてマエストロの溢れ出るアイデアの数々と、音楽への飽くなき情熱がたくさん散りばめられた本番を、僕らTVスタッフも楽しみながら収録させていただくことができました。
お陰様で、終演後は多くのお客様からありがたい反応を頂戴しました。
「読響との距離が縮まった気がする」「これまで退屈だったシューマンのシンフォニーが新鮮に響いた」「下野さんのレクチャー、またやって!」などなど。番組スタッフ的には多々反省点がございますが、これらの励ましのお言葉をいただき、是非また意欲的な収録に挑戦したいと思った次第です。
ご来場いただけなかった皆様には、後日の放送をお楽しみいただきたいと思います。(もちろん、お越し下さった皆様も!) そして是非、ご感想をうかがえたらありがたいです。このブログのコメントからでも結構です。(コメント欄への掲載を希望されない方は、その旨お書き添えいただければ不掲載とさせていただきます) 次の機会の参考とさせていただきます!
放送は7月8日・水曜日の深夜2時39分(カレンダー的には9日・木曜・午前2時39分)です。ぜひご覧ください。
追記:
すみだトリフォニーホールのスタッフの方々にご尽力もいただき、スクリーンに映像を投影しながらの進行が実現できました。
また幾人かの方にアンケートをお願いしたり、様々な譜面を用意いただくなど、読響の楽員さん・スタッフの皆さんにはいつも以上のご迷惑をおかけすることとなりました。この場を借りて御礼を申し上げます。
それにしてもマエストロ、お話しが上手ですねぇ。「さんま御殿」とか、お誘いしてみようかなぁ。
2003年の辻井伸行さん「グリーグ・P協奏曲」を動画集で公開して欲しいです。おねがいします。
まさ様、スタッフの皆様、こんにちは。
いつかは読響の公開録画に出かけてプログラムにまささんや、歯゛っ歯さんのサインを貰いたいです^^今夜の放送もマニアックな映像でとても楽しめました!幻想交響曲の鐘をたたく場面の映像は舞台上ではなかったということなのですね。
>吹奏楽部さま
リクエストありがとうございます。辻井さんの快挙、素晴らしいですね。14歳当時の辻井さんのピアノ協奏曲、動画配信ができるかすぐには判断出来ないのですが、前向きに検討させていただきたく思います。少々お時間を下さい。
>ベルキャットさま
サインだなんて(*^^*)。
お尋ねの「幻想」5mov.の鐘ですが、下手(客席から舞台向かって左手)の舞台外で演奏されています。この部分でヴァイオリンを映した際、指揮者が出入りするドアが開いているのはお気づきでしたか? そのドアの奥の方で叩いています。舞台外の演奏に対しては、こうして扉をオープンして客席に聴こえるようにしているのですね。
まさ様、スタッフの皆様、こんにちは。
深イイ話「深夜の音楽会」編
読響と共演したこともあるアリス=紗良・オットさんのピアノ・リサイタルに出かけてけてきました。
場所は千葉県松戸・森のホール21の小ホールで舞台と客席が近く演奏者の表情がよく見えまます。ベートーヴェン、ショパン、リストの曲が弾かれ拍手喝采を受けたアンコール曲はリストの「ラ・カンパネラ」でした。更に盛大な拍手が続くなかオットさんは観客に向けてこう話し始めました。
「今日は私にとって特別な日です。」「母の実家が松戸にあり小さい頃よく祖母とこのホールの周りを散歩しました。そして祖母は私がいつかここでピアノを弾くのを聴くのが夢だと言っていました。」「しかし祖母は先月肺がんで亡くなりました。私は祖母の最期を看取ることができなかったので、祖母の好きだったショパンの曲を電話を通して届けました。」「今日は祖母の好きだったショパンのワルツを最後に弾きます。」
そう言ってオットさんはピアノを弾き始めましたがその表情は何かに耐えているようで苦しそうに見えました。曲が終わると惜しみない拍手がホール全体を包みオットさんは涙を拭っていました。
このホールでリサイタルをする理由は言うまでもまりません。祖母の願いを叶えてあげたかったからなのです。しかし間に合いませんでした。
オットさんはドイツ人の父と日本人の母を両親にもちミュンヘン在住です。なのでドイツ或いは海外の公演先からピアノを電話口で弾き日本の祖母へ聴かせてあげてのだと思います。私が聞いた限りではオットさんの日本語はネイティヴではありません。母国語はドイツ語なのでしょう。住む場所が違っても言葉が違っても二人の心はきっと繋がっていたのだと思いました。
>ベルキャットさま
大切な誰かのために演奏する音楽は、猛烈なエネルギーをもって私たちの心に訴えかけてくるものがありますよね。
深い思いを込めて演奏をなさったオットさんの心情は察するにあまりあるものがあります。こうした悲喜交々の感情が、彼女の音楽をさらに奥深いものにしていくのでしょうね。
素敵なお話、ありがとうございました。