#022 日本人2人目の9秒台 “世界基準”の「伸びしろ」

2019.05.13

これまで、日本の陸上男子100メートルで
「10秒の壁」を破った選手は
桐生祥秀選手の9秒98、ただ1人でした。
山縣亮太選手は10秒00。

そして、ここに割って入ったのが
サニブラウン選手、タイムは9秒99。
日本で2人目の9秒台突入を果たしました。

身長は188センチ。
ここにも速さの秘密がありそうです。
そこで、きょうのプライチ!はこちら。

「日本人2人目の9秒台
 “世界基準”の伸びしろ。」

日本時間、5月12日。
アメリカの大学の大会で 
100m決勝に出場したサニブラウン選手。

○実況
「サニブラウンが好スタート!
 追い上げられながらも逃げ切りました!
 タイムは9秒99!」

日本人史上2人目となる9秒台をマーク。

20歳2か月での9秒台は、
あのウサイン・ボルトさんの21歳8か月よりも
1年以上もはやいんです。

これはサニブラウン選手が中学3年生の時。

ガーナ人の父と日本人の母の間に生まれた
サニブラウン選手。
実はお母さんも元陸上選手。
息子の体を作る食事には特にこだわります。
この日は大盛りのタコライス。 
      
○サニブラウン選手の母・明子さん
「うちの普通盛りは、かなり多めなので
 “食いトレ”ですね。
 お残しは禁止です」
 
○サニブラウン選手
Q好き嫌いは?
「大体何でも食べれます」

そのかいあってか中学生にして
身長184センチ、なんと股下90センチ。

そして、高校生になると…見事な肉体。

2015年、16歳で出場した
世界ユース選手権では200mで
ボルトさんが持つ大会記録を更新。
100mと200mで2冠を達成しました。

そんなサニブラウン選手をボルトさんも絶賛。

○ボルトさん
「サニブラウンは才能がある選手だと思います。
 良い成績を出せるという自信を感じた。
 この数年でさらに素晴らしい選手になるだろう」
      
2017年には初の日本一に輝いた
サニブラウン選手。
そのころの目標は。

○サニブラウン選手
「(9秒台は)条件とコンディションが
 よければ出る気がする」

高校卒業後、
アメリカのフロリダ大学に進学した
サニブラウン選手。
取り組んでいるのが…。

○サニブラウン選手
「ウエイトトレーニングを始めて、
 それによって上半身の筋肉がついて、
 体幹などもしっかりして」

現在、身長188センチ、体重は83キロ。
その肉体は以前と比べても、
一回り大きく見えます。

北京オリンピック銀メダリスト塚原直貴さんは。

○塚原さん
「彼の体格からすると
 日本人離れしている部分も当然あります。
 大きなストライドで前に進むことができている」

今回のレースでは、100m走るのにおよそ44歩。
その歩幅は平均2.3メートル。
一方、桐生選手が9秒台を出したときの歩幅は
平均2.1メートルなので、
サニブラウン選手の方が20センチ大きいんです。

ちなみに身長195センチのボルトさんの
平均歩幅は2.4メートルで、
サニブラウン選手はこれに近いんですね。

○塚原さん
「レースを見ていただいてもわかる通りに、
 見かけの速さは決してない。
 ワンストロークぶんぐらいは
 彼の方がストライドが広いので、
 その分だけゆったり進んでいる。
 まだ伸びしろとしては
 持てあましているなというふうな感じはします」

9秒台を出したサニブラウン選手はレース後、
「正直、そんなに速く走っている感じはなかった。
 9秒99なんでほぼ誤差かな」
とコメントしています。

そして、気になる東京オリンピックの代表争い。
熾烈になってきました。

こちら、現在のベストタイムで
並べてみましたが・・・

桐生祥秀選手
サニブラウン選手
山縣亮太選手のほかにも。

多田修平選手
飯塚翔太選手
ケンブリッジ飛鳥選手
と10秒0台の有力選手が
ずらりと並んでいますが、
オリンピックに出場できるのは、
「狭き門」となります。

男子100mで国ごとに与えられた出場枠は
最大で3人。

今回、サニブラウン選手は9秒台を出したことで
オリンピック出場に1歩近づいたと言えそうです。