#016 自宅療養者急増… 訪問診療医師の現状
今回 新型コロナの自宅療養者を
訪問し診療する2人の医師に話を聞きました。
訪問診療専門のクリニックに勤める
板橋区医師会の鈴木陽一医師。
多い日には通常の往診に加え
1日6件ほどのコロナ患者を
一人で往診しています。
そして もう一人は菊池亮代表医師。
経営するファストドクターは
休日や夜間の対応が専門で
1日100件ほどの依頼を受けることも。
○櫻井
「ご自身の忙しさとしてはどうですか?」
○菊池医師
「本当に正直ここしばらく
しっかり睡眠時間がとれていない
というのが現状」
○鈴木医師
「私もなかなかのんびり休むことはできなくて
緊張状態が続いてコロナの臨時往診の依頼が
続いたっていう夢をみたりとか」
○櫻井
「まさにいつ何が起こるかわからないような
緊張状態にいるということですよね」
○鈴木医師
「そうですね」
○菊池医師
「そうです」
そんな2人に共通する最大の悩みが…。
○菊池医師
「息苦しさが続いてる?」
○患者
「この体勢じゃないと呼吸がまともにできない」
呼吸がままならず
入院調整中だという30代の男性。
*その後男性は入院
酸素飽和度が低いため
酸素濃縮器を使い、体に酸素を送り込むことに。
しかし 自宅療養者の急増で
この「酸素濃縮器」が不足する事態が
相次いでいるというのです。
○櫻井
「酸素が足りないっていう状況はどうされた?」
○菊池医師
「1回保健所にお戻しさせてもらったり
基本的には肺炎を疑う症例は受けられない
という形で対応していました」
○鈴木医師
「病院に60か所以上断られてしまって
搬送ができず
救急隊の酸素もどんどん取り替えながら
なくなっていって酸素濃縮器をどうしようって
自分が渦中にいると痛切に感じた」
そして増える「家庭内感染」の問題も。
咳が止まらない20代の男性。
男性は10歳と12歳のきょうだいが
陽性になった後
家庭内感染してしまったといいます。
その後も
○鈴木医師
「お母さん具合わるくなっちゃったの?」
一家3人とも感染したという患者の診療へ。
○櫻井
「例えば訪問にいったら
家族全員かかってるみたいなこともある?」
○鈴木医師
「そうですね」
○菊池医師
「かなり多いと思います」
○鈴木医師
「実はその訪問をしていて
他の家族の方が検査をしていない
っていう家庭が意外とあるんですよね
でも感染が広がっていかないために
やっぱりそのどなたか家庭内で陽性になったら
家族の方もはまずは検査を受けてほしい」
さらに こんなケースも。
○菊池医師
「5歳の方が肺炎を起こしていた
っていう症例が実は1件あって
小児に関しても肺炎をおこしうるんだ
ってかなり危機感をもっています」
○櫻井
「依然として厳しい状況であることは
変わりないということですか?」
○鈴木医師
「板橋区だったら
毎日150人から200人の間の
自宅療養者が発生してしまうんですけど
その中で日々私たちが介入できるのは
頑張っても10分の1くらいなんですよね
それ以外の人がずっと医療を受けられず
不安の中を過ごしているのが依然として現状」
○菊池医師
「感染者が減ってきて
入院病床のひっ迫が少し改善されて
それから在宅医療の現場は良くなってくるので
まだまだしばらくは厳しい時間が続くのかな
と考えております」
○櫻井
「本当に心配な方々多いと思うんですけど
私たちにできることっていうのは」
○菊池医師
「できることは肺炎の初期症状を
しっかり理解することだと思っています
呼吸回数が1分間に20回超えてくる場合は
肺炎を疑ってなるべく真剣に保健所だとか
周囲の医療機関に相談することをすすめます」
○鈴木医師
「ご家族もし別々の部屋にいたとしても
毎日何回かは『いま値いくつ?』『熱何度?』
とかお互いにチェックをしていただいた方が安全」
○櫻井
「家族間あるいは同居している人と情報を共有しておく
事前に話し合っておくっていうことが
とにかく重要だってことですよね」
○菊池医師
「そうです」
○鈴木医師
「その通りだと思います」
○菊池医師
「まだまだワクチンだとか医療体制が
しっかりと整ってきていない段階においては
いかに自分が感染しないかが
一番大事だというふうに思っています」
○鈴木医師
「本当にコロナ疲れ
嫌気がさしているっていうのは
ごもっともなんだけど
本当に危ない状況にあるので
一緒にこの災害同様の状況を乗り越えたい
というふうに思っています」