#010 PCR検査 臨床検査技師の悩み
今回、話を聞いたのは
都内の検査センターに勤める男性技師、
京都の日赤病院に勤める3年目の女性技師、
愛知の大学病院に勤める2年目の女性技師です。
○櫻井
「1日どれくらいの検査をされているんですか?」
○男性技師
「1日だいたい200(件)前後ですね」
○櫻井
「200!?」
○男性技師
「一時期400(件)を超えるという日もあったが、今は200前後で推移しているという感じ」
そのPCR検査。
まず検体から遺伝子を取り出す処理を行い、
試薬が入った容器に移動させ混ぜ合わせます。
そして
○男性技士
「専用機でPCR反応を実施します」
すべての工程を終え、結果が出るまで約4時間かかるといいます。
○2年目の女性技師
「朝までずっとPCRやり続けて濃厚接触者の方の陰性まで確認しなきゃいけないとか」
○櫻井
「陽性者の周りも検査しないといけないから数としては相当数増えるということですね」
○2年目の女性技師
「そうですね。朝までかかって1人残って200人全員かけて帰る
というのをやっていました」
○櫻井
「大変だなぁ…」
○3年目の女性技師
「1人陽性者が出たってなったら、
例えばそれが看護師だったり院内で働く方だったら
院内感染とかになってしまったりするので
かなり遅くまで残って検査するということもあります」
○櫻井
「本当に失礼な話なんですけどリトマス試験紙じゃないですけど
陽性陰性とパンパンと出ると思っていたんですけど…」
○3年目の女性技師
「コレなんですけど見えますかね」
見せてくれたのは、検査結果を表す波形のグラフイメージ。
赤い線が明らかな「陽性」、青い線が明らかな「陰性」を示しています。
○3年目の女性技師
「この『中間』。緑で、陽性というよりも陰性でもどちらでもない
これがすごく迷う波形」
○2年目の女性技師
「機械的には『陰性』って出ているんですけど
感度がいい検査法でやると『陽性』だったりするというのが
何件かあって、その判定ってどうしたらいいんだろうとか」
○櫻井
「山下さんのように経験が多いと判断というのは比較的しやすいものなんですか?」
○男性技師
「簡単ではないですね。経験が必要になってくると思います
かなり慎重に波形を見て結果を報告する」
さらに、最初に行う試薬と検体を手作業で混ぜる時に、一番神経を使うといいます。
○3年目の女性技師
「その手袋で色んな所に触ってしまって
コンタミネーション(遺伝子混入)が起こってしまったりして
陰性の人に対して陽性の結果をお返ししてしまう
ということにもつながってしまうので」
○櫻井
「どんな思いで日々検査に向き合っていますか?」
○2年目の女性技師
「コロナの検査が私の病院では4人しかできないんですね
もし誰かが陽性になったら検査がストップしてしまう」
○3年目の女性技師
「検査をしている立場として私自身が倒れるわけにはいかないので」
○櫻井
「今や誰もが知る検査PCR検査。ど真ん中にいる皆さんですけど
これが世に届くかと言ったら中々そうはなり辛い…」
○男性技士
「検査数が少なすぎるってよく声が聞こえてくるんですけど
それは我々検査技師がサボっている訳ではなくて
採取した検体を分析する検査技師自体が足りていないというところ」
○櫻井
「急に増やせと言われても検査技師の専門的な知識がまず必要になってくる?」
○男性技師
「教育する時期が必要となってくるということ
その辺の実情を知っていただきたい」